映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

エレジー

2009年02月01日 | 洋画(09年)
 映画「エレジー」を日比谷のシャンテシネ(館名が「TOHOシネマズ シャンテ」に変わるそうです)で見ました。

 簡単に言えば、文学部の教授が、修士課程の女子学生コエンスラ(ペネロペ・クルス)と恋に陥るというだけのことです。
 ただ、この作品では、「老い」を感じ始めた教授が、前途有望な若い女性に恋愛感情を持った場合に懐くであろう様々な悩みとか喜びがジックリと描き出されており、さらに疎遠にしていた自分の長男とのギクシャクした関係とか、3ヶ月に1度あらわれる中年過ぎのキャリア・ウーマンとのセックスだけの関係なども取り込まれていて、なかなか見ごたえがある映画となっています。

 とはいっても、教授は、一人暮らしで、親類縁者の付き合いは全然なく、どんな女性とどのような関係を持とうが咎めだてをする邪魔者が一切いないという絶好のシチュエーションにあります。実際にはそんなことは滅多にないわけですから、頗る付きのご都合主義といえるでしょう(「いい気なもんさ」と言いたくもなってきます)!

 なお、この作品は、米国の小説家フィリップ・ロスの小説が原作です。読んだことはありませんが、ネットで調べると、原作では、教授が62歳でコンスエラが24歳とされているようで、これに対して、映画では年齢差が30歳とされていましたから、教授の年齢は55歳程度になってしまい、そうだとするとまだ「老い」を云々するには早すぎる感じがします。

 それに、映画では、友人の詩人が脳溢血(?)で倒れて死んでしまうのですが、50代の半ばではヤヤ早すぎる気がしてしまいます。
 ただ、あれほどコンスエラに執着したり、中年過ぎのキャリア・ウーマンと3ヶ月おきに逢ったり、友人と激しいスポーツであるスカッシュをしたりするところから、62歳の設定では一般受けしないと考えたのかもしれません。

 また、映画では、教授が、授業中に黒板にわざとらしく「Roland Barthes」と書いたり、コンスエラにベラスケスの「Las Meninas 」をしたり顔に説明したりするのも、素人の観客にわかりやすいように原作を改変しているのでしょう(大学院の学生に対して、そんなレベルの授業などを行うはずはありませんから)。
 おそらく、かなり特異なで常識的ではない状況が描かれていると想像される原作を、観客に受け入れられやすいようにいろいろな点で改変してしまっているのではないかと思われます。

 とはいえ、そんな差違などどうでもよく、ナンと言っても、「ボルベール<帰郷>」でもその美しさが際立っていたペネロペ・クルスのヌード・シーンをタップリと味わえるのがミソでしょう!


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