『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』をヒューマントラストシネマ渋谷で見ました。
(1)フランスのコメディ映画と聞いて、映画館に行ってみました。
本作(注1)の冒頭は、夫婦の寝室の場面。
突然、時計のベルが鳴り響き、慌てて飛び起きた夫のトム(美容整形外科医:ジョゼ・ガルシア:注2)が、ベッドから転がり落ちます。
そして、目が覚めて、妻のジュリア(精神科医:カロリーヌ・ヴィニョ)に向かって、「お早う、夏休みだ、起きているかい?家族旅行だ!」と言います。
ですが、3人目の子供を妊娠中でお腹の大きなジュリアは、寝惚けてトムの顔にパンチを入れてしまいます。トムは「運転できるかな?」と弱気になるものの、気を取り直して、「朝食食べたら出発だ」と子供たちを起こそうとします。
でもなかなか起きてこないので、トムが「起きないやつは置いていく」と言うと、娘のリゾン(ジョゼフィーヌ・キャリーズ)が顔を出して、「嬉しい、独りになれる」と応じます。
ジュリアが「5分後に出発」と言った途端に、玄関の呼び鈴が鳴ります。
ジュリアがドアを開けると、トムの父親のベン(アンドレ・デュソリエ)が立っています。
ジュリアが「なぜ、お義父さまがここに?」と訝りますが、トムは「1週間だけ一緒に。この前話したろ?」と言います。すると、ジュリアは「聞いていたら忘れるはずがない」「よくも勝手に」「この前、お義父さまを助手として雇った時も、1週間だけと言ったことがある」と猛烈に怒ります。
それでも、ベンを追い返すわけにもいかず、5人は荷物を車に乗せて出発しようとします。
すると、一番小さなノエ(スティラノ・ルカイエ)が「水中銃を忘れた」と言い、ベンも「小便するのを忘れた」と言うので、トムは「わかった」と応じて車を停め、水中銃を探しに家に戻ります。
ベンも家に戻ってトイレに入ります。
ただ、誤ってトイレットペーパーのロールをいくつも便器の中に落としてしまいます。そのまま水を流そうとしたところ、水が止まらなくなってしまい、ベンは慌ててロールを取り出そうとしますが、上手くいきません(注3)。水中銃を探すトムが近づいて来そうだったので、ベンは便器の蓋を閉めてトイレから出て車に戻ります。トイレでは、便器から水が外に溢れ出しています。
そんなこんなで、やっと車は出発し、高速道路を走ります。
車の中では、皆で歌を歌ったりします。
ベンがリゾンに「将来の夢は?」と訊くと、リゾンは「精神科医。だけど、ママとは違って刑務所の精神科医になりたい」と答えます。
途中のガソリンスタンドで、置いてきぼりを食らった女・メロディー(シャルロット・ガブリ)を、ベンは、トムやジュリアに相談せずに車の中に引き入れます。
こんなところが本作の始めの方ですが、さあこれからどんな物語が展開するのでしょうか、………?
