段ボール男
大きな木の下で
その家族は
仲良く暮らしていました。
ある日
おかあさんが病気になりました。
一生懸命看病しました。
足をさすり
体をふき
ご飯をつくり
おかあさんのために
準備をしました。
そして
おかあさんの病気は重くなり
天に召されました。
さみしいお父さんは
ご飯がのどを通らず
ねむれない夜を過ごしました。
ある朝
銀行の窓口で
その女の人はお父さんの
通帳を預かり
一言優しい言葉をかけました。
女の人には子供がいました。
大きな女の子でした。
足しげく
大きな木の下の家に
親子は通い
いつの間にか居ついていました。
お父さんのほんとの子供は
大きな木の下の家の片隅で
じっと
息をひそめて暮らしました。
お父さんは
大きな木の枝を切り落とし
木になっていた木の実を
その女の人とその娘に
いわれるまま
わたしました。
その親子は
木の実を食い尽くしました。
やせ細っていたその親子は
だんだん
おおきくなり
おおきくなり
お父さんは
お父さんではなくなり
ただただ
満たされないさみしさを
埋めることに時間を
費やするだけの
さみしい
段ボール男なのでした。
大きな木の下で
その家族は
仲良く暮らしていました。
ある日
おかあさんが病気になりました。
一生懸命看病しました。
足をさすり
体をふき
ご飯をつくり
おかあさんのために
準備をしました。
そして
おかあさんの病気は重くなり
天に召されました。
さみしいお父さんは
ご飯がのどを通らず
ねむれない夜を過ごしました。
ある朝
銀行の窓口で
その女の人はお父さんの
通帳を預かり
一言優しい言葉をかけました。
女の人には子供がいました。
大きな女の子でした。
足しげく
大きな木の下の家に
親子は通い
いつの間にか居ついていました。
お父さんのほんとの子供は
大きな木の下の家の片隅で
じっと
息をひそめて暮らしました。
お父さんは
大きな木の枝を切り落とし
木になっていた木の実を
その女の人とその娘に
いわれるまま
わたしました。
その親子は
木の実を食い尽くしました。
やせ細っていたその親子は
だんだん
おおきくなり
おおきくなり
お父さんは
お父さんではなくなり
ただただ
満たされないさみしさを
埋めることに時間を
費やするだけの
さみしい
段ボール男なのでした。