ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

きょうだいあい

2017-04-15 23:11:42 | 日記

                   きょうだいあい



               何百光年の星屑が
               みえない
               みえるはずの夜空の星は
               暗闇で
               真っ暗くら



               蔵は
               空っぽ



                 最初の他人は
                 面倒くさいきょうだいで
                 横たわる深いかこうは
                 わかりやすく
                 わかりにくいことば
                 解読するには
                 幼いころのことばと
                 長い断絶した時間のずれが
                 バイアスとなり


                 ななめのねじれた
                 切り取りたい
                 布切れ
                 

                 垂れ下がって
                 くさった
                 パパイヤの黄色
                 その重さで
                 落下して
                 割れる



               かわいさあまって
               憎さ千倍の
               闇のなかの
               暗い感情


              
               ひやさっさ
               頭冷やして


               取り戻す

              
               うつくしききょうだいあい

茶色に染まる

2017-04-15 22:46:26 | 日記

                       茶色に染まる



                茶色が
                覆い
                茶色の
                クレヨン
                1本
                2本
                



                画用紙の白が
                茶色に染まっていく
                



                毒されて
                茶色が
                茶色であることが見えなくて
                ただ
                ただ
                ぺージュだと
                思い込み
                飲み込み



                泡ぶくぶくの
                茶黒の肌色


                ぶくぶくと
                沈んでいくのを



                おい
                止めろ


                
                戦争を知らない子のまたその子は
                弧の
                個の
                切れた鎖に繋がれた
                さみしさも知らない子ら



                そんなこにしたのはだれか

あんちゃんのいま

2017-04-07 22:29:53 | 日記

              あんちゃんのいま



         山道を
         がたがたと
         あんちゃんを乗せて
         あんちゃんの仕事場への道をゆく



         あんちゃんは
         山道を
         毎日
         孤独な思いで通っていたのか
         



         緑深い山道
         



         あんちゃんの憧れは
         アカシアの大連
         雨に煙った
         やまとホテルの玄関で
         京劇の女が
         耳まで裂けた口で
         待ち受けているものを
         疑わず



         ロマンの
         三国志にかぶれて
         ぶつぶつの
         水虫のはだしの足



         口裂け女に飲み込まれて
         胃の中で
         酸に溶け
         毛細血管の破裂
         失った漢字の日本語


       
         何者なのかわからなくなり
         はい
         わたしは土人で
         琉球人です



         インターナショナルなグローバルな
         ノンバーバルの
         どこにもいない
         孤独な
         

         あんちゃん


         いまも
         山道で迷子

あられの降る

2017-04-06 22:25:39 | 日記
                    あられの降る




                 空を駆ける風に
                 問うてみる
                 どこからきて
                 どこへいくのか
                 と
                 問われ続けていることだから
                 風は
                 何も答えない
                 


                 言葉を失った
                 文字は
                 記号
                 その裏側で
                 暗躍する



                 連れ去られようとした
                 魂は
                 ちぎれた脳の一部を
                 いまだ補えず
                 吃音している


             
                 小学校の1年生の
                 冷たいあられの下
                 もくまおうの枝から
                 滴る
                 一語
                 一語
                 さみしい過去が
                 降ってくる


                
                 これまでの生きてきた
                 結果としても
                 


                 むごい
                 

4月の風

2017-04-02 23:32:15 | 日記

                      4月の風



                  4月の風を
                  背に受けて
                  戻る
                  あの場所へ
                  熱を帯びて
                  過ごした日々
                  帰ってはこない時間が
                  そこにあって
                  



                  風は南風
                  傾いて
                  オレンジ色の
                  空
                  からっぽだった
                  こころに
                  風をあつめて
                  つめこんだ


                  
                  あの日の
                  揺れていた木々の間の風
                  階段の
                  靴音
                  夕暮れの中の蛍光灯



                  毎日の不安を
                  風に逃がしてやる
                 

                  風来坊


                  生きていりゃこそ
                  つぶやいて
                  かえる道



                  まぶしい夕焼け
                  4月の風