「パリ・オペラ座のすべて」を渋谷のル・シネマで見ました。
この映画は、邦題や予告編から、オペラ座の内部のみならず、それを中心としたパリ市内の様子がよくわかるように描きだされている名所案内風のドキュメンタリー映画なのかな、と思い込んでいて、それならパリに関心がありますから見てみようかなと映画館に出かけたわけです。
ところが、実際に映画を見てみますと、ドキュメンタリー映画には違いないのですが、全編ほとんどバレーのことしか描かれておりません。それも説明は一切なしに(バレーの曲名は画像に現れますが)、専らバレーの練習風景が延々と2時間以上も(160分)映し出されるのです。
〔20歳でエトワールに抜擢されたマチュー・ガニオを見たいなとも思っていたのですが、ダンサーの紹介は一切なされないので、出演していたに違いないのですが判別できませんでした〕
それで、タイトルをよく見てみますと「LA DANSE: LE BALLET DE L’ OPERA DE PARIS」とあり、映画の内容は原題にまさに忠実なのです!
にもかかわらず、土曜日でしたがル・シネマは各上映回とも満席なのです(早めの順番の整理券を確保しようとすれば、上映時間の2時間以上前にチケットを購入する必要がありそうな様子です)。
ということは、それだけ日本にはバレー・ファンが多いのかなとも思いました。ただ、バレーを現に習っている感じの観客が多いわけでもなく、また元々バレー音楽は、大きな陰りを見せているクラシック音楽のさらに一部なのですから、実際のところよくわからないところではあります。
ですが、ですが、映画の方は、こちらの期待に反してバレーの練習風景が主に描かれるものの、それ自体として見れば、内容的に本当に素晴らしいものがあります!
特に、現代バレーの「ジェニス」(ダーウィンの進化論がベースとされますが、特別なストーリーはありません)の場面は、著名なイギリス人振付家ウェイン・マクレガーの力のこもった指導ぶりが見られ(振付をしながらも、どんどん新しいアイデアが生まれてきます)、また人間の体はこのように動かすこともできるのだ、まだまだ肉体による表現の可能性は残っているのだということを目の当たりにでき、感動的してしまいました。
また、「メディアの家」(ギリシア悲劇「王女メディア」に基づく)では、子殺しの場面が出てきますが、実際にバケツに入っている赤色の水を子役の頭からかぶせるのには驚きました〔ただ、ここまでリアルにやってしまうと、踊りを本質とするバレーの良さが失われてしまうのでは、という気もしますが〕。
「パキータ」(ジプシー娘がフランス将校とめでたく結ばれるというロマンチック・バレー)の練習で、一人のバレリーナが「フェッテ」という回転を実に何回も行うのには驚きました〔フィギャー・スケートの4回転とはまた違った難しさがあるのでしょう!〕。
他にも「くるみ割り人形」などの練習風景も映し出されましたが、それはそれでこのバレー団の伝統を感じさせるものです。
このドキュメンタリー映画のもう一つの見どころは、こうした練習風景と練習風景との間に、スタッフたちの働きぶりも描き出されている点です。
特に、バレエ団の芸術監督(ブリジット・ルフェーヴル)の八面六臂の活躍ぶりには圧倒されます。
この映画では、それが次のような場面がいくつも挿入されて、実に具体的に描き出されているのです。振付家とダンサーの選定に当たること、ダンサーからの相談事を聞くこと、大口寄付者(破たんしたリーマンブラザーズの名前が挙がっていたのには苦笑させられました)の満足をいかにして確保するかを考えること、ダンサーの意識改革によってその技術的レベルアップを図ろうとすること、年金改革の説明をダンサーたちに受けさせること、等々。
150名のダンサー等から成るパリ・オペラ座をうまく運営するべく、芸術監督がいかにありとあらゆることをこなそうとしているかが如実に分かります。
それに、オペラ座の地下にある大きな水路とか、屋上で行われている養蜂などまでも満遍なく映し出されるわけですから、そういう点からすれば「パリ・オペラ座のすべて」というタイトルであっても、あながち間違いというわけでもなさそうです。
象のロケット:パリ・オペラ座のすべて
この映画は、邦題や予告編から、オペラ座の内部のみならず、それを中心としたパリ市内の様子がよくわかるように描きだされている名所案内風のドキュメンタリー映画なのかな、と思い込んでいて、それならパリに関心がありますから見てみようかなと映画館に出かけたわけです。
ところが、実際に映画を見てみますと、ドキュメンタリー映画には違いないのですが、全編ほとんどバレーのことしか描かれておりません。それも説明は一切なしに(バレーの曲名は画像に現れますが)、専らバレーの練習風景が延々と2時間以上も(160分)映し出されるのです。
〔20歳でエトワールに抜擢されたマチュー・ガニオを見たいなとも思っていたのですが、ダンサーの紹介は一切なされないので、出演していたに違いないのですが判別できませんでした〕
それで、タイトルをよく見てみますと「LA DANSE: LE BALLET DE L’ OPERA DE PARIS」とあり、映画の内容は原題にまさに忠実なのです!
