ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

島の風景

2013-06-29 13:49:58 | 日記
                          島の風景

                     「このままではしねねーよ
                      このままで
                      おわれねーよ」
                      

                      揺れている
                      筏の隅っこで
                      筏酔いを
                      起こしながら
                      叫ぶ声は


                     「やれること
                      できること
                      てにもっているぶきは」

                      島の端
                     奇妙な墓地で
                     迷い
                     車を
                     来た道に
                     もどしたとき
                     太陽の
                     強く光りに
                     眩暈がした

                     何もない
                     光があふれた島で
                     無精ひげの日に焼けた顔の
                     おじさんは
                     言葉少なく
                     ただ手を振り
                     ついてこいという
                     しぐさをした

                 
                     久部良割の島は
                     疲れて
                     けだるく
                     熱風がふき
                     草木が
                     渦まいている

                         
                     無人の瓦屋根の上に
                     雑草

                     いたましく
                     切り立つ岩に
                     泡立つ
                     波たち
                     
                     
                   
                     
                       
                     

                     

                             
                      
                      
                      
                      

ガマの油売り

2013-06-28 19:07:24 | 日記
                       薬売り

                   薄明りの夜更けに
                   うつらうつら
                   

                   閉じた瞼に
                   当然のことながら
                   世界は見えない
                   みないようにしたい

                   しかし
                   だがしかし
                   悪魔の手先は
                   薄ら笑いを浮かべて
                   ちゃくちゃくと
                   入念に
                   毒を
                   少量づつ
                   盛り始めて
                   幾年

                 
                   こんなふうに
                   ものを
                   みないようにみないようにしくまれて
                   ことがすすんでいくのだろうか


                   大きな潮流の中に
                   滝壺に
                   真っ逆さまの
                   不安

                   筏は
                   大きく揺れて
                   揺れている

                   大きな口をあけて
                   満腹の袋に
                   食べ物を
                   詰めて
                   もてあそんでいるものがいる

                   
                   その隙間を縫って
                   餓えた子らに援助の手を
                   と
                   映像が流れる

                   いらだたしさに
                   持っていた
                   茶碗を
                   置いてしまうのだ

                   モノを腹いっぱい食べては
                   エネルギー燃焼サプリメントを
                   飲んでいる
                   
                   ジャムを
                   スプーンにひとさじ

                   メタボリック症候群予防の
                   キャンペーンを
                   して

                   金を受け取る
                   商売

                   ガマの油売り
                   
                 
                  

木枯らし

2013-06-27 22:05:27 | 日記
                          さくらをおもう


                      さくらさく
                      はなみち
                      3どあるのは
                      
                      ふつうのひと
              
                      わらってうまれるとき
                      せいじんになって はんりょをおひろめするとき
                      そして
                      みながなみだをながしてげんせとおわかれするとき

                      さくらさく
                      せいうんのこころざしがをえがき
                      がくせいふくにみをつつんだとき
                      さくらさく
                      はなみちにたつ
                      しゃかいじんになるときも

                      さくらさくみちのまんなかで
                      たちどまり
                      そらをみあげ
                      まぶしくて
                      めをふせ
                      したをうつむいたときには

                      さくらふぶきのむこうがわに
                      はざくらが
                      5がつのかぜに
                      ゆれ

                      10がつの
                      つめたさをふくんだしーんとしたくうきに
                      もみじが
                      そっとじめんをめがけて
                      おりていく 
                      ことをしる

                      つばめのはしる
                      あさに
                      はなみずをすすり
                      つめたいこがらしを
                      むねいっぱい

                      すいこんで
                      このせかいのだいちを
                      ふみしめる
                      むねにしみる
                      いたさにたえ
                     

                      


                

泣き虫のうた

2013-06-23 17:03:05 | 日記
                       泣き虫

                   虫が
                   きょうも
                   泣いている
                   秋でもないのに

                   はらはらと
                   おいおいと
                   あー
                   あー
                   と

                   68年前の
                   二十歳の母が
                   どんな思いで
                   いきて
                   どんな想いで

                   変わっていく時代を
                   みていたのか
                   と
                   今になって
                   本棚から
                   ぱらぱら
                   どっさ
                   と
                   落ちてきた
                   手紙や絵葉書に

                   霞んで読めない文字

               
                   はらはらと
                   おいおいと
                   あー
                   あー
                   と

                   碧い空に
                   まっ白な雲が
                   流れて
                   いくのを

                   はらはら
                   おいおい
                   あー
                   あー
                   といって
                   虫が
                   泣いている

部屋のおそうじ

2013-06-23 14:34:12 | 日記
                       閉じこもりの部屋で

                 山積みの
                 段ボール箱の中に
                 衣服と
                 過ごしてきた時間が
                 ほこりをかぶって
                 ねむっている

                 空腹を満たすために
                 むさぼってきた
                 食べかすが
                 袋の中で
                 不消化を起こして
                 臭いを
                 放ち
                 腹を突き出している

                 捨てられない
                 消費の癖を
                 断ち切る勇気もなく
                 なにも
                 考えず
                 身にまとった
                 知ったかぶりの知識
                 ただ
                 垂れ流される
                 情報の
                 つまみ食いをして
                 繰り返し
                 繰り返し
                 毒をあおっている

                 なにをきいたのか
                 なにをかんじたのか
                 
                 なまの
                 いきていた
                 その渦中にいた
                 ひとの声を
                 うけとめることが
                 わたしの
                 責任だった

                 うまれたときにはすでに
                 オキナワであったということを
                 すでに私の時代にあったとしても

                 アイスワーラーは
                 滲みこんでいたのだが

                 基地にむかって
                 こぶしを挙げるのは
                 
                 矛盾でもない
                 至極自然のこと

                 トーキョーではきこえない
                 爆音が
                 碧い空に
                 舞う
                 沖縄では