ひゅーとさむいかぜがふく
浦島花子は
あたりを見回しました
子供の大人が
周りにたくさんいて
何やら
あれをしてこれをして
どうしてうまくできないのですか
と
指示をしているのです
えっ!
背中を丸めて
動きが
ゆっくりとして
足がもつれるのでした
やさしいとげが
飛び交って
突き刺さるのでした
笑っていない眼の奥
と
その口元の美しい作り笑いに
ぎょっとしたのでした
昭和の感覚とは違う
といわれても
平成の感覚って、なに?
育ってきた時代の空気を吸い込んだ
肺の形とその中身が違うというのか
ただ
同じ
ひゅうーまんびーいんぐ
ではないのか
あなたと私がこの同じ時間を
同じ場所ですごしているという
奇跡
急に
寂しげな
ほほえみを浮かべた老人の顔を思い出した