やまのあなたのそらとおく
世界を歩く人は
一歩前にでて
世界を知る
世界を知る人は
大空からではなく
地上の路地裏から のぞき
泥にまみれた
かけた茶碗
汚れてゆがんだ洗面器に
群がるひとの集団の
自覚しない
はどめのない憎悪に
唇が動かなくなり
川底の汚泥
に
脚をとられ
くるしいのだ
時折
放つ臭気に
顔をそむける
が
世界が
目の前に
陳列
逃れることができない
哀しみが
憤りが
底に
沈み
しかし静まらない
やさしい音は
必要ではない
毒には
少量の毒で
毒消しを
神経には
絶縁体の
テープをすこし
はきだしてしまえ
拒絶のしょくもつ
もつ
消化する
巨大な容量の
胃
たこくって
たうりん
だいじょーぶだー
脳は
頭蓋骨で
保護されている