ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

どじんどす

2016-10-24 22:11:25 | 日記

                       どじん



                 さようでござるか
                 どのような気持ちでござったか
                 


                 豊臣様方におかれましては
                 NO2であることに気が付きませなんだか
                 なんだかんだで
                 西のお殿様であられましたか
                 



                 かの国にも
                 いきましたのでござりましたな
                 まあ
                 いまもって
                 恨み深く
                 


                 海の中の空港で降りたって
                 銀色に光って走る乗り物で
                 いきましたんです



                 チラシが
                 風に舞っている街でござった
                 建物は古いあじのあるものでございましたよ
                 街のカフェのおばちゃんは
                 沖縄のコザの街のおばちゃんのように
                 ラメのきんきらのおばちゃまで



                 鷲鼻の
                 大きな顔のおじさんが歩いて
                 お商売に精を出す人でごった返している
                 異国の街



                 ぼんは
                 通天閣の刃物でありましょうか



                 おどまぼんぎり
                 ぼんきり
                 ぼん


                 おいらは
                 怒れる島の
                 怒人どす




                 えらいかたに
                 「おつかれさま、もういわないでね」
                 って
                 ほめられましたんかいね


               
                 おいどんは
                 ぼん
                 おどまぼんぎり
                 ぼん


                 怒(れる)ひと
                 どじん
                 どす



                 


                 



                 




                 

じゅーぐや(旧暦の十五夜)

2016-10-17 21:14:00 | 日記

                           じゅーぐや(旧暦十五夜)



              満月の夜
              明るい闇に
              白い雲         
              白い花が浮かんでいる



              あたりは墨絵
              

                 
                  71年前
                  小禄の小高い丘の上
                  傷を負った娘の母が
                  壕から這い出して
                  観ていた
                  金色の丸い月




                  突然
                  壕の中で炸裂する
                  背中できいた爆発音
                  突き抜けた痛みは
                  わからない



                  それから
                  キビ畑を坊主頭で逃げまどい
                  そして
                  月に照らされた白い畦道を
                  帰り
                  赤ん坊を迎えた胸は
                  穴ぼこで
                  泣きだしそうな痩せた笑顔の写真が
                  痛々しい




         
              月は
              昨日の月
              向こうからやってきた月
              71年前の月の光が
              眼の中で
              ひかっている                  

                  
              
          

もりぞう

2016-10-07 21:02:44 | 日記

                     もりぞう


                もりぞう
                元気かい



                みんな
                気づかないうちに
                白い髪
                しわしわになっちっまって
                だれなのかわからくなってしまった




                もりぞう
                ぼくは
                うたをうたうことしかできなくて
                手を伸ばして
                きみの指にちかづこうとしたのだが
                ひっこめてしまったんだ
                あまり
                胸の奥がいたんで
                きしんで
                こわれそうだったから



                もりぞう
                今日の朝
                制服のシーサーくんの頭に手のひらをのっけて
                かわいい、かわいいを
                してしまった

                

                ゆだんした
                朝の子供                
                

ある風景

2016-10-07 20:17:20 | 日記


                   ある風景


             デパートの一角
             カフェで
             10名ほどの老婦人たちが
             ケーキとコーヒーを前に
             談笑している
             パーマの白い髪にメガネ
             おもわず
             探した
             母の姿



             いつも週末は
             友人たちと
             昔話をしていた
             あのホテルのロビーは
             とりこわされ
             ない
             新しい建物で風景が一変した




             街は様変わり
             



             通学路の白い砂利道が
             広げられ
             モノレールのコンクリートの塔が
             占め
             空は狭く
             緑の草木がない




             灰色のコンクリートがそびえ
             ひび割れた風景


         
             時代が消えていく
             チリヂリに
             ちぎれて
             風に吹かれている
             








閻魔大王のいる

2016-10-03 21:58:15 | 日記

                   閻魔大王のいる



              「起きろ、息子よ
               ここでねてはいけない!!」
              黒いビニル袋に向かって泣き叫ぶ姿




              軽快なピアノの音は楽しげで
              字幕がなければ
              その言葉が深刻な重い言葉であることは分からない



             
             世界に暴風が吹き荒れている
             他人事であるかのような場所では
             ひたひたと
             その暴風が近づき
             水浸しの
             このようになるなんて思わなかった
             事態が
             目の前



             ごーごーと
             叩きつける
             雨音を
             何も思わず
             聴いていられるのは
             怖さがわからないからか



             ロープで首を絞めているのは
             ミステリードラマではなく
             制服の手で
             行われている
             現実なのに




              「夢は今日を生きることなんだ
               家族とともに」



               
               地獄
               閻魔大王は
               地球の上にいたのか