ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

小指の叫び

2015-03-30 09:59:37 | 日記

                      小指の叫び




                 あなたがかんだこゆびはいたい
                 きのうもきょうも
                 かまれているばかりのこゆびは
                 ひだりのこゆび



                 みぎのこゆびが
                 はんらんおこして
                 あなたにおそいかかるわ




                 みつまたまでかりだして
                 おそいかかるあなたは
                 DV
                 ではなくて
                 おかみの上意かしら



                
                 みぎまわりの
                 あなたのおつむを
                 ふりむかせたい


             
                 きのうのことを
                 ふりかえってね
                 やきつくされたわたしを
                 どうぞ
                 おもいだしてね




                 70年まえのまたそのまえに
                 もどらないでね



                 あなたがかみっぱなしのこゆびはいたい
                 こゆびのさきは
                 あなたの
                 最先端のアンテナなの

                 
                 


                 
                 

背中

2015-03-27 14:28:26 | 日記

                      背中



                  背中の荷は
                  想像できない

                  
                  後ろ姿に
                  春の日を想い
                  年月を
                  思い知る


                  その珈琲屋は
                  春の日のままで
                  整然とし
                  余計なものは置いていない
                  並べられた年代物のコーヒーミルだけが
                  そのたどってきた時間を物語っていた



                  コーヒーの香りも味もそのままで
                  思わず
                  涙が
                  1滴
                  あのころの苦味を
                  思い出していた
                  コーヒーの味は
                  しらない
                  ただかっこつけて飲んでいただけで



                  こだわりはアイスコーヒー
                  マスターは
                  白い眉に
                  白い髪で
                  にこにこ


                  あのころは
                  眉間にシワ寄せて
                  コーヒーをだしていた




                  丸くなった背中
                  甘いコーヒー


             
                  背中で聞く
                  マスターの声



                  「ありがとうね、アイスコーヒーがおいしいよ」



                  今度は
                  逆らわずにアイスコーヒーにするさ
                  


                  「またきます、おいしかった」
                  
                  
                    
                               
                 

               


               
                

夜空の彼方で

2015-03-25 09:52:07 | 日記

                  夜空の彼方に




               夜空に
               鋭利な三日月
               そして
               その先に星



               冷たく輝いている





               陽が落ちて
               紫の空から
               夜に変わったとき
               空を見上げた



               濃い藍色が
               月と星に照らされて
               



                    空に
                    早朝から
                    ジェット音
                    耳に
                    キーンと
                    突き刺さる
                    



                    カエルになってはならない
                    と
                    吠えて
                    とびかかった
                    


                    蛙飛び
                    この吸盤で
                    蹴り上げろ


                 
               海の上で
               大波
               空の上で
               白の煙




               月と星は
               哀しい
               空さえ見上げることができない
               ひとびとが
               砂埃の中で
               叫んでいるから




               普通の暮らしを
               静かな
               庭のテーブルで
               空の
               風をみることができるように
                

なめくじ

2015-03-23 14:57:50 | 日記

                     なめくじ



               コップの中の大海
               くるくると
               さざ波を立てると
               大きな波




               コップの中から
               眼の酔った
               魚眼が
               こっちを見つめ返している




                   うつむき加減の
                   内向きな
                   思考は
                   何も生み出さない



                   蝸牛の
                   殻に丸まって
                   くるくると
                   右回りの世の中を
                   くるくると
                   自分も回りながら
                   思考しているつもり
                   の
                   下手な考え
                   休みに似たり
                   の
                   自虐




                   つのをだすまで
                   しばらく
                   こもり
                   やりをだし
                   殻をそっちのけにして
                   つるり
                   と
                   裸
                   



                   なめくじだ
 


                   なめんなよ
                   
                   




               



みたびのハル

2015-03-20 16:28:55 | 日記





                           みたびのハル



                  遙かなるこの道の
                  うしろ



                  帰れない
                  道のりを
                  幾たびも幾たびも
                  振り返り
                  たどり




                  変わりゆく景色を
                  なぞり
                  消えていった
                  風景を
                  描きながら




                  ここにある
                  



                  去っていった人々
                  去っていく時間



                  さらさらの砂の
                  時計が
                  一粒
                  一粒
                  おりても
                  なお
                  続けること



                  暴風雨ならばなおさらに



                  はるかむこうの
                  砂嵐の虚しさにも