秋の昼間
雨の日に
傘の中で
雨粒を見ているとき
曇り空の
鉛色の雲に
風の行方を見ようと目を凝らすとき
晴れの日には
青空を見上げて
風の中に陽の香りを感じるとき
このまえ
人ごみの中で
ひとりなのに一人ではないと
ふと
思った
家族のなごりは
幼いころと
大人になって
濁ったお茶の底のような
ごちゃごちゃの
葉っぱの切れ端
どうしようもなく
言葉が
ひっこんで
喉に魚の小骨
風がさらりと
通り過ぎて
木の葉が揺れている
ひとりの昼下がりのコーヒーに
ふいに
隣のテーブルの
知らないおばさんが声をかけてきた
「ごめんね、うるさいでしょう。
合唱サークルの帰りにランチに来たら
こっちって服まで置いてあるからさ。
コーデイネーターになって、いろいろいっているさ。」
わかっていた
空っぽの心を案じて
現実に戻してくれた
はじめて
おしゃべりという救いを知ったとき
空は時々仰いで
隣の花子さんに話しかけてみるのがいいかもしれない
と思った
秋の昼間
雨の日に
傘の中で
雨粒を見ているとき
曇り空の
鉛色の雲に
風の行方を見ようと目を凝らすとき
晴れの日には
青空を見上げて
風の中に陽の香りを感じるとき
このまえ
人ごみの中で
ひとりなのに一人ではないと
ふと
思った
家族のなごりは
幼いころと
大人になって
濁ったお茶の底のような
ごちゃごちゃの
葉っぱの切れ端
どうしようもなく
言葉が
ひっこんで
喉に魚の小骨
風がさらりと
通り過ぎて
木の葉が揺れている
ひとりの昼下がりのコーヒーに
ふいに
隣のテーブルの
知らないおばさんが声をかけてきた
「ごめんね、うるさいでしょう。
合唱サークルの帰りにランチに来たら
こっちって服まで置いてあるからさ。
コーデイネーターになって、いろいろいっているさ。」
わかっていた
空っぽの心を案じて
現実に戻してくれた
はじめて
おしゃべりという救いを知ったとき
空は時々仰いで
隣の花子さんに話しかけてみるのがいいかもしれない
と思った
秋の昼間