本作は、新車を購入して家族旅行に出かけた一家が引き起こす大騒動を描いたコメディ作品。なにしろ、時速160キロで飛ばす車のコントロールが効かなくなってしまうのですから、大変です。通常なら、そんな暴走車に乗リ合わせたら、誰も青ざめて口もきけなくなるでしょうが、本作の一家は逆に超ハイテンションになるのですから、凄まじいものがあります。IT社会に対する批判もあるのかもしれませんが、なによりも、初めからおしまいまで笑って楽しめること請け合いの作品です。
(2)本作は、高速道路に入って、クルーズコントロールの機能を使って、当初時速130キロで走行していたところ、何らかの原因でその機能が故障してしまった車(注4)を巡るお話です。
ブレーキを踏んでも減速できなくなったため(注5)、ベンが「逆のことをしてみたら」と提案します。それで、トムがアクセルを踏んで速度を上げてみると、なんと走行速度160キロにクルーズコントロールが設定されてしまい、そのまま停まらなくなってしまいます(注6)。
車を購入した販売店のディーラーのダニエリ(ジェローム・コマンドール)に連絡すると、「ブレーキを強く踏め」との指示だったので、トムとベンが一緒になってブレーキを強く踏むと、車が停まらないばかりか、ブレーキペダルが折れてしまうのです。
こんなコントロールが効かない暴走車というと、最近作で思い出されるのが、自動車ではありませんが『アンストッパブル』でしょう(注7)。
同作においては、危険物資を積載する39両もの貨物車を牽引する最新式ディゼル機関車が、運転手なしに暴走し続け、そのままだと脱線して町に突っ込み危険物資を周辺に撒き散らすおそれがあるために、なんとかストップさせるべく、後ろから旧式の機関車で主人公(デンゼル・ワシントン)と新米車掌が追いかけるというストーリーになっています。
本作と同様に、同作はハラハラ・ドキドキの連続といえる作品ですが、両作の大きな違いは、本作がコメディ作品であるのに対し、同作はシリアスな作品だという点でしょう。
なにしろ、本作の車が時速160キロで暴走しているにもかかわらず、その車内では次々におかしな騒動が起きるのですから。
例えば、車に乗っている老夫婦からトムに電話が入ります。夫(フィリッペ・ローデンバッハ)が、「妻のサーシャ(ベアトリス・コンスタンティーニ)が受けた昨日の注射について聞きたい」「顔が腫れ上がっている」「拒絶反応では?」と言います。これに対し、トムは「2日間ぐらいは、そうした反応が起こりえます」といい加減に答えます。でも本件にはベンが関係しているようなのです(注8)。
また、ベンが「生まれてくる子供の名前を教えてくれ」と頼むと、トムは「秘密」と言って断りますが、更にベンが「アダムだろう?」と訊くと、トムは「ギャスパーだ」と答えてしまいます。このやり取りを聞いていたジュリアは、「秘密にしておくと約束したのに」と怒り、「パリに引き返して」と言い張ります。
さらに、車内ばかりでなく、その外も、おかしな雰囲気が漂っています。
例えば、本作の暴走車が、停車中のBMWの傍を通過する際に、開いていたフロントドアを壊してしまいますが、BMW命の男・ジャキー(ウラジミール・ホバート)が狂気にかられてしまい、執拗に暴走車を追いかけます(注9)。
また、高速道路を監視している交通警察も、ずいぶんとのんびりしています(注10)。
総じて、本作には、他愛ないエピソードが沢山詰め込まれている感じで、IT社会に対する警鐘という面もあるのでしょうが(注11)、笑って愉しめば十分というところでしょう。
(3)渡まち子氏は、「「世界の果てまでヒャッハー!」のニコラ・ブナム監督の作品にしては、やや消化不良。それでも家族の絆は強まったのだからヨシとしよう」として50点を付けています。
(注)監督はニコラ・ブナム。
脚本はフレデリック・ジョルダンら。
原題は「À fond 」(英題は「Full Speed」)。
なお、ベンを演じたアンドレ・デュソリエは『美女と野獣』(2014年)で見ました。
(注2)劇場用パンフレット掲載のコラムで杉山すぴ豊氏が指摘しているように、トムに扮するジョゼ・ガルシアは、実にロバート・ダウニー・Jrにそっくりなので驚きます。そして、同氏は、「明らかにこの映画は、『アイアンマン』のパロディになっている」とまで述べています。
(注3)常識的には、便器からロールを取り出すことなど簡単と思えるものの、この場合、ベンが大慌てだったので上手くいかなかったのでしょう。仕方なくベンは元栓を閉めようとしますが、元栓自体を壊してしまうのです。
なお、後で、マンションの階下の住人(画家)が、ジュリアに水漏れを電話で知らせるのですが、それはそれで別の騒動を引き起こします。
(注4)車種は「メンドゥーサ」とされているところ、劇場用パンフレットに掲載された田中むねよし氏のコラム記事によれば、「わざわざ映画のために既存のクルマ(メルセデスVクラス)の顔付きを改造して変更している」とのこと。
