ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ちむぐるし

2021-10-29 11:08:33 | 日記
                      ちむぐるし

                   なだそうそうは
                   くるしい
                   はなつまり
                   あたまがいたい

                   さんそけつぼうで
                   なにもかんがえられなくなる
                   めがおおあめのがらすまど
                   しろくくもり
                  
                   なにをしようとしていたっけ
                   あんちゃんのへやのなかで
                   たちつくし
                   
                   いまにもかえってくるようで
                   さわるな
                   よけいなことするな
                   と
                   いわれそうで

                   なにもせずに
                   はなみずを
                   すすりながら
                   かいだんあぶない
                   ころげおちたら
              
                   だれもたすけにこない

                   不器用な兄妹は
                   生きることに戸惑いながら
                   寄りかかって
                   いたのかもしれない

                   しっくい
                   がんしな
                   
                   屋根のはり

                   そのむかしむかしから
                   続く

                   記憶のおく


この炎

2021-10-16 22:05:31 | 日記

                     この炎


                   どこへ
                   かえろうか
                   
                   18の
                   図書館か

                   13の
                   あの白い坂道か

                   それとも
                   暗い夜道で
                   ランプの明かりの中
                   おばあさんの背中の
                   3歳か

                   存在の途中の
                   母の羊水に
                   おぼれず
                   ぷかぷか
                   浮かぶ
                   小さな命の中か

                   もうかえれない
                   ぷかぷか

                   ろうそくの炎
                   の揺れる

バームクーヘン

2021-10-10 17:48:32 | 日記

                      バームクーヘン



                  さよなら
                  今日の日よ

                  大事に
                  大事に
                  1日を過ごすんだ
                  と
                  思いながら
                  居眠りをして
                  いつのまにか
                  ぬれている頬を
                  拭っています

                  風が
                  少しだけ涼しげに
                  吹き渡って
                  いままでそこにいて
                  聞こえていた声が
                  遠くで
                  こだまになり
                  小鳥の
                  鳴く
                  木々の間を
                  通りすぎていきました

                  さよなら
                  きのうの夕日よ
                  きのうの朝の
                  悲しみよ

                  悲しみが
                  積み重なって
                  真ん中が空洞の
                  
                  バームクーヘン
                  湿って
               
                  塩辛い

                  むしゃむしゃと
                  もう食べることができない

                  小皿に残し

                  おしんでいる

雨の夜に

2021-10-08 00:36:03 | 日記
                       雨の夜に


                    時計の針が
                    コチコチときこえる
                    振り子が左右にふれている

                    明日
                    いつものように過ごすだろう
                    だけど
                    2階の明かりは
                    消えたまま
                    携帯が鳴らない

                    明日
                    ろうそくに火をともし
                    お線香を手向けるだろう
                    こころ傷む
                    日々が
                    かさぶたで覆われ
                    
                    見送るという
                    痛みは
                    いまだ
                    終わることなく

                    しくしくと
                    今夜の雨が
                    地面に
                    しみこんで
                    地中深く

                    深く
                    底まで
                   
                    

兄に捧ぐ

2021-10-02 14:53:57 | 日記

                兄に捧ぐ

       兄逝きし
        夏の終わりに
       蜻蛉の羽

         頑張りは
         もう限界と
         暗き眼窩



            死の床で
            宙を見つめる
            眼窩ぬれている


             ビールを
             一口含み
             朝に逝く