ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

のんべんだらりの叫び

2024-04-24 23:04:51 | 日記
                     のんべんだらりの叫び


                 なんも考えないようになった
                 考えてもしょうもなく

                 感じたこともすぐ消えてしまう
                 感じたなんて、えっ、、なんだった
                 危ないなあ
                 あれ食べたい、これ食べたいなんてことも
                 なくて
                 これって
                 危ないなあ
                 てかてかの脳みそなんていやだ

                 ひっかかりもなく
                 すっと通りすぎてしまうなんていやだ

                 ウクライナやガザの画面が
                 あたまのなかを破壊して           
                 がれきのあたまになってしまったんだよ
                 あたまのなかが
                 がらがらと崩れ落ちて
                 なみだも流れない

                 ちくっと
                 懐かしい痛みを
                 思い出すこともあるのだけれど
                 すぐに消えていってしまう
                 危ないなあ

                 さみしいだのくやしいだの
                 ああ、生きているからこその
                 と思ってしまうんだよ
                 この感じることをかみしめることが
                 大事なことか
                 とふと思うのだが

                 胸をかきむしられることが
                 あまりなくて
                 
                 危ないなあと思うのだよ
                 テレビの中で大きな不幸があふれているので
                 
                 どんぶらどんぶらの
                 小さな船では
                 船酔いで

                 三半規管に狂いが生じて
                 七転八倒をするだけで
                 これが最大の苦しみになって

                 もうなにもみたくない
                 と叫び声をあげる

                 気持はムンクのあの不吉な叫びの絵
                 

こま

2024-04-15 00:54:56 | 日記
                     こま


                  雷がすぐ近くに
                  落ちた

                  びくっと
                  からだがちち”み

                  ちち”んだら
                  のびるあがるはずだ

                  のっぺらぼうのかおが
                  ゆがんだ

                  ゆがむはずのないかおが
                  ゆがむのは
                  まだだいじょうぶってことか

                  なにがだいじょうぶって
                  あたまのなかで
                  いままでかかわってきたひとの
                  姿を描き
                  関係性ってやつが
                  消えず
                  点線の矢印を
                  手繰り寄せて

                  ああ そうか
                  今まで結んで開いた
                  手のひらは
                  それぞれに
                  伸びて
                  
                  消えはしない
                  
                  わっかから
                  逃れられはしない

                  忘れ去られた
                  孤独は

                  ひとつの独楽で
                  くるくる回って

                  ぶつかってははじきだされ
                  だが
                  必死に
                  すがりつく
                  独楽の紐

                  

こっぱみじんーかさかさにー

2024-04-04 23:29:27 | 日記
                      こっぱみじんーかさかさにー



                  平和通りを歩いた
                  
                  いつも歩いていたはずの
                  景色が消えていた


                  なにもない
                  あの頃あったお店
                  あの頃いたおばちゃんたちもいない
                  

                  ごちゃごちゃと
                  お土産屋さんが
                  おきなわらしきものをおいている

                  坂道の上は
                  いつもいた猫がいない
                  更地になった場所から
                  古い瓦屋根がのぞき
                  積み上げられた家財道具をさらして
                  道だけが新しい
                  懐かしい場所は
                  骸骨の置物が威嚇して
                  近づけない
                  シャッターに体を預けて
                  佇んでいる
                  若者は腕にタトゥ

                  食べ物屋さんで
                  スープにパンを注文した
                  カードや小銭が
                  なかなか取り出せなくて
                  ごめんなさいといいながら
                  ごそごそしていたら
                  唇がかすかにわらい
                  だいじょうぶですよといいながら
                  いらっとしている

                  にこにことできる楽しいところだったのに
                  運んできた女の子は
                  すでにつかれていて
                  仮面
                  
                  どこもかしこも
                  いらついている
                  わたしは
                  よれよれと
                  楽しい気持も生まれず

                  冬のような
                  鉛色の空をながめ
                  ここにいられず
                  足早に通りを歩いた

                  はじめて踏み込んだ
                  迷路みたいだった

                  なにもないから
                  とりあえず
                  平和だろうか

                  遠いところでは
                  毎日
                  毎朝

                  建物が壊れて粉塵をあげている