ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

モノクロームの写真展

2016-08-28 22:44:56 | 日記


                    モノクロームの写真展


                街の片隅の
                小さなギャラリーで
                壁に並んだモノクロームの写真たち
                今日までの連続する
                声が聞こえてくる



                嗚咽とうめき声と
                怒りと
                握ったこぶしが
                空間を破って
                迫ってくる



                胸を突かれて
                涙が
                零れ落ちそうになった
                


              
                夕方
                秋になりかけた風に吹かれて
                パタパタと
                大きな2本の旗が見下ろしている
                威圧している
                


               
                シャッター通りの
                まばらな日曜日


                えぐられて
                変わりゆく風景に
                かくされて
                変わらない毎日



 
                  「むかしタオルにヘルメット
                   いまは
                   むこうがわの大量の紺色服が
                   サングラスに白いマスク」



               おばあの痛みが
               プラカードを掲げる
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                

あるよびごえ

2016-08-27 18:01:52 | 日記

                   あるよびごえ


              パン屋さんで
              パンを数個買った
              代金を払うとき
              その人は
              パンを乗せたトレイで
              手をそっと隠し
               


              その手の指は3本
              奇怪な指
              眼の行く先を気にしている




              仕事帰りのゆいレールで
              立ち姿は小人
              極端に短い脚先に
              おしゃれなヒール
              


              その人が
              中学校の同級生を思い出させた
              浅黒い顔の笑顔が浮かぶ
              その人ではないのかと
              じっと見てしまったのだが



              廊下で車いすを漕ぎ
              エレベーターを乗り降りする人は
              笑顔を見せない
              おはようの言葉が
              素通りして
              廊下の暗がりで
              かすんでいくのだ



              松葉つえのひとは
              ゆっくりと
              机の間を行き来し
              書類を
              配布していく



            
              パソコンを見つめるだけで
              トイレ以外は歩こうとしない
              人は
              無表情に1日を過ごし
              時間通りに帰っていく
              

           

              パソコンの中のデータは
              飲み食いした結果のその人の
              脂の詰まり具合




              久しぶりの飲み会で
              アルコールが飲みたくなった
              


              ねじまがった鍵の錆
              身も心も
              だれもが
              曲がりくねって
              いびつ
            
         
              奇怪
              
              



             
             

「沖縄の空白の1年」後

2016-08-21 11:00:46 | 日記

                    「沖縄の空白の1年」後



                あんどぅ やるい
                ぬーがら
                わかーとーたん
                


                琉球処分ん やしが
                にほんよー
                あめあめだらけさーに
                カロリーオーバーぬぅ
                肥満大国るぅ やしが
                動脈硬化ぬぅ 循環不全やあらんがやー
                あたま ん すかすかに さってぃ
                むぬん かんげーぐるさぬぅ


           
                じんが
                じんが

            
                まーさむんが
                まーさむんが

        
                しか
                かんげ-ることぅやねーらんがすらー


                
                あいえなー
                あまくま くじりてぃねーらんなとーるむんぬぅ
                ぬーんでぃ
                オリンピックでぃ
                かたじきらんとーならんむのーうふさんむんぬぅ

                あいえなー
                


                「日本、初めて銀をとりましたー!」
                感動さーなかい
                洗濯むん わしりてぃ 大雨んかい ふらってぃ
                びちょびちょ
                

                ぬーんならん
                コインランドリー代ぬぅ損失るやっさい
                たしねーならん
                



                


                
                     「沖縄の空白の1年」後



                ふーん そうだったのか
                なんとなく
                そうじゃないかってわかっていたような気がしていた
                


                琉球処分もそうだが                
                ニホンよー
                あめあめだらけをくわされて
                カロリーオーバーの
                肥満大国じゃ ないのか
                動脈硬化の 循環不全じゃないのか
                頭も  すかすかに されて
                ものを 考えることさえ 困難で


           
                お金が
                お金が

            
                おいしいものが
                おいしいものが

        
                しか
                考えることがないのか


                
                あいえなー
                あっち こっち 壊れてなくなってしまったのに
                なんてー                
                オリンピックって
                片づけなくてはならないものが多くあるのに

                あいえなー
                


                「日本、初めて銀をとりましたー!」
                感動してしまって
                洗濯ものを取り込むのをわすれ 大雨に 降られ
                びちょびちょ
                

                なんにもならない
                コインランドリー代のお金の損失になってしまった
                足しにもならない
                

宣言

2016-08-18 10:33:18 | 日記

                   宣言


                小さなしみ
                茶色の
                幼いやきもち




                成長とともに
                しみは消えず
                濃い茶色になり
                黒々の
                真っ黒に



               
                やきもちではなく
                嫉妬にはならず
                受け入れられない
                嫌悪
                嫌悪が
                憎悪になって
                真っ黒け



                なんだろか
                価値感の
                相違
                それぞれにそれは違うことは知っているが
                毛羽立って
                虫唾が走る



       
                底に走る
                川の流れが違うのではないか
                この数十年に
                生きてきた
                よどみの
                臭さの違いか



                すでに
                レジの明細書が流れて消えている
                使い捨ての
                金の
                行く末



               
                レジは使わず
                暗算で
                超ガラガラで
                貫き通すさ              
  


                
                
                
                

さもありなん

2016-08-14 23:00:23 | 日記
                  さもありなん



               さもありなん
               

               さーさー
               みてらっしゃい
               よってらっしゃい



               たのしからずや
               からっぽのあたまで
               なにもない
               まっさらさらで
               



               そうもいかず
               すりこまれた記憶装置は
               埋め込まれ済みで
               恐るべき
               DNA
               暗闇を掘り起こせば
               沈黙の空白の中に
               また闇
               残酷な
               無責任の
               残骸



               こんなふうに
               見渡せば
               見ようとすれば
               知ろうとすれば
               知らなかったことが
               ひとつ


          
               闇から
               立ち現われて
               


               口を開く
               苦しみを乗り越えた
               皺の
               生きてきた重さに
               


               ただただ
               こうべを垂れ



               この暗闇を
               見てみよ
               立ちどまり




               頭を上げ
               見つめてみろ