ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ずいずいずっころんで

2021-09-30 02:01:21 | 日記
                      ずいずいずっころんで


                   9月の終わりは
                   秋風が舞い

                   秋風は
                   冬の始まりのはずが
                   冬が来ない

                   時間がそこで止まり
                   ただ
                   茶色の葉が
                   こなごなに朽ちているばかりで

                   しかし
                   それは
                   そのように仕組まれた
                   時間の在りようで

                   ススキの穂や
                   冷たくなった風が
                   頬を掠めて
                   行き過ぎるのだ

                   知らないままに
                   風は
                   行き過ぎるのだ

                   生きていたことさえ
                   忘れて

                   時間の沼に
                   落ちて

                   ずるずると
                   ずるずると

                   生きている間に
               
                   時間の沼の深みに
                   はまって

                   引きずられて

                   ずるずる

                   



かみよ

2021-09-14 00:50:41 | 日記

                       かみよ


                   どこにも飛べず
                   古い巣の中でうずくまっている
                   ひなどりのまま
                   むしりとった羽は
                   どこぞに
                   落としたのか

                   飛んだつもりの白鳥は
                   居心地の悪い南の島で
                   地団太を踏んでいる
                   はて
                   どうしてこうなったのか

                   すなおな
                   おとなしい子を
                   細長い爪で
                   捕獲し
                   食いちぎった蟷螂は
                   満足したのか
                   肥え太り
                   薄汚いゲップをひとつ

                   少年を
                   手に入れた
                   おばばは
                   嫉妬に狂って
                   夜叉に変わってしまい
                   ほんとのおばばになり

                   そんなこんなで
                   ひとり
                   周りを見渡して
                   そのしぐさやふるまいを
                   そっと
                   みつめているうちに

                   長い道を
                   あるいている
                   ひとりぼっちは
                   そんなもんかなと
                   つぶやくしかなくて

                   いまだ
                   あがいているよ

                   かみよ