小学校
さようならなんて
いえない
もったいない
から
するすると
あとかたもなく
すべてがきえていく
から
だから
書き付けて
爪をつきたたて
なかったことには
しないように
記録する
風景が
消えた後に
しまった
と
後悔したのだ
小高い丘の森が
消えた後に
大事な緑の森だったことに
気づいたから
朝の清潔な風が森から
吹いてきていたのに
森の向こうにある
小学校が見えなくなっていたので
胸の奥にぽっかりと
穴が空いたようで
スーパーマーケットの
建物が
目隠しのように
胸がふさがったのだ
みどりの小学校
小さなわたしにあうための
小学校
小さなわたしに
またね
いつでも会いに行くから
さようならではなく
またね