孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

台湾  半導体産業に牽引された経済成長 その半導体は安全保障面での「シリコンの盾」となるか?

2022-10-18 22:57:31 | 東アジア
(蔡英文総統とTSMC創業者である張忠謀氏(左) 2020年11月10日【2020年11月10日 日経】)

【1人当たりGDPで日本・韓国を抜いた台湾 牽引するのは半導体産業】
周知のように「一人当たり購買力平価GDP」では2019年に日本は韓国に追い抜かれていますが、名目ではまだ日本の水準が韓国を上回っています。しかし、これまでの成長率で伸びていくなら、数年後に韓国は日本を追い抜いてしまう可能性があるとされています。(日本の現状を見ると、“可能性”というか、多分そうなるのでしょう)

購買力平価GDP、名目GDO、実質GDPの意味するものの話はさておき、日本がアジア世界で断トツの経済力を有する「豊かな国」だったという世界は今や消失しています。

更に言えば、十数年後には急速に成長している中国が日本をとらえるでしょう。(ゼロコロナでここのところは低迷していますが、長期的なトレンドとしては日本だけでなく、韓国、更にはアメリカをとらえると思われます)

では1人当たりGDPという指標で見たとき、現時点で東アジア世界で一番は? 実は、IMFが10月12日に発表した今年の予想では、日本・韓国の上にランクされるのが台湾だそうです。

****台湾の1人当たりGDP、日韓抜いて東アジア1位へ、半導体産業の成長を背に―中国メディア****
台湾について「半導体産業の勢いある成長のおかげで、1人当たり国内総生産(GDP)が今年初めて日本と韓国を抜いて東アジア1位になる」とする記事が、中国ポータルサイトの網易に14日付で掲載された。以下はその概要。

国際通貨基金(IMF)の予測によると、今年の台湾の1人当たりGDPは3万5510ドル。韓国は3万3590ドル、日本は3万4360ドルで、2003年に韓国に初めて追い越されてから約20年ぶりに韓国を再び抜くだけでなく、史上初めて日本まで上回ることになる。

台湾のGDP急成長の土台となっているのが、半導体産業に対する政府の強力な支援だ。今年第3四半期の半導体企業売上高ランキングで、台湾積体電路製造(TSMC)は、韓国サムスン電子と米インテルを抜いて首位に立った。

半導体製造における後工程である組み立てとテストを請け負う製造業者(OSAT)の市場シェアでも、台湾は過半数を占め、韓国を大きく引き離している。【10月18日 レコードチャイナ】
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台湾は国際政治的には厳しさを増す中台情勢のなかで不安定な位置にありますが、経済的には絶好調。
その台湾経済を牽引するのが半導体生産であり、世界最大の半導体企業TSMCです。韓国サムスン電子や米インテルを凌ぐというのは・・・

【アメリカは中国を「競争相手」と位置づけ、対抗姿勢を鮮明に】
とは言え、今後の台湾を考えるとき、中台関係、米中関係という国際情勢の枠組みの状況が(経済だけでなく、台湾の存在そのものについても)大きく影響することは言うまでもないところ。

アメリカは中国を「国際秩序を変える意図と能力を持つ唯一の競争相手」と位置づけ、対抗していく姿勢を強めています。

****中国は「唯一の競争相手」=ロシア、欧州秩序の「脅威」―米政権が国家安保戦略発表****
バイデン米大統領は12日、外交・安保政策の指針をまとめた「国家安全保障戦略」を発表した。

中国を「国際秩序を変える意図と能力を持つ唯一の競争相手」と位置付け、同盟・友好国と共に長期的に対抗していく姿勢を鮮明にした。ウクライナ侵攻を踏まえ、ロシアが欧州の安保秩序に「差し迫った脅威」をもたらしているとも強調した。

