ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

おいぼれた夏

2020-06-30 22:47:59 | 日記
                        おいぼれた夏


                    7月は夏の真ん中
                    青い空のはず
                    だが

                    灰色の厚い雲に
                    大粒の雨
                    咽喉を塞ぐ
                    重い湿気を含んだ
                    熱風

                    いつもと違う
                    景色
                    真夏に向かう
                    噴きだす汗も
                    べとべと
                    と
                    皮膚に張り付いている

                    カタツムリが悪いわけではない
                    なめくじが悪いわけではないのに
                    
                    べっとりの
                    のろのろの
                    のたりのたり


                    世界が
                    今に始まったことではない
                    歪がみ
                    えぐられていく
                    崩れる
                    洞穴

                    まっすぐってないのか
                    信じられないだぶるスタンダードは
                    裏表の
                    おとなの
                    立っているところなのか

                    歴史をもう一度学ぼう

                    8月の青春は消えてしまったのか
                    
                    
                    

うつら、うつらのうらら

2020-06-27 22:56:36 | 日記
                        うつら、うつらのうらら



                    たいしたもんではなかった
                    たいしたこともしなかった

                    自分の力の範囲内ではたいしたもんで
                    しょうもなくたいしたことをやってきて
                    つま先立ちの
                    背伸びの
                    なにかをやりとげることができるのでは
                    とひそかに期待をして
                    
                    そうでもしなければ
                    なにものでもなく
                    なにものにもなれず
                    なにもしなかった
                    が
                    やっぱり
                    なにもなしえなかった
                    と
                    いうには
                    はやすぎるのではないのか

                    ちくちくと痛むのはなぜかな
                    まだなにかをやりとげたいと
                    なにももたない
                    とはいえない
                    自分の
                    有余った時間がもったいないとあせってしまうのだ

                    いまだ
                    この世の春
                    
                    うらら
                    うらら
                    

2020-06-27 11:59:34 | 日記

                         壷

                    壷の底
                    狭いひらぺったい
                    そこで
                    右往左往している

                    まわりには
                    誰もいない
                    寄せ付けないつもりが
                    壷の底から
                    這い上がって
                    壷の淵にすがって
                    外が見たくなった

                    くるり見渡したら
                    またそこはおおきな壷で
                    這い出しても這い出しても
                    壷の中

                    壷の中に
                    壷
                    見えない人間が住んでいた
                    今まで見てきた人たちなのか
                    今までうしろで繋がってきた人々なのか

                    壷の底が広いと思い
                    全速力で走ったつもりが
                    壷の壁で立ち止まり
                    ヤッパリ右往左往
                    
                    だんだん
                    壷は大きくなり
                    だんだん
                    底は大きくなり

                    見上げたら
                    小さくなった
                    そこにいるのは
                    マトリョーシカ                    
                    
   
                    
                    

                    

にち・こめあんぽんたん保障

2020-06-23 20:40:34 | 日記
                        にち・こめあんぽんたん保障

                    旅をしていたとき
                    知らないおばさんがとなりに腰掛け
                    いった
                    「あなた、沖縄から来たの?
                     沖縄に仏教はあった?
                      沖縄は日本だよね。
                      どうして、基地を嫌うの?
                      日本を守るために必要だよね。
                      日本なんでしょう、沖縄は。」

                    おばさんは、それを言い終わると
                    すっと立ち上がって
                    こちらを向いて
                    にやっとわらって
                    立ち去った

                    いってやったり
                    さぞや、すっきりの
                    正義の日本を守る婦人会か

                    豆鉄砲をいきなり食らった
                    おめ目ぱちくりの
                    おとなしい平和の使者の
                    はとは
                    へっと
                    立ち去る日本のおばさんを見送った
                    何も言い返さなかった
                    悔しさが
                    いまごろ
                    慰霊の日
                    の今日
                    急に思い出して
                    ふつふつと
                    怒りが突然湧いて

                    毒ガスがいきなりあらわれたり
                    有毒物質を含んだ水道水が配られ
                    米軍機の窓が空からふり
                    窓どころか
                    燃え落ちる戦闘機も引き受けろ
                    ということか
                    おびただしい死人を踏みながら
                    逃げ惑った
                    祖父母や父母
                    そしてわたしたちに
                    まだ
                    引き受けろ       
                    というのか

                    あんぽんたんの
                    あめを
                    むりやり
                    口に放り込むのか

                    あんぽんたん

                    



              
                    
                      


6月の大雨

2020-06-22 12:56:12 | 日記
                         6月の大雨

                    いつもの6月とは違い
                   時々晴れ
                   真夏の空
                   
                   22日の
                   きょうは
                   雨
                   しとしと
                   と
                   天気予報は
                   明日23日は大雨だそうだ

                   ねじれた
                   歴史は
                   ねじれたまま
                   続いて
                   ここまできて
                   いつまでもねじれたままで

                   

                        砲弾の欠片がとなりにいた子を
                        襲って
                        ぼくは
                        さびしい眼をして
                        いき絶えた
                        この子の顔が75年たっても浮かんで
                        忘れられない
                        いままで言葉にできなかったが
                        このことを残さなければと
                        こじ開けた

                        6月になると
                        ちむわさわさして
                        ねむれない
                        摩文仁に行かなければ

                        テレビの画面は
                        臭いはない
                        音もない
                        震えるからだに
                        触れることもない


                  もうすぐ
                  だれもいなくなる
                  摩文仁の中にいた人々が

                  その子が
                  その孫が
                  悲しみと
                  摩文仁の意味を
                  引継ぎ
                  語り継ぎ

                  ねじれた歴史があることを
                  知らせなければならない

                  大雨に打たれた痕