ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

留め金

2018-08-30 19:16:14 | 日記
                 留め金



               暗闇の部屋で
              ひとり
              動くことままならず
              臥せている



              声をかけると
              言葉にならないうなり声
              眉の太い
              海んちゅだったという
              大柄の体
 


              ペットボトルが
              あちこちに
              ころがり


              お昼時の気配のかけらは
              なく
              温かな
              空気も流れていない



              それぞれの
              生活の事情があるとはいえ
              


              暗闇の部屋は
              崖底の
              真っ暗が
              横たわり


             
                  寄り添う
                  共感
                  が希薄という
                  真っ暗さ
                  を示しているから


                  個々が
                  弧へ
                  

                  孤独ということを知りながら
                  繋がるという
                  営みが
                  あの家
                  この家
                  で失っているという
                  暗がり


                  あかりを
                  あかりを
                  ともす
                  ために
                  ある
                  言葉
                  を
                  繰り出して

                
                  ひっかける
                  留め金
                  
                  
                                

じのーん(宜野湾)の松

2018-08-11 18:33:05 | 日記
                   じのーん(宜野湾)の松



                じのーん(宜野湾)の松並木の
                影で
                かたかしらの
                タンメーが
                涼んでいた



                「タンメーさい
                 くぬうまーちーや
                 なまからん
                 すだてぃーるくとう
                 ないびーがやー?」
                
                と
                問うた



                「しわーすなよー
                 わったーうやふぁーふじぬぅ
                 じだいから
                 ちぢちょーぬうむん
                 しわーさんてぃんしむん
                 うね
                 うしちぃらってぃん
                 うまりてぃちゅーん
                 しわーさんどー」



                じのーん(宜野湾)の松の枝が
                そよ吹く風に
                ゆれている

      
                ゆらゆらと
                穏やかに
                

                とんぼが
                あつまって
                たんめーの
                まえを
                ゆっくりと
                とんでいた






                      じのーん(宜野湾)の松



                じのーん(宜野湾)の松並木の
                影で
                かたかしらの
                おじいさんが
                涼んでいた



                「おじーさん
                 ここの松は                 
                 いまからでも
                 そだてていくことが
                 できるでしょうか?」
             
                
                と
                問うた



                「心配をしなくてもいい
                 自分たちの祖先の
                 時代から
                 続いているのだから
                 心配することはない
                 ほら                 
                 無理やり伐採されても                 
                 新しい芽がうまれてきたから
                 心配しないでいいんだよ」



                じのーん(宜野湾)の松の枝が
                そよ吹く風に
                ゆれている

      
                ゆらゆらと
                穏やかに
                

                とんぼが
                あつまって
                たんめーの
                まえを
                ゆっくりと
                とんでいた




8月8日

2018-08-09 19:13:34 | 日記



         8月8日


             その夜のニュースの文字に
             ぐらっと
             体が傾いた



             文字がのみこめない



               先頭をいく
               旗頭が
               旗をたおすまいと
               高く掲げ
               にぎったまま
               

               倒れた




               天に昇っては
               ならない
               その旗にのぼれ



               その旗を
               みなの腕で
               支え
               高く
               高く
               そら高く
               掲げるから



               天に昇っては
               ならない
               その旗の
               てっぺんに
            

               のぼれ


               
               
               
               


             

                

ふりだし

2018-08-07 20:36:33 | 日記

                    ふりだし



                なつかしき
                学びの場所へ
                帰りきて



                廊下を行きかうものが
                変わったけれど



                見知った顔は
                わらって
                「お帰りなさい。」と


                くしゃくしゃ
                


                何から逃げようとしていたのか
                何がいやだったのか
                わからない


                学びの庭のまわりを
                くるくると
                まわり
                ふりだしへ
 


                しょうもない
                ここにたち
                ここで
                考えるか
                居場所は決まっていたんだね


            
                もぞもぞと
                居心地が悪いと思っていた


                
                母の懐に似て

あふれだす

2018-08-02 18:24:19 | 日記

                   あふれだす



               頭
               頭の上
               髪の毛に
               乗っている


               ナースキャップ
               いつまでも消えない
               そのまま
               鎮座ましまし




               時に
               首たれ
               かしこくも
               賢いなんてはいってはいけない



               支配の構造は
               いまとなってはあるやなしや
               



               公衆衛生のまえに
               環境の整備は
               はるか遠くも
               原点なるかな
               


               統計学の数字が
               頭の中を
               ぐるぐると渦巻き
               渋滞を起こしていたが



               胸の中に降りてきて
               そして
               腹がすわり



               ざぶーっと
               あふれだす
               思い


               重さ