巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

わたしたちが歴史から学ぶこと

2010-07-05 23:23:56 | ニュース
"One thing we learn from history is that we don't learn from history."
(我々が歴史から学ぶことの一つは、我々が歴史から学んでいないということである。 )


ヘーゲルのことばでもあるし、ビスマルクのことばでもある。そしてそのほか数多の政治家たちが使っていることばでもある。同じような表現に対して、引用元とされる人物は多数いる。

で、

ゆうパック遅配、32万個に拡大 百貨店では別業者に切り替えも(産経新聞)

日本郵政グループの宅配便「ゆうパック」の大規模な遅配問題で、郵便事業会社は5日、遅配が1日から5日まで累計で32万個程度になったと明らかにした。前日までの26万個からさらに増えた。監督官庁の総務省は、郵便事業会社に対し再発防止策を求める行政処分を出すかどうか検討している。(2010.07.05)



やっちゃったね。ゆうパックの遅配問題。こともあろうに、夏で、お中元シーズンで、腐りやすいナマモノが通常よりも大量に流通するというこの時期に、ゆうパックとペリカン便の配送業務の一本化とは、ものすごいチャレンジャー。

そういえばかつて、こともあろうに4月1日にシステム統合を試みた某金融グループがあった。なんでわざわざそんな日を選ぶかな?…と思っていたら、はたして大トラブルになったっけ。

みずほの一件に学んで、「統合」とか「業務の一本化」などの大きな変革を必要とすることを忙しい時期に開始するなんてことは、まともな企業だったら回避するはずだと思っていたら、凝りもせずに似たようなことをやるところがある。同じようなことばを複数の人たちが残してきたのも、道理だわ。

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ちなみに冒頭のことばがジョージ・バーナード・ショウのことばでもあることを、ある英語の報告書の表紙で知った。

その報告書とは当時の英国の教育雇用省(現教育雇用訓練省)も参加して、英国が鳴り物入りでリサーチを行ったエンプロイアビリティ(直訳:雇用されうる能力)に関する2分冊のレポート。("Employability: Bridging the Gap Between Rhetoric and Reality")(2000年)。

わたしの修士論文はこのエンプロイアビリティを扱ったもので、のちにこの修士論文をもとに日経新聞からハードカバーまで出版したのだけれど(『異端パワー』でエンプロイアビリティについて多くのページが費やされているのはそのため)、修士論文から書籍用の原稿を起こしているときにこのレポートが発表され、さっそく取り寄せたこのレポートの表紙の一番目立つ位置に冒頭のことばがバーナード・ショウのものとして印刷されていたのを見て、「ああ、本当に英国はエンプロイアビリティでは失敗したのだな」としみじみと実感したのを、覚えている。失敗したという事実自体は、論文を書いているときから英国のニュース記事などでわかってはいたのだけれど、表紙のことばはとどめだったよ。ふぅ。