ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

たま

2019-09-30 22:00:02 | 日記
                 たま


              おい
              おい
              おい
              と
              ないてみたら
              すっとするかな

              おい
              おい
              おーい
              と
              大声で
              叫んでみたら
              すっきりするかな

              丸は
              変形して
              あっち凹
              こっち凹
              いびつな形

              ろーりんぐってたって
              もう
              丸じゃないから
              うまく転がることもなく
              穴ぼこにおちて
              進みやしない
              穴ぼこから
              どうやって這い上がるのか

              穴ぼこで
              よどんで腐り
              それぞれの穴ぼこで
              ひとりで
              孤立の
              手を伸ばすことさえ
              できない

              それじゃー
              這い上がれないだろーに
              と思うのだ

              隔絶した
              凹の穴で
              
              動きの取れない
              ぼこぼこにやられた
              人類よ
             

              
               

写真

2019-09-29 14:10:25 | 日記

                 写真


               モノクロの
               四角い風景は
               切り取った
               過去の姿

               向かっている
               道の果ては
               どこへ
              
               何もなかった
               荒地に
               風が吹き
               
               眼を
               見開けば
               見たことのない
               色とりどりの
               看板と
               剥げ落ちた
               過去の姿の
               ちぎれた一片が
               風に
               舞っていた

               拾い集める
               作業を繰り返す
               モザイクの
               歴史

               隙間の空白
               に
               風
               が
               ひとつ
               

               

                    
               
   

徘徊

2019-09-26 22:00:18 | 日記
                       徘徊



                   やけに
                   明るい昼間の
                   木陰で
                   座り込んで
                   考え込んでいる

                   なにも
                   もたず
                   その顔を
                   雨合羽でかくして
                   その人は
                   真っ黒に日焼けし
                   徘徊で
                   汚れてしまったのか

                   世界から
                   はじき出されて
                  
                   やさしかった
                   人々は
                   どこへ
                   いってしまったのか

                   そよそよ
                   そよぐ
                   雑草は
                   刈り取られ
                   すすきさえ
                   なく
                   アスファルトと
                   空を走る
                   鉄の乗り物と
                   爆音で
                   切り裂かれ

                   美しい言葉を得た
                   群れる人たちが
                   傍らを
                   通り過ぎてゆく

                   世界から消えて
                   いないものを
                   知ろうともせずに
                   
                   
                   
                   

虚構

2019-09-26 20:46:59 | 日記
                   虚構


               車椅子で
               うつらうつら
               
               周りは
               夢うつつの
               うすぼんやりの
               世界

               高齢者という
               わっかで
               ひとくくり

               あきらめの
               うつらうつら

               何も考えず
               過去もかなたに
               忘れ去られた

               どのように生きてきて
               どんな夢をみているのかさえ
               わからなくなる

               レクという名の
               一括総まとめの
               時間つぶし

               なんのことはない
               壮大な
               ぼけ対策
               
               大きな口で
               笑うと
               その奥は

               真っ黒けの
               空洞

耳の中でながれる

2019-09-21 09:07:57 | 日記
                    耳の中でながれる



               取り扱い注意の
               天地無用
               
               垣間見る
               風景に
               こころを震わせ
               耳の奥も振るえ

               三半規管で波乗り
               

               きょうの耳は
               あすの耳の糧

               渦巻いた
               洞窟を
               通り抜け


               柔らかい綿の上で
               休憩するんだが

               最近の耳にあふれる
               言葉や風景は
               ぎざぎざの
               荒涼として
               耳の奥に突き刺さり

               いたい

               それで
               柔らかな綿は
               そのぎざぎざを拒否して

               発熱

               耳の奥で汚水があふれている

               海に流すなって
               海を侵すことは
               人間を含めた
               すべてを
               犯してしまうことなのだ
               と
               思うんだ

               犯すことで滅びの向こうに
               ながれていってしまうのだって