ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

わすれまじ-4.28-

2018-04-30 13:42:08 | 日記
                  わすれまじ ―4.28―





               スピードを上げて走る
               北へ向かうバス
               乗り込む人はぽつんと
               ひとり
               またひとり
               


               北へ
               「お客さん、辺野古は渋滞をして動けないから
                迂回しているからね
                近いバス停は第二辺野古だからね」



               ひとりこぶしは
               時間を間違い
               路線バスでの
               移動
               と思ったら
               バス運転手と一緒の
               にわかに急行路線バスとなり



               飛んでいる



               白く霞んだ
               空と海と赤い土



               喜瀬武原を過ぎ



               フェンスに
               紺の制服と
               細長い車両


               
               痛めつけられた山と
               土砂に押しつぶされる海と


         
               まっすぐに伸びる
               この道が
               砂利から
               アスファルトへ変わろうとも
               顔を覆う白いタオルから
               麦わら帽子になっても


            
               抗う理由はある
               

             



               
               


        
               
               

むしず

2018-04-21 22:28:03 | 日記
               むしず



            浮上
            不定
            不浄
            不条理



            海
            膿
            有無
            倦む


  
            嘘
            虚偽
            嘘つき
            嘘っぱち
            うそのかわ
            嘘八百
            


            有象無象



            嘘つきは泥棒の始まり
            嘘つきは泥棒


        
            面の皮のあつい
            右手で握手
            左手でボデイブロー
            右足で引っ掻ける
            左足で踏みつける



            ことばなし


         
            あいたくちを
            どうふさぐか



                      
           


           
 

                

空模様

2018-04-21 21:51:12 | 日記

                  空模様


             雲は
             雨雲
             灰色が
             真っ黒に変わり
             風がにわかに強くなり
             大雨のきざし



             ずれながら
             続いていく時間

             

             水滴の
             痛さは
             にじんで消えてしまい
             あの痛さがなんだったのか
             忘れて



             小さなとげを
             なぞって
             つまんで引き抜いてみた


           
             傷は
             ちっぽけで
             すぐに閉じた


            
             あした
             60%の雨予報


           
             木々の葉は
             青々と茂り
             真夏を待っている
             



             
             

生かす

2018-04-16 21:31:44 | 日記

                   生かす



               青白い焔が
               燃えあがった
               右手から線香が落ちた時
               こどもの横へ
               


               無表情の顔の唇が曲がり
               青鬼の形相になった



               母の顔は鬼にもなる
               小さな疑念が積もって
               ぽとりぽとりと
               憎しみの
               澱が
               滴り落ちる



               はるか遠い記憶
               首を絞めていく
               母親とつながっているへその緒
               実は
               くるくると羊水の中を回っているうちに
               自分の首を絞めつけ
               青い唇


              
               憎悪
               

               
               人を
               近しいひとたちを
               自分を



               くるくる  
               くるりの
               自虐


              
               ゆるいところで
               つまみあげ
               ゆっくりと
               その鎖を
               梳いてあげる


             
               生みの苦しみからの
               解放


               自助
               共助

               
               助産


               どろどろを
               受け止めるという
               覚悟
               
               

迷宮

2018-04-11 22:13:43 | 日記

                   迷宮



                あちこち
                空飛ぶ
                こころ
                なつかしいところでも
                やすむことができず
                30kmの
                人生
                そこには
                朽ちた廃屋と
                さびて捨てられた車



                走る



                戻れない故郷を
                走る
         



                七転八倒
                こころここにあらずの
                浮遊



                あっ
                とんだ
                そらに




                迷宮へ