ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

尺取虫

2019-01-30 23:09:44 | 日記

                    尺取虫




                きゅっと
                縮んで
                狭い
                窮屈な
                


                なぜかな
                不安と恐怖と
                この重さ



                そこらじゅう
                怪獣が歩いている
                距離をとって
                近づきたくない



                対人恐怖症なんだって
                妄想がぴこぴこ
                飛び出しては
                そこらじゅう
                走り回っている


         
                こわいこわい
                と
                書き続けると
                つきものが
                ぽとりぽとり
                と
                落ちていって



                あーすっきり
                

                単細胞の
                尺取虫

きしもじん

2019-01-28 20:42:36 | 日記

                    きしもじん


               にゅっと
               轆轤首が突然現れて
               噛み付いた


          
               轆轤首かとおもったが
               よくみたら
               ちろちろ赤い舌に赤い目


               
               自覚できない怒りを胸に抱いた
               もしかすると自覚しているが
               認めることができないもどかしさ
               が
               ちろちろ
               と
               赤く燃えているのだろうか




               目を閉じて
               見ていない振りをした
 



               鬼子母神
               赤ん坊を食らう
               鬼は
               

               自覚をしたとき
               あるいは
               どろどろとした沼地を
               かき回し


          
               そして
               静かに沈めたら
 

            
               澄み切った清らかな水
               になるだろうに
               
               

              


               


               

時間の意味

2019-01-27 11:47:39 | 日記

                  時間の意味



              陽の光を追いかけて
              風のなかで光とじゃれていた
              ねこは
              大きくなり
              


              光より
              同じ姿をした眼光鋭いしましま猫に
              挑み
              うなり声を上げ
              にらみ


              追いかけている
              おとなになったねこは
              不機嫌な顔で
              なでる手を
              拒否する


              こねこだった
              野性の育った
              ねこ

             
              成長するという
              時間の積み重ねという


              意味についてふと考える
              

同窓会

2019-01-26 22:46:49 | 日記


                  同窓会


               
              きのうの少年と少女は
              きょうは白髪の疲れた背中
              静かに笑っている


              セピア色の写真のなか
              運動場でバレーボールを肩でうけていた
              古い机で
              下をうつむいて
              居心地悪く
              もじもじと
              口ごもっていた


              紺色の制服のスカートは
              雨に打たれ襞が取れて
              青空の太陽の下でまぶしく
              恥ずかしかった


              同窓会
              あの日と同じで
              壁に寄りかかって
              みつめているわたし
              そして
              ゆっくりと冷たい風の吹く間を歩き
              珈琲で目を覚まし
              きょうに帰った


              戻れない日々だから
              通っていた道をたどって


              あれから
              ずっと
              変わらず
              うたいつづけている
              自分に
              気がついたのだ


              まっすぐに
              貫いていた
              この道

              
              
              
              
              
              

石臼の嘆き

2019-01-21 19:51:58 | 日記

                 石臼の嘆き


              唇は一文字
              石臼は
              四角の顔をして
              肉をぺろり
              頭の重さに悩んでいるのだが
              腹減るから
              皿に大盛りの料理
              を前にため息をつき



              敗北の力
              敗北の力
              と唱えている



              何があったのか
              わからない
              にこりともせず
              ひたすら食べている

     
                 
              余白
              余韻
              


              緑の木々の揺らぎ
              花壇の花の香り
              1/fの周波数
              がない


              あっ
              柔らかな感覚
              弾力性の欠如
              だ


              灰色の臼
              硬い四角
              打てば割れる


              石臼
              

              苦しいはずだ