写真は、わたしが中学2年(1974年)の時に購入した
タロットカードだ。(あ、そこの君、年齢計算なんかするんじゃない。)
タロットカードとしては代表的なもののひとつ、「
1JJスイスタロットカード/1JJ Swiss Tarot Deck」である。カード自体はほとんど劣化していない。このカードはわたしの知っている限りフランス語表記のものと英語表記のものが出回っているが、こちらは前者だ。
購入した場所は、日比谷にある現在の
銀座ナインの中。当時そこに入っていた「
王様のアイディア」っぽいものを売っていた狭いお店でだった。
友人と友人のお母さんとそのお母さんの年下の愛人と一緒に日比谷で映画を観た帰りに、ふらりとその店に入った。(すいません、いま凄いこと書きました。)店のガラスケースの中に「西洋の占い用のカード」として、このタロットカードが飾られていた。
当時、一般の人はタロットカードを知らなかった。もちろんわたしも知らなかった。現在ならこんなものについてはネットで検索すれば簡単に調べられるし、占いについては専門の雑誌もある。だが当時はそんなものはなかったか、あっても普通の書店には置いてなかった。
店にあった1JJスイスタロットカードには、使い方を説明する日本語のブックレットが付属しているものと、カードだけのものがあった。たしかブックレットを付が2,300円。カードだけなら1,700円だったと思う。また、カラフルでモダンなイラストが満載の、別の種類のタロットカードも並べられていたが、そちらは当時のわたしの目には「西洋の神秘」に欠けているようにみえた。
古い西洋を感じさせるものは、当時のわたしのあこがれだった。一般の人が知らず、持っている人がほとんどいないものであるということも、わたしの所有欲をくすぐった。飾られている数枚の
大アルカナの絵の人物の一人一人が、わたしに「さっさと買わんか、馬鹿者!」と命令しているように感じた。
その時は手持ちのお金がなくあきらめたものの、後日、このカードを買うために、映画を観た友人と二人で再び日比谷へ向かった。地下鉄三田線の西台駅から日比谷駅の間は、今でこそ約30分で走るが、当時は50分近くかかった。心がはやるわたしに、この50分間はとても長かった。
お店に入り、即座にブックレット付を頼んだ。店では若い男性が2人で店番をしていたが、「え、本当にこんなものを買うつもりなの?」と言わんばかりに、互いに顔を見合わせていた。そんな反応になることは予想していたので、友人についていってもらったのだ。当時のわたしにはそういうものを一人で注文する勇気はなかった。
そうして買ったカードだが、結局わたしはこのカードをそれほど使ってはいない。ブックレットには3種類の占い方と各カードの解釈方法が載っていたはずだが、何をどうやっても、わたしの占いは全く当たらなかったのだ。結局最後には、
小アルカナ(+愚者のカード)をトランプ替わりにするだけになった。
カードに劣化がほとんどないのは、結局あまり使わずにしまいこんだままにしておいたためだ。使わないのに捨てなかったのは、2,300円が当時の中学2年には高い出費だったためもある。たしか、当時のお小遣いの2ヶ月分以上で、お年玉を充当した覚えがある。が実は、カード自体は今でも販売されており、Amazonでは当時と同じような値段で販売されている。
わたしはこのカードを、その当時のりぼんの付録だった太刀掛秀子のイラストのついたビニールケースに入れて、ずっとしまいこんでいた。おそらく、今後も同じようにずっとしまいこんでおくのだろう。
ところで、わたしが選ばなかったほうのカラフルでモダンなイラストのタロットカードは、「James Bond 007 Tarot Deck(現在は、『魔女のタロット/Tarot of the Witches』として流通)」というもので、映画『007 死ぬのは奴らだ(Live and Let Die)』(1973年)で使われていたものと同じものだ。そのことを知ったのは、それから数年後、日本の出版社からタロットに関する書籍が発売され、その中で代表的なカードの説明を読んだときのことだった。あのとき日比谷の店にタロットカードが飾ってあったのは、『死ぬのは奴らだ』の公開に合わせたか、映画を観た誰かが仕入れたからに違いない。
それにしても、このタロットを見つける直前に、友人と見た映画はなんだったのか。『エクソシスト』か『ヘルハウス』のどちらかだったと思うのだが、正確には思い出せない。
(↓ 1JJ Swiss Tarot Deck。こちら英語版のようだ)
(↓ こちらは、当時カードだけで2000円以上したような気がする。まるでバナナの価格のように、昔より今のほうが安い。)