ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

手袋と靴

2022-01-27 22:24:18 | 日記

                        手袋と靴


                   手袋は
                   毛糸で編まれ
                   ふわふわ
                   暖かい
                   でも、沖縄じゃ
                   暑苦しいので
                   箪笥の奥底
                   にある

                   草を刈るときには
                   軍手
                   おそれなく
                   草を引っこ抜く
                   時にはつぼみをつけた小さな草花が
                   巻き添えになり
                   引きちぎられる
                   地面に横たえ
                   無残に
                   つぶされている
           
                   軍手
                   土まみれ
                   泥にまみれて
                   外に放り投げられ
                   雨に打たれて
                   くたくた

                   足元のぬかるみは
                   長靴じゃ
                   滑って転ぶので
                   怪我をしないように
                   鉄の入った
                   重い靴
                   
                   けったら
                   凶器にもなる
                   石ころを踏んで
                   つぶして見せて
                   脅しをかける

                   赤とんぼを追いかけた道を
                   そんな靴を履いた
                   普通のはずの
                   人たちが
                   行進し
                   
                   軍靴の音

                   
             
                   
                   

                   
                   

2022-01-22 23:15:32 | 日記

                        
                    
                    すったもんだ
                    すったもんだ
                    の
                    これまで
                    で
                    髪をかきむしって
                    収拾がつかない
                    だから
                    はげるのです

                    よくわかっているし
                    よい計らいと
                    したり顔の
                    ドヤ顔

                    あーあー
                    はずかしい
                    ほんとは何もわかってなかったし
                    あちこちぼろぼろ
                    誰かに助けてもらっていた

                    天井から少しだけ明かりが
                    あたりは暗くなってきたし
                    誰の声もない
                    
                    寒くなってきました
                    冷たい風の音
                    返事は
                    帰ってこない
                    ただ
                    大きなテレビの音声だけが
                    もれている

                    
             
                         

告別式

2022-01-16 23:28:00 | 日記
                        告別式


                    寒い夜の風の音
                    がたがたと戸を揺する
                    あられの降ったあの日はもうない
                    
                    さよなら
                    こどもの日々
                    小さなおかっぱが手を振っている
                    いがぐり頭の少年は
                    穴だらけで泥だらけのシャツに
                    風をはらんで
                    走り去った
                    急ぎ足で
                    
                    さよなら
                    だけどしばらくは
                    ふたりして
                   
                    大きな顔をして
                    したり顔で
                    説教でもして
                    庭の見える部屋に
                    とどまっていてほしい

                    生きてきた通りに
                    その人生を閉じた

                    残った
                    のこぎりや
                    ペンチを
                    どんなふうに使えばいいのか
                    困ったときには
                    写真を見上げるさ

                    ビールも半分残して
                    あわてて
                    走っていった
                    二人の兄よ

                    ほんとに
                    いがぐり頭のあの時のように
                    あわてもので
                    どじだな

                    あした
                    ビールを二人ぶん
                    
                    その写真の前にささげよう

                    
                    
                    
                    
                    

暴風雨の中

2022-01-10 21:47:00 | 日記
                          暴風雨の中

                    波は
                    大きく打ち寄せ
                    
                    飲み込む
                    カフェのテーブル
                    ぼーっと
                    外を眺めていた時間
                    きらきらと
                    輝いていた景色
                    
                    押し寄せる
                    怒涛の暗い流れ
                    滝つぼ
                    続く闇のトンネル
                    
                    救いはあるのか
                    ぬかるみの道を 
                    おそれながら
                    あるいている

                    あたりは
                    不穏な
                    不信な言葉の数々

                    これは
                    ひずみの
                    割れ目の
                    ギザギザの
                    ガサガサの壁

                     (なみぬぅくい とぅまり
                      かじぬぅくいん とぅまり
                      しゅいてぃんがなしぃ・・・
                          うんな なびぃ)

                      まゆてーならん
                      きーちゅーく
                      むちみそーれー

                    (波の声 止まれ
                     風の声も 止まれ
                     首里の天子・・・
                         恩納 なべ)
                     
                     迷っていてはいけない
                     気を強く持て
                    
                      ひやみかち
                      うきり       

                

                

いきろよ、しっかり

2022-01-08 23:18:54 | 日記

                      いきろよ、しっかり


                    過ぎていった
                    月日を
                    思い出している

                    笑い転げた
                    あの日
                    無邪気に
                    口げんかした日

                    帰ってこない日
                    いなくなった人々に
                    二度と会えない
                    と今現世で思っている

                      新しい日々が始まっているのに
                      またひとり
                      去ろうとしている
                      悪口も
                      陰口も
                      あわぶくぶく

                      ひとは
                      いきてきたように
                      しにいく
                      ということが
                      いたく

                      とげが
                      しくしくと

                    もやがあるいているよ
                    かたちはないが
                    ここにいるよ
                    なまえをよんでいるよ
                    ここにいるよ
                    って

                    見えるひとには
                    みえている
                    みんな
                    いきている