バイデン政権が包括的な安保戦略を示すのは初めて。戦略では「ポスト冷戦期は確実に終わり、次の時代を形作る大国間競争が進行している」と説明。民主主義国と専制主義国がどちらの「統治システム」が優位かを競う中、専制主義国の行動が「国際社会の平和と安定に試練を突き付けている」として危機感をあらわにした。【10月13日 時事】
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こうした“熱い”アメリカの対抗姿勢を中国は「冷戦思考の時代遅れ」と批判しながらも、あまりアメリカと張り合う姿勢は見せず抑制的な感も。戦略でしょうか、余裕でしょうか。

****米安保戦略に中国「冷戦思考の時代遅れ」*****
中国外務省の毛寧報道官は13日の記者会見で、バイデン米政権が発表した国家安全保障戦略(NSS)に対し、「冷戦思考や、(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームといった時代遅れの観念に固執することに反対する」と反発した。

米側に対し「中国側に歩み寄り、両国関係を健全で安定した軌道に再び戻すことを推進すべきだ」と呼び掛けた。

毛氏は「われわれも地政学上の衝突や、大国間競争をあおることに賛成しない」と発言。その上で「中国は終始一貫して世界平和の建設者だ」とも述べ、NSSでの米側の批判や懸念に正面から応じない形だ。

毛氏は「中国と米国は最大の発展途上国と先進国として、世界平和を守り、経済発展を安定、促進させるという責任を担っている」とも主張した。中国側は、米国による対露制裁などの対応が平和の妨げになっているといった主張を強めている。【10月13日 産経】
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【アメリカの対中国戦略の要が「半導体」】
アメリカが中国との競争で重視しているのが半導体。
今や半導体はあらゆる商品を生産するのに必要となる経済の要ですが、ロシアが制裁で半導体を入手できず武器生産もままならない状況にあるように、軍事的にも最重要品目です。

****米、半導体製造装置巡る対中輸出規制を大幅拡大へ****
バイデン米政権は7日、半導体製造装置の対中輸出規制の適用対象を大幅に拡大する一連の包括的な措置を発表した。これには米国の半導体製造装置を使って世界各地で製造された特定の半導体チップを中国が入手できないようにする措置が含まれた。

商務省はこれまでに半導体製造装置メーカーであるKLA、ラム・リサーチ、アプライド・マテリアルズに文書で輸出制限を通知しており、新たな措置はこれに基づくもの。一部の措置は即時適用されるという。(中略)

今回の一連の措置は、中国への技術移転に関する米国の政策において、1990年代以降で最大の転換となる可能性がある。措置適用となれば、米国の技術を利用する米国内外の企業による中国の主要工場および半導体設計業者への支援が強制的に打ち切りとなり、中国の半導体製造業が立ち行かなくなる可能性がある。

ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の技術・サイバーセキュリティ専門家、ジム・ルイス氏は、今回の措置は冷戦最盛期の厳格な規制を想起させるとし、「中国は半導体製造を諦めないだろうが、新たな措置により大幅に遅れる」と述べた。

政府高官は前日、今回の措置の多くは海外企業が中国に先端半導体を販売したり、中国企業に対し独自の先端半導体の製造が可能な装置を提供したりすることを防ぐのが目的とする一方、同盟国が同様の措置を実施するという確約を取り付けたわけではなく、引き続き協議していると語った。(中略)

米当局は米国および同盟国の企業に対し新たな措置の免除が認められるライセンスも提供しており、韓国の半導体メモリー生産大手SKハイニックスは中国工場の操業継続に向けてライセンスを申請した。【10月8日 ロイター】
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一般論として言えば、こういう制裁措置は中国の半導体生産を「遅らせる」でしょうが、おそらく中国は独自開発のルートを見つけるでしょう。その結果、半導体生産におけるアメリカの優位性は失われる・・・ということが予想もされます。あくまでも長期的な一般論ですが。

