ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

地鳴り

2019-06-28 18:28:42 | 日記

                    地鳴り



               きーきー
               軋む

               軋む音は
               だんだん大きくなり
               近づく


               レールは
               最初から敷かれていたのか
               隠して
               作っていたのか

               きーきー
               軋んでいる

               軋む音がずっとしているよ
               聞く耳は持たず
               振り向きもせず
               レールのうち
               そとで
               おおっぴらに
               きーきー
               と

               音のありかが知られたら
               知らぬ存ぜぬ
               盛った美辞麗句で
               かき消し

               自画自賛
               批判には
               誤解です
               そんなものはどこにもありません
               と
              
               きーきー

               その音は
               鈍く鳴る地響き
               瓦解
               崩壊
               の
               音
               


      

6月23日

2019-06-25 19:48:21 | 日記



                  6月23日

      大雨の23日


      74年前二十歳の母のもんぺは
      腰まで泥水につかり
      6月は、毎日毎日大雨だったそうだ
      燃えている島を
      緑の木々まで焼き尽くす火を
      消すように
      灰色に煙った雨


      泥の中の屍を覆い隠し
      洗骨し
      土深くに埋めた
      大雨


      泥で
      よごれた黒のかりゆしと靴は
      弔いの証


      平和の礎は
      墓標
      還らない人々のために
      なまえを失った人々の
      名前を刻み
      帰すために


         イマモ イケナインダ
         ソコヘハ
         
         シロイケムリデ
         キヲウシナウカラ

         ユラユラ
         ユレテ
         タダヨッテイルカラ
      
      

2019-06-19 19:41:53 | 日記


                  皿
         
              皿屋敷で
              「1枚、2枚、3枚・・・」
              数えるお菊は痛ましい
              武士の沽券
              切って棄てられた

              おいらたち
              数えるお札がない
              もっていかれるし
              そもそも
              お札が回ってこないし
              1円玉は大事なお金の基本形
              でも、軽い
              ころころ転がって消える

              いま
              武士はいない
              武士の子孫がいるらしい
              おいらたちを牛耳っている
              士農工商
              農は高齢化して
              工業化
              工場で生産
              商売は
              グローバル化の大波で
              浮き沈みの中
              レジ袋だけが浮いて
              魚に迷惑をかけている

              市井の人々は
              安い食料を求めて
              うろうろと
              渡り歩く
              旅がらす
      
              かーかー
              高いじゃないか
              節約せーって
              おなかを満たして働かなくてはならぬ
              が
              堪忍袋の緒がちっとも切れない悲しさよ
              飼いならされた
              あっち向きの
              お民さん

              お民さんのお墓は高すぎて
              終活で人生のよきしまい方に苦慮する

              野菊の墓は清らかで美しかった

              荒れた砂の世界に身をうずめて
              おいらは
              叫ぶんだ
              おいらの乾いた皿に
              慈悲の雨を
              と
              
              

               

2000万円事件

2019-06-15 20:15:54 | 日記

                  2000万円事件


              年金だけじゃ足りないからですね
              皆さん、100年人生
              賢くサラリーマン・専業主婦世帯では
              4000万円ためましょう
              共働きのご夫婦は2000万円必要ですよ

              たんすの中や銀行では
              お金は増えませんよ
              かえって、半分になってしまいますよ
              お金は育ててゆきましょうね

              ちちんぷいぷい

              ほらね
              もう
              かくせないね


              あっちこっちでお金セミナー
              満員


              そのかえりに
              珈琲のんでいたら
              隣のテーブルで
              「奥さん、
              たいへんよ、娘がね
              19歳なのに30過ぎた男にね、てーだされてね
              あれ、あんた最近太った?
              おなかがぷっくと膨らんでるが・・・
              って、聞いたら
              できていたんだって
              たいした男でもないのに
              専門学校も辞めちゃって
              もう!」


              2000万円の話は
              どこ吹く風で
              

              毎日毎日
              泥の田んぼで田植え
              
              ずぶずぶに
              足を取られて
              七転八倒
                            
              
                            

ゆめのしま

2019-06-14 20:01:05 | 日記

                     ゆめのしま


                夢の桃源郷は
                その山のかなた
                山の向こうは
                砂漠で
                砂漠にオアシスが
                潜んでいると
                教わったのに
                オアシスも
                枯れてしまい


                おびただしい
                干からびた
                しびとの山


                夢のまちで
                ケーキと
                珈琲を前にしているのに
                もうすでに
                夢破れて
                ざらざらの
                白い
                蜃気楼
                

                砂粒の
                ほんの小さな穴から
                雨だれが入り込み
                砂山が
                もろく
                崩れ

                
                もらるのやまが壊れたから
                あのやまも
                このやまも


                崩れていく