ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

おきなわのとかげ~じゅーみー~

2021-01-30 20:01:57 | 日記
                     おきなわのとかげ~じゅーみー~

                   おきなわの
                   とかげ
                   手で触れると
                   自分で
                   しっぽを切り
                   逃げよる
                   足早のつもりの

                   くねくね
                   ぺたぺた

                   どうして
                   すぐ捕まっちまうのかな
                   雑草の生い茂るジャングルで
                   きょろきょろしているせいかい

                   こんなに朴訥に
                   地をはっていたら
                   ど人といわれたり
                   素直でやさしいねといわれたり

                   尻尾をいくつも
                   切り分けられて
                   もうすこしで解体
                   まあ
                   すでに切り分けられているようで
                   山ははげやま
                   時々迷彩が泳いでいる
                   とかげより不気味で

                   海は赤土で埋められて
                   海のものも逃げられず
                   窒息
                    
                   おきなわの
                   とかげは
                   へびじゃないのに
                   かなへびといわれ
                   哀しい尻尾きり

                   ほんとは
                   おきなわじゃ
                   じゅーみーというんだよ
                   じゅーは尻尾
                   みーは

                   みー
                   あい まい みー
                   わたし
 
                   みのある
                   みのうえばなし
                   の
                   みー
                                        

                    

                    

                    

3度目の非常事態宣言

2021-01-21 00:12:46 | 日記
                      3度目の緊急事態宣言


                  町は静まり
                  生きていくためには
                  朝歩き続けなければならない
                  
                  あの日の早朝
                  夜明け前までの大騒ぎの後
                  夢を見るために
                  あおり続けた
                  酒のビンを
                  蹴り
                  ビラの舞う通りを
                  曇った目と
                  まだふらつく足で
                  夜の続きから
                  すえた臭いをかぎながら
                  猫背で
                  すり抜けようとした

                  あの裏通りは
                  確かにあった
                  ごたごたした
                  胸の悪くなる声と
                  逆流する胃液を
                  噛み潰して

                  もうどこにもない
                  風景を
                  ちりぢりに
                  破いて

                  風に
                  流してしまうのだ

                  緊急事態という名前の下で
                  見えない
                  戒厳令
                  

希望

2021-01-16 21:53:24 | 日記

                       希望

                    3月になれば
                    青空の下
                    暖かい風に吹かれて
                    あの通りを歩き
                    珈琲を飲みにいこう

                    3月になれば
                    若葉の木の下
                    深呼吸をして
                    テーブルに腰かけ
                    苺ののったケーキを食べに行こう

                    3月になれば
                    新しい服に着替え
                    スカーフを
                    きりっと
                    りぼんにして

                    人差し指の向こうに
                    進んでいこう

                    太陽が
                    光っている
                    
                    
                    
                    

初詣

2021-01-14 19:54:27 | 日記

                      初詣

                   不器用に
                   ぬい合わせた
                   雑巾を
                   洗い直し
                   糸を解いて
                   今一度
                   縫い直している
                   ぼろ雑巾
                   

                    巣篭もりの
                    毎日
                    ゆっくりと
                    ご飯を作り
                    片付けし
                    周りを
                    見渡して

                    1分が
                    こんなに大事で
                    長いなんて
                    思いもしなかった

                  針が
                  ちくっと
                  指先を刺した
                  小さな傷なのに
                  血がにじみ
                  全身に痛みが走る
                  
                  しょうもない
                  こんな生き方がわたしなんだと
                  初めて生きているのだから
                  わからないから
                  いまだから
                  ちくちくと
                  後悔しながら
                  
                  変わりようもない
                  なみだぶつ
                  なみあみだぶつ
                  の
                  初詣
                  

                   
                   

むごんかん

2021-01-13 23:52:14 | 日記
                     むごんかん


                  アンテナは
                  さびて
                  古くなって
                  今にも折れそうだ

                  受信する
                  あちこちに
                  乱れ飛ぶ信号

                  今は
                  アンテナを
                  折りたたんで
                  メンテナンスをする

                  小さなさびを
                  削り落し

                  ぴりぴりと
                  感度が
                  とてもいいときには
                  あちこちに飛び回る
                  拾わなくていい信号まで
                  拾い上げ
                  ぴりぴりと
                  混線
                  乱れ飛ぶ

                     もう落ちつきましたか
                     さび止めを塗り
                     よく磨いて
                     受信する
                     信号を
                     よく見分けることが
                     できるようになりましたか

                     はい
                     でも
                     そんなふうになりますと
                     おもしろくないです
                     ちっとも
                     わくわくと
                     飛び回る天使も見えやしない
                     奥歯で
                     噛み砕いて
                     飲み込んじゃって
                     消化
          
                  外では消化も
                  火事の消火もできず
                  江戸の大火事
                  火消しがいないから
                  ぼーぼー、めらめら
                  恐ろしい大火事だ
          
                  熱いよ
                  熱いよ

                  75年前の
                  あの恐ろしさのような

                  言葉も燃えてしまって
                  むごん
                  無責任の結果
                  そんたくの結果

                  むごい死