(注5)Wikipediaの記事によれば、「一般にクルーズコントロールは、ドライバーがブレーキペダルかクラッチペダルを踏むことや、解除ボタンを押すことによって解除される」とのこと。
(注6)運の悪いことに、家族旅行するというので、事前にガソリンを満タンに入れてありました。
(注7)なお、劇場用パンフレット掲載の対談「轟夕起夫&平田真人の映画兄弟、暴走パニック映画トーク!」には、『スピード』とか『新幹線爆破』など類似の作品がたくさん挙げられています。
ただ、『スピード』(1994年)にしても『新幹線爆破』(1976年)にしても、本作のように、ブレーキが効かなくなってとまらなくなって暴走するというわけではありません(どちらも、「走行速度が80km/hを下回ると爆発する」という設定がとられています)。
(注8)サーシャの腫れは治まるどころか、次第に酷いものになってしまいます。どうやら、ベンがトムに内緒で、安い中国製のボットックス注射液に代えたために(差額をベンは自分の懐に入れたのでしょう)、サーシャの顔が腫れ上がってしまったようなのです。
(注9)誤って、ベンの小便の入った袋を顔にぶつけられるなど、ジャッキーは散々な目に遭わされます。
(注10)交通警察の本部は、監視カメラを通して大変な状況を把握しているにもかかわらず、隊長のペトン(フローレンス・フォレスティ)は、卓球のことしか頭になく、いい加減な指示を与えたりします。
また、後でこの暴走車に伴走することになる2台の白バイにまたがる男女の警察官は、暴走車が通過した時は、木の茂みでよろしくやっていた最中でした!
(注11)劇場用パンフレット掲載のインタビュー記事において、東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏は、「この映画のようなAIのトラブルって、実際に起こり得るんでしょうか?」との質問に対し、「さすがにブレーキが効かなくなるというのは、ありえない(笑い)」と答えています。ですが、世の中、起こり得ないとされたことが実際には起きてしまうことがよくあるのではないでしょうか?そういう意味で、本作のような暴走車についても、簡単に笑って済ませないのではと思われますが。
★★★☆☆☆
象のロケット:ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走
(1)フランスのコメディ映画と聞いて、映画館に行ってみました。
本作(注1)の冒頭は、夫婦の寝室の場面。
突然、時計のベルが鳴り響き、慌てて飛び起きた夫のトム(美容整形外科医:ジョゼ・ガルシア:注2)が、ベッドから転がり落ちます。
そして、目が覚めて、妻のジュリア(精神科医:カロリーヌ・ヴィニョ)に向かって、「お早う、夏休みだ、起きているかい?家族旅行だ!」と言います。
ですが、3人目の子供を妊娠中でお腹の大きなジュリアは、寝惚けてトムの顔にパンチを入れてしまいます。トムは「運転できるかな?」と弱気になるものの、気を取り直して、「朝食食べたら出発だ」と子供たちを起こそうとします。
でもなかなか起きてこないので、トムが「起きないやつは置いていく」と言うと、娘のリゾン(ジョゼフィーヌ・キャリーズ)が顔を出して、「嬉しい、独りになれる」と応じます。
ジュリアが「5分後に出発」と言った途端に、玄関の呼び鈴が鳴ります。
ジュリアがドアを開けると、トムの父親のベン(アンドレ・デュソリエ)が立っています。
ジュリアが「なぜ、お義父さまがここに?」と訝りますが、トムは「1週間だけ一緒に。この前話したろ?」と言います。すると、ジュリアは「聞いていたら忘れるはずがない」「よくも勝手に」「この前、お義父さまを助手として雇った時も、1週間だけと言ったことがある」と猛烈に怒ります。
それでも、ベンを追い返すわけにもいかず、5人は荷物を車に乗せて出発しようとします。
すると、一番小さなノエ(スティラノ・ルカイエ)が「水中銃を忘れた」と言い、ベンも「小便するのを忘れた」と言うので、トムは「わかった」と応じて車を停め、水中銃を探しに家に戻ります。
ベンも家に戻ってトイレに入ります。
ただ、誤ってトイレットペーパーのロールをいくつも便器の中に落としてしまいます。そのまま水を流そうとしたところ、水が止まらなくなってしまい、ベンは慌ててロールを取り出そうとしますが、上手くいきません(注3)。水中銃を探すトムが近づいて来そうだったので、ベンは便器の蓋を閉めてトイレから出て車に戻ります。トイレでは、便器から水が外に溢れ出しています。
そんなこんなで、やっと車は出発し、高速道路を走ります。
車の中では、皆で歌を歌ったりします。
ベンがリゾンに「将来の夢は?」と訊くと、リゾンは「精神科医。だけど、ママとは違って刑務所の精神科医になりたい」と答えます。
途中のガソリンスタンドで、置いてきぼりを食らった女・メロディー(シャルロット・ガブリ)を、ベンは、トムやジュリアに相談せずに車の中に引き入れます。
こんなところが本作の始めの方ですが、さあこれからどんな物語が展開するのでしょうか、………?