それはともかく、半導体メーカーにとってはビジネス上の難題を抱えることに。今回の措置を受け、半導体製造装置メーカーの株価が下落しています。

****半導体企業は米国の対中弾圧で巨額の時価総額を失う―米メディア****
中国共産党系の環球時報のニュースサイトによると、米テクノロジー系ニュースサイトのTom's Hardwareは11日、「半導体企業は米国の対中弾圧で2400億ドルの時価総額を失う」とする記事を掲載した。以下はその概要。

米政府は、プロセッサの設計やチップの開発、生産能力をリードする政府が管理する法人へのアクセスを拒否することにより、中国の軍事的可能性を制限しようとしている。

その結果、世界の半導体企業は巨額の時価総額を失った。半導体産業はグローバルであるため、米政府の決定は半導体サプライチェーン全体に影響を与える。

半導体大手の時価総額はこのところ減少を続けている。米国による規制が強まると、さらに多くの半導体企業が苦しむことになる。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今週、記録的な安値を付けた。(中略)

中国にとって朗報なのは、ニコン、キヤノン、東京エレクトロンなどの日本の半導体製造装置企業が、米国の弾圧の影響により米国の技術を使用しない装置の開発を試みる可能性が高いことだ。

半導体需要の大幅な落ち込みに対する投資家の懸念と、米国が中国の半導体セクターに対してより厳しい制裁を科すことを決定した場合の世界の半導体産業の将来性に対する懸念により、多くの時価総額が失われている。【10月13日 レコードチャイナ】
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一方、アメリカは「人材」の面でも中国半導体生産を抑える措置を講じています。

****米国が中国系米国人の半導体事業従事を規制、中国の半導体企業にさらに打撃―台湾メディア****
2022年10月13日、台湾・中国時報電子版は、米政府による新たな半導体関連輸出管理強化措置が、米国籍人材に支えられている中国の半導体産業に大きな打撃を与えるとする記事を掲載した。

記事は、(中略)このほど発表された新たな規定では「許可を得ていない米国民が中国で半導体の開発、製造作業に従事することを禁止する。米国産設備のアフターサービス技術者も含む」という内容が盛り込まれたと伝えた。

そして、米国では多くの中国系人員が電子関連業界に従事しており、これらの中国系人員が中国の半導体産業のスタートアップ時点から積極的に登用されてきたことから、今回の規制措置が中国系米国人のSNSコミュニティーで大きな波紋を呼ぶとともに「今後、米国の永住権を持つ中国人にも規制対象が広がるのではないか」との憂慮も出ているとした。(中略)

中国には中国系米国人が設立した半導体の設備、材料企業が多く存在し、中国の半導体サプライチェーン国産化を支える大きな柱となっていると紹介した。

また、ある半導体企業幹部の話として、その多くが米国に家庭を持ち、米国内に資産、財産を所有していることから、中国系米国人幹部が米国籍を捨てることは非常に困難であり、彼らが難局を乗り越えるには、今後引き続き中国で従事するために米政府からの許可を請う方法がベターとなるはずだと伝えた。(後略)【10月15日 レコードチャイナ】
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【半導体産業は台湾にとって「シリコンの盾」か、あるいは「標的」か】
で、話を台湾に戻すと、台湾は国際政治・安全保障の面で米中対立の最前線に位置していますが、その台湾を支えるのが米中対立で最もホットな品目である半導体生産であるという事実・・・このことは台湾にとって吉か凶か?

