巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

サブリミナルCD

2007-03-14 22:48:46 | 日記・エッセイ・コラム
「サブリミナルCD」というものがある。CDの音楽の中に人間の聴覚では聞こえにくい言語メッセージを大量にいれて、耳には聞こえないけれど、脳の中にはしっかりとそのメッセージが入り込み、聴いている人間はそのメッセージのとおりになる…というやつ。一方で眉唾と言われつつ、他方では「1950年代のニュージャージー州の映画館で、映画の中にコカコーラのCMを1/30秒だけ入れたところ、上映後のコーラの売上が…」という、あまりにもよく知られたサブリミナル広告の事例とともに、その効果がまことしやかにうたわれたアレ。

そのメッセージは目的によって異なり、睡眠改善から、禁煙やダイエットを促すものだったりする。このようなサブリミナル効果をうたったCDは90年代にはかなり売れていたが、今でもその気になれば購入できるだろう。

白状しよう。わたしはこの手のCDを5種類持っていた。鬼のように仕事をかけもちして、同時に少しの暇さえあれば必ず勉強をしていた90年代前半に買ったもので、それぞれの効能は、記憶力向上、記憶力強化、実力発揮、肩こり解消、そしてダイエットだ。(ここで「ダイエット」と書くのには、かなりの勇気が要ったぞ。)

で、効果があるのかというと、正直言って「?」だった。だいたい、どれも1枚を通しで聴いたことがなかったのだ。夜は疲れていて1曲目が終わる前に寝りに落ちてしまうため、1日の比較的早い時間にきいたところ、なんだかだんだん落ち着かない気分になってきて、途中で止めてしまうのが常だった。根っからのアマノジャクなので、脳が無意識に認識したメッセージに、これまた無意識に反発していたのかもしれない。なのに、5枚も買ってしまった自分が恥ずかしい。

先日、CDの棚を整理するため久々に「記憶力強化」聴いてみたが、やはり途中で止めてしまった。水の流れの音とともにリラックス系の音楽が流れているにもかかわらず、なぜか心拍数が上がり、落ち着かない気分になってきたからだ。やっぱりこの手のCDはわたしには体質的にだめらしい。しかも流れている音楽のほうも妙に気になる。それなりに耳に心地よい音楽のつもりかもしれないが、よくできた音楽ほどは耳に心地よくないものばかりだ。キースジャレットのバッハを聞いていたほうがずっと良い。(特にキースの大ファンというわけではない。)

というわけで、棚の中にあったサブリミナルCD5枚はまとめて廃棄処分とあいなった。でも、きっと効果ある人には、効果があるのだろう。うらやましいなぁ、そういう体質。