ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

お題目

2020-09-28 23:57:06 | 日記
                         お題目


                    もうすぐ10月だというのに
                    秋は
                    不機嫌に
                    閉じこもりの
                    冬の暗さで
                    何も思わず
                    笑顔がこわばっている

                    新しい日常には慣れず
                    古い日常は恐ればかりで
                    なにをどうすればいいのか
                    戸惑って
                    混乱している

                    空から撮られた墓穴の絵を見せられたら
                    1940年のおぞましいモノクロのフイルムしか浮かばない
                    地続きの
                    歴史
                    単なるエピソードにしてはならない
                    繋がる物語 

                    この不愉快な秋を
                    どう乗り越えようか

                    日々是好日と
                    ビニルカーテンの向こうの
                    神様に
                    唱える毎日

                    
                                       

秋の草

2020-09-27 20:21:43 | 日記
                      秋の草

                   秋の夕暮れは
                   ひんやりと
                   風が
                   すすきを揺らし
                   枯葉が向こうの通りを
                   ころげ
                   思い出すこともなくなった
                   幼いころの
                   夕方まで遊んだ記憶は
                   切れ切れに
                   寒い電線に
                   吊り下げられて
                   ぱたぱたと
                   動いている
                   
                   ふいに
                   ためいき
                   
                   さみしい
                   さみしい
                   と
                   しくしく泣き始める
                   秋らしくなった夕方のこと
                   
                     思いはいつも伝わらない
                     伝わっているはずと勘違いの
                     いつもひとりよがりの
                     幼い配慮
                     くるくると
                     ぐるぐると
                     そこから
                     抜けることなく
                     
                     たち枯れの
                     青草のまま
                  
                        

COVID-19 のいる世界 そのⅡ

2020-09-26 22:56:48 | 日記
                       COVID-19 のいる世界 そのⅡ


                    あんたが
                    どこかに潜んでいると思うと
                    会わないように
                    息を潜めて家に閉じこもり
                    どうしてもでかけないといけない場合には
                    こそこそと通りの隅っこを
                    ひとを避けて
                    抜き足差し足で
                    どっちが泥棒なんだか

                    恐れられているね
                    正体不明だからさ
                    人の動きに乗かって
                    動き回るからさ
                    他力本願で

                    あんたさ
                    誰かに作られた人工物なのか
                    それとも
                    人間が
                    森林を壊し
                    海を土砂で埋め立てたり
                    欲に駆られているから
                    生まれてきたのか

                    あんたさ
                    もう少しおとなしくやさしく
                    人間をチクッと
                    さしてくれないか

                    あんたのおかげで
                    注射も
                    急いで売らんかなで
                    怪しげだったり
                    あんたと同じで
                    正体不明の
                    薬売りが暗躍して
                    似たもの同士か

                    あんたは
                    もしかすると
                    人間と同じ
                    よくわからない
                    ブラックな生き物かもな

                    COVID-19
                    と名づけられた
                    あんたよ
                                       
                  
                   
                   

COVID-19のいる世界

2020-09-23 22:51:27 | 日記
                         COVID-19のいる世界

                    色あせた
                    赤い色は
                    古い
                    古い
                    記憶のなか

                    哀しい
                    
                    その記憶にすんでいる
                    ひとたちは
                    もういない

                    古い思い出にすがって
                    いき続けようとしている
                    ひとは
                    時の流れが
                    あまりにはやく
                    ひっかかる
                    飛び出した棘もなく
                    するりと
                    毎日が
                    すべって
                    いってしまうのだ

                    新しい日常は
                    容赦なく
                    古いすべを否定し
                    大笑いの口元を隠し続け
                    伸ばした手をたたき落とし
                    拒否し
                    対峙しようとする姿勢に
                    背を向けることを
                    推奨する

                    乾いていく世界
                    
                    
      
                       
                    
                    
                    

私的新しい日常

2020-09-22 22:24:38 | 日記
                         私的新しい日常


                     あした
                     朝の光が
                     窓からさしてきたら
                     でかけよう

                     あの店によって
                     いつものように
                     濃い珈琲とチーズケーキを
                     ゆっくりと
                     味わい

                     ささやかな日常を
                     取り戻そう
                     あした

                     秋の日射しを
                     うけて
                     涼しげな風の香りを
                     胸いっぱい吸い

                     あした
                     あたらしい日常に
                     して
                     
                     秋風の中を
                     歩いてみよう

                     風穴を
                     あけるために