ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

掃除のおばさん

2020-01-31 23:34:44 | 日記

                         掃除のおばさん

                     いつのまにか
                    怒りを納め
                    にこにこと
                    タメぐち

                    理路整然に疲れ果てて
                    

                    「あんたよー
                     私は前に病気して
                     歯槽膿漏もして
                     歯医者通ったけど
                     まだよくならないさー
                     そしたら
                     今度は蓄膿でよ
                     頭重くて
                     髪の毛
                     施設カットにしてっていって
                     刈り込んでこうなってしまった
                     でも
                     なにがあってもね
                     世の中に出て行かないと
                     精神が痛むよ

                     はい、あんたもがんばって
                     あい、外行かないでさびしいから
                     こっちに座っておきなさい」

                     掃除のおばさんに
                     好かれて
                     追いかけてきては
                     弾丸の言葉を浴びせられて
                     くち あんぐり

                     いつも廊下とトイレを
                     ひとりでせっせっと
                     水びたしにしては
                     モップでふき取っている

                     「今の世の中はつながりが切れているから
                      家族がひどい
                      葬式があるときにやっと連絡来るけど
                      遠慮しーしーさね
                      仲悪いでもないけど
                      むぬ(言葉)いいかんてぃーする(かけるのも難しい)
                      なんでこうなったかねー」

                     掃除のおばさん
                     的確な社会観察をしている
                     いつも
                     下うつむいて
                     モップがけだけしているかと思っていた

                     「そうだよね、どうなるんかねー、これから」
                     思わず、うなづいてしまった
                
                     来週からどんな体の不調を訴えるのか
                     わたしも歯痛
          

硬いりんご

2020-01-26 00:28:53 | 日記
                             硬いりんご

                    ぶよぶよ
                    ぷっくり

                    ぎとぎとの油が
                    したたっている
                    ぼとり
                    ぼとり

                    軽い
                    思いが
                    気持ちの中で
                    重々しく
                    崇高なことをしている
                    と
                    思っているんだろうな

                    机の上の
                    ボランティアの本
                    じゃらじゃらの
                    腕時計では
                    信憑性がない

                    パソコン
                    買い換えるんだけど
                    なんとか
                    払い下げで
                    安いもの
                    買えないかな

                    えっ?!なんで?
                    わたし 3種類 持っているわよ
                    
                    首をかしげた
                    こっちも首をかしげた
                    
                    てかてかした顔に
                    嫌気が差して

                    見方が狭いのかな
                    だけど
                    ふるまいは
                    やっぱり解せない

                    外見も言葉も
                    その人間の一部を現している
                    と
                    どなたかが言っていたな

                    心が狭い狭いと思いながら
                    受け入れられない
                    自分をどう考えるか
                    
                    自分に問いを向けている
                    
                    有閑マダムのボランティア
                    やらないより
                    ましか

                    噛み砕けない
                    硬いりんご

                    痛っ!
                    
                   
                    
                    
    

種よ

2020-01-23 17:57:25 | 日記
                      種よ

               熊が不眠症になりまして
               眠れないんだと
               落ち着かず
               山道を下っていくと
               街にでてしまいました

               プーさんは人気者で蜂蜜を食べ
               赤い上着を着て
               楽しそうに
               スキップしている

               プーさんではない
               普通の熊は
               街の建物の階段で
               うずくまり
               致死量以上の麻酔銃が突き刺さり
               絶命してしまいました

               ふらふらと
               街にでたのは
               眠れないからで
               眠れないのは
               生活リズムが狂ったから
               夜更かししたわけではない
               冬のはずなのに
               春の陽気で
               ぽかぽかだから
               眠れやしない
               いらいらするし

               人間だって
               眠れないと
               険しい顔になって
               眉間にしわ寄せて
               牙むきだして
               ひとに
               噛み付くだろうに
               当り散らして

               人間さ
               欲深く
               飲んだり食ったり
               燃やしたり
               土をえぐりとり
               何かを掘り出したり
               何かを空高くあげたり
               
               大移動

               宇宙さえ征服できると思ってないか

               ふしだらな
               乱れ狂って
               地球まで狂わして

               価値あるものとは
               きんきんきらきら

               そっと隠れて生きているものを
               食らおうとするから

               コロコロ
               コロリ
               転がって
               地球を駆け巡って

               ウィルスが
               回る
               美しい地球に

               種よ

               

矢印

2020-01-22 20:29:30 | 日記

                矢印


              山の坂道
              緑の木々が立ち
              白い矢印
              まっすぐ直進か

              ここにこい
              と
              声がする
              
              そこに行けば
              どこにたどり着くのか
              何があるのか
              もうひとつの
              道に行こうとすると
              そこじゃない
              ここだよ
              と
              また声が聞こえる
              声の主は
              知っているような
              そうではないような

              坂を上り始めたところで
              目が覚めた

              その坂道を行けば
              たどり着いたときに
              なにに
              だれに
              出会えるのだろうか

              太く
              立体の
               矢印

              不思議な今朝の夢

              背負った矢
              怖いものなしの
              ⇒ 矢印

              




大寒

2020-01-20 17:18:53 | 日記

                 大寒

               沖縄も
               とりあえず
               一緒に大寒
               でも 20℃
               灰色の雲が
               寒そうに空一面
               青空も覗いてこない

               セーターを着込み
               ついでにマフラーを巻いて
               真冬の沖縄だ

               明日を考えている
               今日を精一杯過ごし
               しのいで
               明日につなげたいと
               いまを積みあげることで
               明日になるというのに
               「明日を思い煩うな
                今日の今を生きること」
               なんて
               カレンダーの標語が
               叱咤激励している

               立っているところを深く掘れ
               そこから泉が湧くかな
               それとも
               金銀の財宝がザックザックでてくるかな
               「ここ彫れ
                わんわん」

               わんや わんちゅいしか うーらん
               じぶんというものはじぶんひとりしかいない

               力んでいる自分

               足元をとんとんとたたき
               毎日
               毎日のスタートに備えている