ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

「日々草」の記憶

2021-07-19 21:13:11 | 日記
                      
                       「日々草」の記憶


                   若狭の通りに
                   小さな会社がありました

                   ルパン3世の
                   ひげのおじさんが静かにすわっていました

                   あの通りは
                   どきどきして
                   あたりがきらきらして
                   七色に虹がかかっていました
                   
                   おじさんたちが
                   なにやら
                   難しい話をしていました
                   本の山の中

                   そこに図々しく押しかけては
                   話に
                   耳を傾け
                   わからない話についていこうと
                   本を読むことにしました
                   その本に
                   わくわくし
                   それ以来取り付かれ
          
                   鉛筆と紙から
                   離れられなくなりました

                   今でも思い出すたびに
                   こころ踊る
                   
                   若狭大通りの
                   ある詩人の出版社

                   「日々草」の
                   オリジナル企画

                   石垣やアスファルトにも咲く
                   しろやあか色の
                   「日々草」

                   
                   
                   
                   
                   

終末

2021-07-13 00:25:38 | 日記

                        終末


                   
                   ぼくは
                   「近いうちにいのちの火がつきてしまいますよ」
                   と告げられました

                   その日は
                   ぽかんと
                   なにがなにやら
                   そして
                   翌日のあさ
                   胸のそこに鉛が
                   重く
                   
                   昼間に
                   車で
                   あちこち駆けずり回り
                   「どうですか?
                    ほんとに火はか細く
                    消えかかっているのですか」
                   と聞いて歩きました

                   夕方
                   ぐったりして
                   食事はのどを通らず
                   でもやっぱり飲み込めないので
                   重いからだを
                   ひきずり
                   生きてきた
                   道をたどってみました
                   道を振り返り
                   振り返り
                   生きていたい
                   と強く思うのでありました

                   夜
                   眠ているようで
                   眠れない真夜中に
                   悪い夢をみました

                   この世界が
                   大雨に消えてしまうのです
                   誰もいなくなってしまい
                   白い
                   白い
                   世界になってしまい・・・

                   朝
                   騒がしい鳥の声に
                   目覚めたのですが
                   通りに
                   人影が
                   ありませんでした
                   

         


ななしの一塊

2021-07-11 00:48:22 | 日記

                       ななしの一塊


                    おーい
                    おーい
                    と
                    遠くへ行く
                    ものを
                    呼び止めている

                    去っていこう
                    とする
                    影は
                    あがいているし
                    影を追いかけて
                    いくな
                    いくな
                    と
                    すがり付いているから
                    苦しくて
                    悲しい
                    のかな

                    悲しく
                    鼻水が
                    つまっても
                    お腹はすくし
                    ふと
                    わすれてしまって
                    何も思わず
                    ひらっぺったい 
                    心臓から
                    つっつつうーと
                    1日が過ぎていくのだよ

                    何もなかったかのように
                    
                    そんなふうに
                    こんなふうに
                    馴らされて

                    頭の中の
                    なにもかも
                    過去も
                    学んだことも
                    
                    何もなかった
                    と
                    あわれに
                    思われ

                    片隅に
                    ひとかたまり

                    ひとくくりにされるのか

                    そうなってたまるか
                    と
                    怒ってみる
                    


                    
                    

緊急事態

2021-07-08 20:29:39 | 日記
                       緊急事態


                    涼しい風が
                    一瞬通りすぎた
                    なつかしい
                    あたたかな
                    きのう                   

                    こんなにも
                    窮屈で
                    苦しい
                    両側の壁は
                    こちらに迫り

                    あしたが
                    こなくて
                    きょうを
                    失うような日々に

                    きのうが
                    やさしく
                    ゆりかごのなかで
                    ゆれている

                    みんなの笑顔に
                    囲まれて

                    そして
                    いつのまにか
                    眉間にたて皺が
                    きざまれ

                    夜が
                    ゆっくりながれて
                    あさ
                    あーあー
                    苦いが
                    いきていてよかった
                    と
                    近づいてくる
                    崖っぷちに
                   
                    おののいている

                    毎日
                    しめったほおを
                    こすっている

一滴

2021-07-04 23:21:58 | 日記
                              一滴



                    川の流れ
                    激しく
                    濁流が
                    積み重ねた
                    思い出を破壊し

                    変わらない毎日が
                    次の朝も
                    迎えられると
                    いつも
                    思っていた

                    この雨音に
                    轟音も含まれていたとは

                    かきむしった
                
                    大地は
                    いつでもそこにあるとは
                    限らない

                    毎日
                    たゆまず
                    踏みしめて
                    丁寧に
                    草木を
                    大切にし
                    水をやり
                    穏やかな日の光をあて

                    やさしい
                    風を送り

                    激流を
                    鎮め

                    すべてに感謝して
                    頭をたれ

                    なみだを
                    滴らせて
                  
                    雫

                    葉から
                    一滴
                    
                    愚直な
                    まっすぐな

                    滴下

                    救いたまえ