にもかかわらず、土曜日でしたがル・シネマは各上映回とも満席なのです(早めの順番の整理券を確保しようとすれば、上映時間の2時間以上前にチケットを購入する必要がありそうな様子です)。
ということは、それだけ日本にはバレー・ファンが多いのかなとも思いました。ただ、バレーを現に習っている感じの観客が多いわけでもなく、また元々バレー音楽は、大きな陰りを見せているクラシック音楽のさらに一部なのですから、実際のところよくわからないところではあります。
ですが、ですが、映画の方は、こちらの期待に反してバレーの練習風景が主に描かれるものの、それ自体として見れば、内容的に本当に素晴らしいものがあります!
特に、現代バレーの「ジェニス」(ダーウィンの進化論がベースとされますが、特別なストーリーはありません)の場面は、著名なイギリス人振付家ウェイン・マクレガーの力のこもった指導ぶりが見られ(振付をしながらも、どんどん新しいアイデアが生まれてきます)、また人間の体はこのように動かすこともできるのだ、まだまだ肉体による表現の可能性は残っているのだということを目の当たりにでき、感動的してしまいました。
また、「メディアの家」(ギリシア悲劇「王女メディア」に基づく)では、子殺しの場面が出てきますが、実際にバケツに入っている赤色の水を子役の頭からかぶせるのには驚きました〔ただ、ここまでリアルにやってしまうと、踊りを本質とするバレーの良さが失われてしまうのでは、という気もしますが〕。
「パキータ」(ジプシー娘がフランス将校とめでたく結ばれるというロマンチック・バレー)の練習で、一人のバレリーナが「フェッテ」という回転を実に何回も行うのには驚きました〔フィギャー・スケートの4回転とはまた違った難しさがあるのでしょう!〕。
他にも「くるみ割り人形」などの練習風景も映し出されましたが、それはそれでこのバレー団の伝統を感じさせるものです。
このドキュメンタリー映画のもう一つの見どころは、こうした練習風景と練習風景との間に、スタッフたちの働きぶりも描き出されている点です。
特に、バレエ団の芸術監督(ブリジット・ルフェーヴル)の八面六臂の活躍ぶりには圧倒されます。
この映画では、それが次のような場面がいくつも挿入されて、実に具体的に描き出されているのです。振付家とダンサーの選定に当たること、ダンサーからの相談事を聞くこと、大口寄付者(破たんしたリーマンブラザーズの名前が挙がっていたのには苦笑させられました)の満足をいかにして確保するかを考えること、ダンサーの意識改革によってその技術的レベルアップを図ろうとすること、年金改革の説明をダンサーたちに受けさせること、等々。
150名のダンサー等から成るパリ・オペラ座をうまく運営するべく、芸術監督がいかにありとあらゆることをこなそうとしているかが如実に分かります。
それに、オペラ座の地下にある大きな水路とか、屋上で行われている養蜂などまでも満遍なく映し出されるわけですから、そういう点からすれば「パリ・オペラ座のすべて」というタイトルであっても、あながち間違いというわけでもなさそうです。
象のロケット:パリ・オペラ座のすべて
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