ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

うるま島

2015-11-27 10:38:59 | 日記

                     うるま島




                 迷い道
                 迷子というにはすでに母も父もなく
                 



                 迷い道
                 迷うほどの道はなく
                 ただただ
                 まっすぐの道をわきめもふらず
                 細かろうが
                 大きな道であろうが
                 そのままつっこんでいって
                 路地に突き当たり
                 あとは路地裏の一人、二人だけ通れるような階段で
                 通り抜けできませんの看板
                 切り返し切り返し
                 戻った私は
                 冒険だったとひとりごちた




                 戻り道
                 帰るところは
                 あの丘の下の家で
                 夕焼けのきれいな海が見える



                 どこへ逃げようか
                 考えて
                 遠いところへ遠いところへと
                 でかけても
                 戻るしかない
                 海の上に浮かび
                 世界で起きる
                 できごとで
                 大きく揺れる島



                 うるま島
                 わが島
                 

私的マトリックス

2015-11-24 13:51:38 | 日記
                         私的マトリックス




                トッ散らかった
                葉っぱを掃き清めながら
                かき集めて
                振り返ったんだ
                



                日常にある
                些細な怒りが
                憎しみにも変わるんだって
                ボタンの掛け違いやすれ違い
                対話がないこと
                妄想が膨らんで
                走るんだって



                
                だけど
                灰色や真っ黒の煙を吸うのは嫌だ
                価値の違いってものが
                色を見せるのだろうか
               


                私の色眼鏡
                フィルター
                カメラのファインダーが
                頭の中を映し出す



                つくりあげられた
                マトリックスの世界

鬼門

2015-11-23 20:10:14 | 日記

                     鬼門


               その部屋では
               ひとりひとりの魂の燃えカスが
               灰色の煙になり
               漂い               
               充満していた



               見栄や嫉妬や
               たとえようのない劣等感や理由のわからない怒りや
               その煙は
               灰色であったり真っ黒だったり
               過去の繰り言を
               繰り返すと
               人生を汚すのに
               サングラスの向こうで
               怒りを隠し



               称賛の声が
               今はないから
               傲慢にふんぞり返るのは
               人生を憐れんでいるからで
               


               その部屋では
               着飾った地獄の鬼たちが群がり
               真っ赤な生肉を食らっている


          
               欲望に狂った
               生きた鬼
              

城跡

2015-11-22 21:45:14 | 日記

                    城跡




                 無残にも
                 崩れた砂の城は
                 城が城であった時を
                 懐かしみ
                 そのきらびやかさを
                 その手に握りしめて
                 離さず
                 すがりついている
                 



                 無残にも
                 その手に握りしめたものは
                 砂粒
                 しゃりしゃりと
                 零れ落ちていることを
                 気づいているのか
                 目をそむけているのか
                 



                 どうして崩れてしまったのか
                 その重荷を
                 背負ったまま
                 砂の塊にしてしまったのか
                 砂粒の苦しみを
                 かみしめず
                 砂粒を
                 砂金と間違えたのか



                 わたしにはわからない
                 それぞれの背中の重さは
                 それぞれに課された
                 重さであろうから



                 その重さを
                 かみしめながら
                 歩くことが
                 向き合うということなのだろうから



                 崩れてしまった城は
                 夢の城



                 父と母が夢見たであろう
                 城跡
                 
                 
                   
                 

どくだみそう

2015-11-21 19:06:47 | 日記

                     どくだみそう



                うたたねのあとに

                いいにんげんにうまれかわった
                じぶんがいまここにいることに
                かんしゃした


                そして
                いまここにいることは
                いままでに
                であったひとびとの
                おかげなのだと
                すみきったきもちで
                おもえたのだ


                じぶんひとりだけで
                できあがったじぶんではない
                と


                     メモをしよう
                     忘れないうちに
                     忘れないように                                     

                     澄んだ
                     水を口にして
                     隅々にまで
                     しみ込むように
                     感謝を忘れないために
                     毎日湧き上がってくる
                     疑念で
                     汚れないように


                 秋風に揺れているどくだみそう