****台湾の半導体業界は侵攻を防ぐ「シリコンの盾」か、それとも狙われる標的か****
10月10日、中国の半導体企業株が暴落した。(中略)理由は言うまでもなく、米国が打ち出した先端半導体やその製造装置の対中輸出に関する追加規制のせいだ。

中国による軍事利用を阻止
米商務省は10月7日、先端半導体や半導体製造装置の対中輸出を認可制にすると発表。トランプ政権時代から先端技術の対中輸出は制限を受けてきたが、従来の規則を大幅に強化した。米国製の技術が中国に軍事利用されるのを防ぐためだ。

今回の追加規制では、AIやスーパーコンピュータなどに使われる先端半導体および製造装置や、スマートフォンやパソコン、データサーバなどの基本的な演算処理用半導体を製造する装置も対象となる。企業が中国に先端半導体製品と設備を輸出するには特別な許可証が必要になる。(中略)

ニューヨーク・タイムズは、米政府高官のコメントを引用する形で、大部分の輸出許可証申請の基準は極めて厳しく、同時に米国は同盟国の関連企業に対して輸出された商品についても逐次評価し、それらハイテク製品が中国に利用されるのを防ぐつもりだ、としていた。(中略)

挫折した中国の半導体「完全国産化」
中国の習近平政権は7年前に「中国製造2025」を打ち出し、半導体の完全国産化を目指していたが、事実上これは失敗に終わった。

中国の技術革新の本質は、トライアンドエラーの積み重ねで自ら開発していくものはなく、金の力にまかせた技術や人材の買収、引き抜きに支えられていたため、米国が戦略的に中国企業や中国人材を半導体業界からデカップリングしようと動くと、すぐに躓(つまず)くことになったのだ。

また、不正や腐敗が当たり前となっている中国産業界の特定の分野に、国策として潤沢な資金が流れると、その金に群がる有象無象の「なんちゃって半導体企業」が資金を食いつぶす現象も起きた。(中略)

中国半導体産業界はすでに氷河期を迎えつつある。そこに今回のような米国の追加規制を受けて、先端半導体や製造設備などの禁輸が徹底されれば、比較的ローテク半導体を使用する中国の自動車、ロボット、家電、消費電子産業までも大きな影響を受けるだろう。

これら製品は市場シェア50%以上が中国製なので、世界中で製品の欠乏が起きるかもしれない。痛みに耐えねばならないのは中国企業だけでなく、米国企業も含めた世界の関連業界であり、消費者たちだろう。

実際、世界最大手ファウンドリ企業の台湾TSMCの株価も、双十節(中華民国建国記念日)休み明けの10月11日に8.33%暴落した。米国企業も中国企業も、高性能コンピュータの半導体チップのほとんどをTSMCに委託製造している。米国がスーパーコンピュータ関連半導体市場を囲い込み、中国企業をデカップリングしていくとなると、中国が将来的に伸びしろがある市場だととみて積極的に投資してきたTSMCにとっても大きな痛手となる。

「シリコンの盾」の効果は?
グローバル化と中国ハイテク産業問題を長期に研究してきた米ヴァサー大学の周宇教授は米メディアのラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「これ(米国の今回の措置)は中国のハイテク産業だけでなく、国際的な半導体産業チェーン全体にも損害を与え、そして半導体産業グローバルチェーンの組み換え、再構築を引き起こすだろう」と指摘している。

その再構築の鍵を握るのは、当然TSMCをはじめとする台湾半導体産業の今後の動向となろう。
ここで気になるのが、台湾の安全保障とTSMCを中心とする台湾の半導体産業の関係性だ。つまりTSMCはじめ台湾の半導体産業が中国市場と切り離されることは台湾の安全保障にとって吉なのか凶なのか。米国と中国の狭間でどのような選択が、最も台湾国益にとってプラスなのか、という問題だ。

TSMCは米中ハイテク戦争の狭間にあって、世界ファウンドリ市場の6割を占め、今にいたるまで中国市場から撤退するか否かについては曖昧な態度を貫いている。その主な理由は、半導体産業で中国との関係を維持していくことが、台湾の国家安全にプラスになる、という発想がひとつある。

TSMCの会長で創業者の張忠謀が先日、米国CBSのテレビ番組「60ミニッツ」に出演した際、その発言が世界の注目を集めた。司会者のレスリー・スタアが「台湾人が半導体産業に、いわゆる『シリコンの盾』としての影響力に期待するのはなぜなのか。なぜ、半導体産業によって習近平の台湾武力侵攻を防げられると思うのか?」と質問した。

