巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

「ネコ」ポリス 冬の陣

2006-12-20 21:42:37 | ノラネコ
冬。トカゲもバッタもいなくなり、ノラネコたちには厳しい季節だ。頼るものは生ゴミと篤志家(?)のニンゲンの好意だが、このあたりの生ゴミは、カラスどもが先取特権を激しく主張している。ゆえにノラたちは、篤志家以外のニンゲンの気まぐれな好意にも、一縷の望みを抱いている。(実は公園に住む野生のタヌキも、篤志家によるノラネコへの好意のおこぼれに預かっているらしい。)

このように厳しい状況ゆえに、2ヶ月ほどおさまっていたネコのネコによるネコのための国盗り計画が、再開した模様だ。それも激しさを増して。今回の主役はハナグロ(仮称=鼻黒)である。比較的若い、メスネコと見た。

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(↑玄関ドアを開けると… 手前はゴキリョウ。奥がハナグロ)


このハナグロは、ここ数日はわが家の庭を我が物にせんと、ニンゲンが家の中から出てくるやいなやシッポをピンとたて、大声で鳴きながら、足の廻りにまとわり付いてくる。これがまるでストーカーのようにしつこい、しつこい。

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(↑やる気満々のハナグロ。その野心が先輩ネコたちにはまぶしい)


しかもあまりにも至近距離でまとわり付くので、歩いているニンゲンの足がハナグロの体にぶつかることもあるのだが、ハナグロはそんなことは一向に構わない。手で追い払ってもダメ。箒を振り回してもダメ。あまりにもしつこいので、一度彼女の体を抱えあげて、庭の外に捨ててきたのであるが、ハナグロはわたしのこの行為に、「脈あり」と思ってしまったらしい。考えてみれば、抱えあげたときにハナグロの臭いがわたしについてしまい、逆効果だっただけかも。

わが家の現在の公認ネコはゴキリョウだ。そして公認ネコになれるのは1匹だけ。ハナグロが狙っているのはこのゴキリョウの座なのだ。そこで、ハナグロはゴキリョウをしっかりとマーク。わたしがゴキリョウに話しかけようとすると、さっと間に入り込み、ゴキリョウをシャアシャアと威嚇する。

好奇心がとても強く、自分の縄張りをしっかり護っているようにみえるゴキリョウは、実は神経質で臆病なネコだ。わたしが庭掃除でも始めようものなら、箒に恐れをなして(きっと、以前にニンゲンに箒で叩かれたにちがいない)20m向こうへ逃げてしまう。しかも彼女はネコ同士の争いが嫌いだ。他のネコ挑まれると「命あってのものだね」とばかりに簡単に退いてしまう性格なので、ハナグロが出てくると、塀の影に半分身を隠して悲しげにこちらを見るばかりだ。

「嗚呼、ゴキリョウ」

こちらがいくらゴキリョウの名を呼んでも、ハナグロが目の前に立ちふさがり「アタシがここにいるのよ。アタシを呼んでよ。アタシをかわいがってよ」とばかりに、シッポをピンと立てて異様に大きな甘え声を出し続ける。

まずいことに、ハナグロの声があまりにも大きいため、公園にいるネコたちがハナグロの声に反応して「ここに篤志家がいらっしゃるんですって?」とばかりに、大挙してわが家の庭側になだれ込んでくる。全員がシッポをぴんとたて、期待に満ちた顔つきで甘えた声を出しながら。篤志家ではない動物好きにとっては、非常にオソロシイ状況である。

自分の声で他のネコを招いてしまったハナグロは、新たに庭に入り込んできたネコたちに怒り心頭で、シッポを振りながらごていねいに1匹ずつにタイマンをはりはじめる。

わたしは、ハナグロがタイマンをはっているあいだに、家の中に逃げ込むことにしている。しかしこんどは玄関のドアの外で、ネコポリス一の声量を誇るハナグロが、20分以上も切なげに、そしてあらん限りの大声で「ア~オア~オ」と鳴き続けるのである。動物好きのニンゲンにとっては精神衛生上非常によろしくない状況が続く。ハナグロがわが家の従業員だったら、遠隔地の配送センター勤務の辞令を出してやるのだが。

辞令「配送センター勤務を命ず。勤務中はサルグツワ着用のこと」

それにしても、わが家の周りには、いったい黒白のネコが何匹いるんだろう?

(↓ 公認ネコのゴキリョウ。近頃は、黒毛の部分の白髪が増えました。もうお年なのね。)
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