本作は、新車を購入して家族旅行に出かけた一家が引き起こす大騒動を描いたコメディ作品。なにしろ、時速160キロで飛ばす車のコントロールが効かなくなってしまうのですから、大変です。通常なら、そんな暴走車に乗リ合わせたら、誰も青ざめて口もきけなくなるでしょうが、本作の一家は逆に超ハイテンションになるのですから、凄まじいものがあります。IT社会に対する批判もあるのかもしれませんが、なによりも、初めからおしまいまで笑って楽しめること請け合いの作品です。
(2)本作は、高速道路に入って、クルーズコントロールの機能を使って、当初時速130キロで走行していたところ、何らかの原因でその機能が故障してしまった車(注4)を巡るお話です。
ブレーキを踏んでも減速できなくなったため(注5)、ベンが「逆のことをしてみたら」と提案します。それで、トムがアクセルを踏んで速度を上げてみると、なんと走行速度160キロにクルーズコントロールが設定されてしまい、そのまま停まらなくなってしまいます(注6)。
車を購入した販売店のディーラーのダニエリ(ジェローム・コマンドール)に連絡すると、「ブレーキを強く踏め」との指示だったので、トムとベンが一緒になってブレーキを強く踏むと、車が停まらないばかりか、ブレーキペダルが折れてしまうのです。
こんなコントロールが効かない暴走車というと、最近作で思い出されるのが、自動車ではありませんが『アンストッパブル』でしょう(注7)。
同作においては、危険物資を積載する39両もの貨物車を牽引する最新式ディゼル機関車が、運転手なしに暴走し続け、そのままだと脱線して町に突っ込み危険物資を周辺に撒き散らすおそれがあるために、なんとかストップさせるべく、後ろから旧式の機関車で主人公(デンゼル・ワシントン)と新米車掌が追いかけるというストーリーになっています。
本作と同様に、同作はハラハラ・ドキドキの連続といえる作品ですが、両作の大きな違いは、本作がコメディ作品であるのに対し、同作はシリアスな作品だという点でしょう。
なにしろ、本作の車が時速160キロで暴走しているにもかかわらず、その車内では次々におかしな騒動が起きるのですから。
例えば、車に乗っている老夫婦からトムに電話が入ります。夫(フィリッペ・ローデンバッハ)が、「妻のサーシャ(ベアトリス・コンスタンティーニ)が受けた昨日の注射について聞きたい」「顔が腫れ上がっている」「拒絶反応では?」と言います。これに対し、トムは「2日間ぐらいは、そうした反応が起こりえます」といい加減に答えます。でも本件にはベンが関係しているようなのです(注8)。
また、ベンが「生まれてくる子供の名前を教えてくれ」と頼むと、トムは「秘密」と言って断りますが、更にベンが「アダムだろう?」と訊くと、トムは「ギャスパーだ」と答えてしまいます。このやり取りを聞いていたジュリアは、「秘密にしておくと約束したのに」と怒り、「パリに引き返して」と言い張ります。
さらに、車内ばかりでなく、その外も、おかしな雰囲気が漂っています。
例えば、本作の暴走車が、停車中のBMWの傍を通過する際に、開いていたフロントドアを壊してしまいますが、BMW命の男・ジャキー(ウラジミール・ホバート)が狂気にかられてしまい、執拗に暴走車を追いかけます(注9)。
また、高速道路を監視している交通警察も、ずいぶんとのんびりしています(注10)。
総じて、本作には、他愛ないエピソードが沢山詰め込まれている感じで、IT社会に対する警鐘という面もあるのでしょうが(注11)、笑って愉しめば十分というところでしょう。
(3)渡まち子氏は、「「世界の果てまでヒャッハー!」のニコラ・ブナム監督の作品にしては、やや消化不良。それでも家族の絆は強まったのだからヨシとしよう」として50点を付けています。