すると張忠謀は「TSMCは世界各国に半導体を提供しており、もし“誰か(中国)”が経済的な幸福を主要な目標とするならば、武力侵攻をすまいと自己抑制するだろう」と語った。

スタアがさらに「しかし、もしその誰かの主要目標が台湾を侵攻し“一つの中国”の下、TSMCを国有化することであったらどうだろう?」と問いかけると、張忠謀は率直に言った。「もし戦争が起きれば、すべてが破壊されるだろう。すべてが滅亡する」。

世界のハイテク産業を支える半導体の大量生産を請け負うTSMCなどの企業が台湾に存在することは、米国が台湾を絶対に中国に渡したくない主要な理由の1つである。

台湾は米国との経済的結びつきを強化することで、断交後も台湾関係法という形で台湾の安全を保障することを米国に認めさせた。その考え方は、近年、台湾が半導体産業の中心となることでさらに強化されている。

台湾が中国に統一され、TSMCはじめ台湾の半導体産業が中国の手に落ちれば、米中ハイテク戦争の形勢は米国不利に陥るかもしれない。「シリコンの盾」は、米国に台湾を守らせるという意味では、間違いなく有効だ。

優先すべきは経済利益より国家安全
だが一方で、台湾に米中ハイテク戦争の行方のカギとなる半導体産業があるからこそ、習近平はリスクを冒しても台湾統一を急ごうとしている、という見方もある。

まもなく北京で始まる第20回中国共産党大会で、仮に習近平体制が継続する形となれば、習近平は自分の指導基盤を固めるために台湾統一のタイムリミットを宣言するかもしれない。そうなれば、台湾海峡有事はかつてないほど現実味のある危機として認識されるようになるだろう。

台湾に成熟した半導体産業がなければ、習近平は焦って台湾を手に入れようと考えなかったかもしれない。

台湾の半導体産業をつぶせば、世界の産業は混乱に陥る。それを避けるには、台湾は大人しく、中国の特別行政区になれ、と言う人も出てくる。「シリコンの盾」というより、狙われる弱点、グローバル経済のアキレス腱と言うこともできるだろう。

張忠謀のロジックの前提は、中国が経済発展を重視していれば、台湾を戦争に巻き込まない、ということだが、習近平が、まさにそういう経済重視の考えがあるのか、という点が大いに問題だ。戦争をせずに一緒に金儲けしよう、と商人に呼び掛ければうまくいくが、相手が根っからの盗賊だったら? 平和に商売するように見せかけて近づき、最終的にはすべてを奪った上で殺害するかもしれない。

中国市場に巨額投資しているEVメーカー大手テスラのイーロン・マスクCEOは、英フィナンシャル・タイムズ紙で、「(台湾有事が起きれば)影響は半導体サプライチェーンのみならず世界経済全体の3割が失われる」などと発言し、(そうした戦争を避けるために)「台湾は中国の特別行政区にすべきだ」と主張し、物議をかもした。

だが、この発言の背後にあるのは、経済のグローバリズムでは、軍事力をもった覇権国家の侵略意欲を食い止めることはできず、「シリコンの盾」など幻想である、という真理だ。

となると、国家にとって最大の優先事項は経済利益ではなく軍事的優位を守り切ることであり、米国が軍事的優位を守るために半導体産業にそれなりの犠牲を強いることは妥当な判断、ということになる。(後略)【10月13日 福島 香織氏 JBpress】
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台湾は半導体産業にとってあまりにも重要なため、中国は武力制圧を控え、米国は台湾が中国の手に落ちるのを許さないという「シリコンの盾論」・・・やはり「幻想」でしょう。中国にしても、アメリカにしても、ギリギリの判断では経済合理性より政治的必然性(あるいは、中台統一という理性を超えた情念)や安全保障が優先します。
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