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映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

告発のとき

2009年03月21日 | DVD
 この作品は、イラク戦争から米国に帰還しながらもスグに行方不明になってしまった息子を捜す父親の話です。父親は元軍人、長男を軍隊内での航空機事故で亡くしながら、さらに次男も失ってしまうという厳しい運命に晒されます。

 この映画では、こうした役柄なら彼以外には考えられないと思わせる素晴らしい演技をトミー・リー・ジョーンズは披露していて、大変感動しました。

 なお、次男の携帯電話機に残されていた酷く歪んだ画像から、イラク戦争の悲惨な状況を伝えるという手法は、直接的な描写よりもむしろ見る者に強いインパクトを与えるようです。

 また、イラクにいる次男から「助けてくれ」という連絡が入ったときに、父親は詳しい状況がわからず適切に対応できませんでした。
 話が頗る飛躍してしまいますが、これは、少し前の時津風部屋の力士暴行死事件において、犠牲者の少年が虐待に耐えきれず部屋を脱走して実家に帰ってきたにもかかわらず、父親が元の部屋に連れ戻してしまったこととも類似しているのでは、と思ったりしました(詳しい状況はわからないながら、辛い鍛錬をなんとか克服しなければ駄目な人間になってしまう、という思い込みが力士の父親にあったのではないでしょうか?)。

リアル鬼ごっこ

2009年03月14日 | DVD
 前田有一氏が70点を付け、「なかなかどうして、結構面白いですぞ」などと言っていたり、映画館で見た予告編からも何だか変わった内容ではないかと思っていたので、DVDで見てみた次第です。

 ただ、実際のところは、確かに「佐藤」の苗字を持つものが次々に死亡して云々という話自体は面白いものの、全体としては、いまSF映画で大流行の「可能的世界」を安易に取扱っているのではないかと思え、さらにはモウ1つの世界で君臨しているという王様やその王国が随分と貧弱であり、その世界で「佐藤」姓のものを追いかけるオニも単に走り回っているだけのお粗末さ、といった点から期待したほどの出来栄えではありませんでした。

 なお、Wowowのドラマ「パンドラ」で好演した谷村美月が、この映画でもヒロインを演じていて、何か素人っぽさが残っているところがいいのではないか、などと思いました。

ディスタービア

2009年02月21日 | DVD
 全米でこの作品が公開されたときは3週連続1位となり、前田有一氏も、「確かにこれ、サイコーに面白い」と80点をつけているので、DVDを借りてきたわけです。

 前田氏は、この映画に関しては随分と乗っていて、「この作品のすばらしい所は、深く論理性を追求していないという点」であり、「むしろ観客が突っ込めるよう、あえてご都合主義要素を多数残しているきらいさえある」ところまで喝破していますから、付け加える点など何も残ってはおりません。

 「見終わって、ちょっと後悔した」とする粉川哲夫氏などは、前田氏からすれば、“だから若者向きのスリラーと言っただろう”と非難されてしまうことでしょう!

 とはいえ、私も、粉川氏の口で、「最初は父親と息子がむつまじく釣りをしている穏やかなシーンから始まり、それが突然悲惨な衝突事故のシーンに進むので、こいつはなかなかかなと思」い、その話がラストまでに何とか解明されるもの期待したのですが、その話は最初のシーンだけでオシマイで、チョット肩透かしを食らった感じでした。

ドンファン

2009年02月14日 | DVD
 フランシス・コッポラが製作した「ドンファン」(1995)のDVDを見ました。

 実は、新潮選書の『恋愛哲学者モーツァルト』(岡田暁生著、2008.3)を読んでいましたら、モーツァルト以降に作られたドン・ジョバンニ物語の一つとして同映画が取り上げられていて、それも「メルヘンのように透明な、心優しいドン・ジョバンニの物語」だと述べられていたので見てみたわけです。

 この映画では、主役のドンファンを演じるのが今をときめくジョニー・デップ(当時32歳)であり、さらにマーロン・ブランドやフェイ・ダナウエイといった錚々たる俳優が出演していますが、あまり日本では評判にならなかったのではと思われます。

 ドンファンが1500人以上の女性と恋仲になったという話が、彼の虚言癖に基づく妄想とされていて、精神病院でマーロン・ブランド扮する精神分析医の治療を受けるといった設定になっているからなのかもしれません。
 尤も、マーロン・ブランドの方は、実際にはジョニー・デップの話を信じて、彼が病院を退院する際に一緒に南のエロス島に奥さんのフェイ・ダナウエイと出かけてしまうというオチになるのですが。