(注)監督はニコラ・ブナム。
脚本はフレデリック・ジョルダンら。
原題は「À fond 」(英題は「Full Speed」)。
なお、ベンを演じたアンドレ・デュソリエは『美女と野獣』(2014年)で見ました。
(注2)劇場用パンフレット掲載のコラムで杉山すぴ豊氏が指摘しているように、トムに扮するジョゼ・ガルシアは、実にロバート・ダウニー・Jrにそっくりなので驚きます。そして、同氏は、「明らかにこの映画は、『アイアンマン』のパロディになっている」とまで述べています。
(注3)常識的には、便器からロールを取り出すことなど簡単と思えるものの、この場合、ベンが大慌てだったので上手くいかなかったのでしょう。仕方なくベンは元栓を閉めようとしますが、元栓自体を壊してしまうのです。
なお、後で、マンションの階下の住人(画家)が、ジュリアに水漏れを電話で知らせるのですが、それはそれで別の騒動を引き起こします。
(注4)車種は「メンドゥーサ」とされているところ、劇場用パンフレットに掲載された田中むねよし氏のコラム記事によれば、「わざわざ映画のために既存のクルマ(メルセデスVクラス)の顔付きを改造して変更している」とのこと。
(注5)Wikipediaの記事によれば、「一般にクルーズコントロールは、ドライバーがブレーキペダルかクラッチペダルを踏むことや、解除ボタンを押すことによって解除される」とのこと。
(注6)運の悪いことに、家族旅行するというので、事前にガソリンを満タンに入れてありました。
(注7)なお、劇場用パンフレット掲載の対談「轟夕起夫&平田真人の映画兄弟、暴走パニック映画トーク!」には、『スピード』とか『新幹線爆破』など類似の作品がたくさん挙げられています。
ただ、『スピード』(1994年)にしても『新幹線爆破』(1976年)にしても、本作のように、ブレーキが効かなくなってとまらなくなって暴走するというわけではありません(どちらも、「走行速度が80km/hを下回ると爆発する」という設定がとられています)。
(注8)サーシャの腫れは治まるどころか、次第に酷いものになってしまいます。どうやら、ベンがトムに内緒で、安い中国製のボットックス注射液に代えたために(差額をベンは自分の懐に入れたのでしょう)、サーシャの顔が腫れ上がってしまったようなのです。
(注9)誤って、ベンの小便の入った袋を顔にぶつけられるなど、ジャッキーは散々な目に遭わされます。
(注10)交通警察の本部は、監視カメラを通して大変な状況を把握しているにもかかわらず、隊長のペトン(フローレンス・フォレスティ)は、卓球のことしか頭になく、いい加減な指示を与えたりします。
また、後でこの暴走車に伴走することになる2台の白バイにまたがる男女の警察官は、暴走車が通過した時は、木の茂みでよろしくやっていた最中でした!
(注11)劇場用パンフレット掲載のインタビュー記事において、東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏は、「この映画のようなAIのトラブルって、実際に起こり得るんでしょうか?」との質問に対し、「さすがにブレーキが効かなくなるというのは、ありえない(笑い)」と答えています。ですが、世の中、起こり得ないとされたことが実際には起きてしまうことがよくあるのではないでしょうか?そういう意味で、本作のような暴走車についても、簡単に笑って済ませないのではと思われますが。
★★★☆☆☆
象のロケット:ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走