ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ある星でのわかれ

2019-10-29 19:22:35 | 日記
                   ある星でのわかれ
                    


                ある日の
                昼下がり
                木漏れ日
                きらきらと

                二度と見ることができない
                今生きている
                時間

                去り逝く人が
                言葉を残し
                生き様を残し

                そして
                しずかに
                アデュー

                ただ
                画面で
                書物で
                しか
                知らないのに
                さみしい

                
                
                
                

私的青い鳥の物語

2019-10-25 20:58:53 | 日記

                   私的青い鳥の物語


               深い森の中で
               立ち止まっている
               のは
               ちるちるみちるの
               青い鳥

               かごから
               はるか向こうに
               飛び立ってしまった

               夜明けに
               うっすらと光が差してくると
               鳥の声がする

               何もなかったきのうを
               感謝して
               きょうを迎え

               きのうは
               うすぼんやりと
               霧のように
               光で消えてしまった

               ちるちるは
               おじいさんになってしまったのだが
               おじいさんになってよかったのに
               おじいさんの強さを棄ててしまったので
               みちるは
               頼みにしていたちるちるの姿を
               認めがたく
               悲しんだ

               青い鳥を
               探し回っていた頃が
               懐かしく
               探すことが幸せなことだった
               と
               心が痛んだ

               いつまでも
               ちるちるみちるのままでは
               いられない
               人間の生きる時間を
               かみしめた
               
               
               
               
            
               

風見鶏

2019-10-22 12:24:14 | 日記

                     風見鶏


                あっ
                風向きが
                変わった
                南から北へ

                北のてっぺんは
                はるか向こうで
                くるり
                くるり
                風見鶏

                眼を覆われ
                どこへ向かったらいいのか

                    惨たらしい出来事が
                    毎日毎日
                    ひっかりようもなく
                    ひらひらの薄っぺらな紙に
                    乗せて
                    凧の足

                いい
                もういい
                耳をふさぎ
                眼を閉じ
                何も思わないように
                こころ閉じてしまおう
                と

                アンテナが
                風にあおられ
                受信不良
                感度が乱れ
                画面が切れ切れ
                真っ黒になって
                音声がない

                    大人はバームクーヘン
                    こどもをくるんで
                    それぞれの時代を積み重ねて

                恐れずに
                いのちは
                続いているから
                発信する手立ては
                まだもっているから

                うん
                お腹に力をこめて
                
                
                    
                

                
 
                    

               

みずのあお

2019-10-19 11:59:13 | 日記

                     みずのあお



                あまりに強い風が吹いたので
                言葉が
                音にならず
                散っていった

                水が
                さらさらと
                流れるときには
                心地いいので
                癒されると
                そこに
                たたずみ
                きくのだが

                地球の上から
                海があふれて
                どんどん
                暗闇に 
                おちて

                ひとは
                宇宙の
                粒になってしまい
                ぐるぐると
                回るまでもなく
                ずっとずっと
                何億光年もの
                遠くで
                ひとりぼっちになり

                その指を離してしまったので
                はりねずみから
                あなぐらのなかの
                見ることができない
                遺産になろうとしている

                青く見えたのは
                透明な水に満たされていたから
                
                
                
                

2019-10-13 20:38:39 | 日記
                     

                     


                かあさん
                この道をまっすぐ行けば
                たぶん苦しかったけど
                子供たちが育って
                期待に
                希望が膨らんでいた
                あの家があった道にたどり着くよ
                風景は
                空に浮かぶ乗り物で
                変わってしまった

                かあさん
                あの乗り物に乗って
                空から
                町を
                覗いてみたかったね

                かあさんが歩いて通った道は
                雑草だらけで
                白い石ころだらけだったのに
                黒いアスファルトで
                覆われてしまったよ

                あの頃は
                もう過ぎていってしまった
                のに
                あの道を
                たどると
                おかっぱの小さい子と
                穏やかに笑っていた
                かあさんが
                歩いているよ