ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

あたらしい冬のあんちゃん

2018-12-29 20:41:28 | 日記

                   あたらしい冬のあんちゃん




               あんちゃん
               きょうは風が強くて
               さむいね
               2年前のように
               冷たい雨が降っている



               だいじょうぶか
               外にでかけて



               きょうだいみんな
               それぞれに
               寒風のなか



               足も手も動くから
               よかったよ



               2年前には
               寒さもなく
               年末も新年もなく

               

               痛いだけの
               冷たい雨だった


               普通に近い日々が
               ありがたいね


               もうすぐ新しい年だ


               
               




12月の観察

2018-12-29 20:01:15 | 日記
                 12月の観察



              グラスのなかの砂を
              飲み干した


              
              しかたなく
              参加した
              忘年会
              1年の締めくくり



              曲がった胃が
              じゃりじゃり
              味けなく
              


              そこは
              それぞれの
              プライドを
              披露する場所で


        
              大掃除がうまくいかず
              急いで身づくろいした
              自分が
              その場にはふさわしくないと思って
              きゅっと
              縮んだ
              背中


             
              ひそかな
              誇りは
              気高く


             
              そこにはいない
              つもりで
              見渡し


              
              観察


         
              居心地の悪い
              ピラミッドの下
              石の上
              
              
              

斜塔

2018-12-22 12:03:29 | 日記

                  斜塔




              グレーの塔の
              地下室で
              ちょろちょろと
              あるいは
              本棚の中で
              居眠り




              たまにでてきて
              ねこに
              ご挨拶
              ねこを遠めに
              グレーの塔の住人を
              タップダンスで
              慰め
              いやしている
              つもりで




              グレーの塔は
              世界のささやかな一部分
              しかし
              世界の雨粒の影響は
              ぬぐえず
              侵食され
              ひび割れ
              腐蝕



             
              白く
              輝いていた
              塔が
              危うく


         
              ピサの斜塔は
              傾きを
              とめて
              修復に向かっているのに
              



              
               
              
              
               

OKINAWA あおいそら・あおいうみ

2018-12-14 22:21:26 | 日記


                    OKINAWAあおいそら・あおいうみ


               あおいそら
               12月14日の午後は心地いい風が通り過ぎ
               夏の日差しの陽




               あおいうみ
               波の音が
               足元に近づいて
               しろい泡に
               飛び込んでみたい



               砂は
               指先に
               とどまって
               やさしく
               ふれてくれる




               あおいうみ
               きょう
               鋭い鉄の爪が
               引き裂いて
               


               悲鳴を上げて
               ちが
               噴き出した
               



               あおいうみ
               あおいそら
            


               引き裂かれる
               いのち



               こどもが
               なきさけんだ
               波打ち際で
               まいごのこねこのような声で


               
               

                
               

ベーコンのイドラ

2018-12-10 22:30:00 | 日記

                  ベーコンのイドラ



               その人の眼は
               暗い洞窟の中で
               とらわれていた
               自分は誤解されている
              


               洞窟の暗さは
               狭い穴にあるからで



               人々が集まる劇場にも
               明かりのない
               暗さがあり
               舞台の上で
               ろれつのまわらない
               大声で
               せりふを
               叫ぶからで



               眼の光は
               舞台の上にいても
               満たされないので
               暗いのだ



               着せられた
               女王のドレスも
               重く
               床の上を
               ずるずると
               引きずっているからで



               いがぐりの
               衝突は
               孤独を深くするだけで
               


               そこでは
               近づいているようで
               ずっと
               ずっと
               遠ざかっている


            
               劇場のイドラを自覚していない