ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

夜の風景

2015-10-30 15:52:45 | 日記

                    夜の風景



                秋風に乾いた洗濯物は
                ぱりぱり


                風に揺れもせず
                森の奥に
                潜んでいる暗がりを
                恐れ
                夕焼けのロマンも
                消えて
                暗い夜道を
                おそるおそる
                走る



                さみしい電光と
                孤食の
                箸が
                窓ガラスに
                映っている



                すでに
                夜
                眩しい昼間の大声は
                星空になったのか



                涙を流さないために
                見上げた紺色の空を見つめて
                


                何を頑張るか
                対策を考えている
   



                

なにかー!

2015-10-29 09:22:54 | 日記



          なにか!


               「上意」でござるか!
               3分のラーメンでござるか!
               紙を差し出して
               背を向けてお帰りか!



               丁寧な説明はござらんのか!
               これが御上のやり方でござるか!




               毎日朝早く 夜遅くに
               屋根の上を金属音と爆音が行きかうでござるよ!
               平和国家には犠牲が必要でござるよの!
               今度は海をつぶしてくれるのか!




               どんな平和!?



               腐った柿。
               



                   
               



               
       


               
               
      

           

失態

2015-10-28 17:56:39 | 日記

                    失態



                だらりだらりと
                秋の昼下がり
                珈琲屋は
                閑散として
                駐車場は広々
                車を入れて
                降りようとしたら
                あっと
                お財布はすっからかんだと
                気づいた


                
                お金を
                ATMから
                引きずりだして
                と
                探していたら



                哀しい疲れた車は
                とらわれて
                珈琲屋のウエイトレスは
                冷たい顔を向けもせず
                「お昼休みですので出て行ってください。
                  この方お二人はお約束の方ですから。
                  今すぐ車を出して出て行ってください。」
               

                あーあー
                説明したのに
                無断駐車じゃないのに
                ただうまい珈琲が飲みたいと
                わざわざ
                遠回りしてきたのに



                中に入ってから
                外に出ていけばよかった
                と
                後悔しても
                苦い
                涙を呑んでしまった



              
                いいかげんな
                だらりだらりの
                もったいない時間を過ごしたのが悪かった



                悪かった
                センチに
                無理やり過去に戻ったのが
                悪かった



                口直しのコーヒーは
                いつものケーキハウス
                にこやかな茶器に
                少し
                苦みが薄らいだ



                ゆう しったい
                ゆう したい


                反省するお猿さん

                
                

ある物語

2015-10-28 10:22:03 | 日記


                   ある物語



                ぱっかっと
                夜になると
                右の頭が
                あくんだよ
                そしてね次から次に
                50年前が
                でてきてね
                床の上で
                罵り合うんだ



                私の頭はどうなっているのかねえ
                助けて
                眠れないんだよ




                骸骨の上に人間の皮が覆われて
                息が
                息が苦しい

                


                美しさの残骸が叫んでいる
                残バラの髪に
                欠けた歯
            


                鏡なんか見たくもない

                

                大きな太った猫が寄り添った
                哀れな人間型ロボット
                  

                
                壊れたロボット

                

                自分を押し殺し
                50年の歳月を
                金の工面と
                いいヒト仮面をつけてきたら
                ついに
                壊れてしまった



                ある笑わぬ老女の物語   
            

秋の手紙

2015-10-26 13:45:58 | 日記

                   秋の手紙


                お元気ですか。

                霧深い丘の建物が懐かしくて
                出かけていったのです。
                白くかすんで
                未来が見えなかったあの頃のように
                霧の中を通り抜けようと
                前を見つめて
                必死でした。


                怖い怖い
                前が見えない、と
                つぶやいて
                ハンドルにしがみつき
                あの頃は
                うつむいて
                前も周りもみなかった
                盲目の手探り
                白の壁を伝い歩いて



                雨がやみ
                坂を下りると
                風景がはっきりと見え



                過去の風景は
                幻で
                むき出しの今が
                過去をよみがえらせ
                生きてきたように
                今も生きているのだと
                

                遥かな
                愚かな自分を
                認めることが
                未来に
                向かう指針ではないのかと
                考えているうちに
                

                楽しかったあの日に
                ついたのでした。


                リニューアルのあの日は
                いつでも
                再生し
                巻き戻したフイルム


                懐かしむより
                新しく踏み出すことが
                再生になるのではないかと