孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン 韓国人拉致事件の状況

2007-08-03 14:37:30 | 国際情勢

写真は7月30日アルジャジーラTVで放映された憔悴した韓国人人質女性のひとり
(“flickr”より By Sicarii)

アフガニスタンの武装勢力タリバンによる韓国人拉致事件は発生から2週間を経過し、2名が殺害され、依然解決の目処がたたない状態が続いています。
最近の情報は次のような状況です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
救出作戦か?
【8月2日 AFP】
韓国人グループが拉致されたガズニ州カラバグで1日、軍事作戦が行われるため地元住民に同地から避難するよう求めるチラシが、アフガニスタン軍のヘリコプターから配布された。
国防省は、このチラシに記載されている作戦は「韓国人人質事件とは関係ない」とし、数週間以内に予定されている通常の演習のことだと述べている。
カラバグ地区の責任者は、アフガニスタンの軍と警察そして米軍主導の多国籍軍が同地区で人質救出のための作戦を開始したと語った。

解決に軍事力使わない 韓・米確認
【8月2日 毎日】
ASEAN地域フォーラム(ARF)出席のためマニラを訪問中の韓国の宋旻淳(ソンミンスン)外交通商相は2日、米国のネグロポンテ国務副長官と会談した。
宋外交通商相は会談後「両国は解決のため、軍事力は使わないことで一致した」と述べ、救出のための軍事作戦を行わず、交渉による解決をめざす基本姿勢を確認した。

「テロリストとは取引せず」米、原則明確に
【8月2日 毎日】
韓国国内で米国の協力を求める声が強まっているが、米政府は「テロリストとは取引しない」原則を明確に表明している。(ケーシー国務省副報道官)
その一方で、イラクとアフガンに派兵する同盟国・韓国で対米批判が強まることは避けたいため、米国は韓国、アフガン両政府と密接に連絡を取りながら対応策を探っているようだ。

タリバン報道官「アフガニスタン政府は不誠実」と非難
【8月2日 毎日】
タリバンのユーサフ報道官は1日、アフガン政府を「不誠実だ」と強い口調で非難した。
その理由について、「政府幹部に、面談による直接交渉に来るよう何度も求めているが、応じようとしないからだ」と語った。
韓国人2人の殺害前にも「最後の交渉として直接面談を呼びかけた」と強調。1日正午の期限前にも「求めたのに誰も来なかった」と話した。
政府の交渉対応を「不誠実」とすることで、殺害や女性拉致に対する非難の矛先を政府に向ける意図もあるとみられる。

タリバン、韓国外交官と人質をめぐる直接協議を承諾
【8月2日 AFP】
タリバンは2日、韓国外交官との直接協議に応じることを承諾した。一方で、韓国側は情報を正式に確認していないとしている。
現地ガズニ州知事は同日、「韓国外交官一人が代表としてタリバン側と直接会談し、残る人質21人の解放へ向けた解決策を探る予定だ」と述べた。
同知事によると、直接協議の要請は韓国側から提示されたもので、タリバン側も承諾。現在、同州当局が会見日時や場所などについて設定しているという。
タリバンのユーサフ報道官によると、会見場所は極秘とし、会見に出席するタリバン側メンバーをすでに選出したという。

韓国政府が米国に協力を要請
【8月3日 AFP】
韓国から8人の国会議員が米国のワシントンD.C.に向けて出発した。
同議員らは、米国政府が、韓国人人質とアフガニスタン政府が拘束中のタリバン兵士の交換を進めることを期待している。
韓国政府も「柔軟に」交渉を進めることを求めているが、米国とアフガニスタンの両政府は同様の事件が続くことを懸念して、人質の交換には応じない見込み。

北朝鮮も“同情の意”
【8月3日 AFP】
今回の事件に関しては、北朝鮮も、韓国に対し同情の意を示すという異例の行動をとっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上のような流れですが、軍事作戦でタリバンを刺激せずに救出したい韓国政府、アメリカが人質交換を拒否しており交渉能力がないアフガニスタン政府、直接交渉・アメリカ説得でなんとか打開したい韓国政府・・・といったところです。

また、女性を人質にとる行為にアフガニスタン地元でも非難の声が出ているとの話があります。
もともとタリバンの名前は“神学生”の意。
軍閥が跋扈し治安が乱れていたかつてのアフガンで、その誠実さで民心を獲得して政権を奪取するまでになったタリバンですが、客人として迎え入れたアルカイダ勢力に“軒を貸して母屋を取られる”形で変質、今では目的のためには手段を選ばない武装勢力になったようです。

今後もし更に犠牲者が続くような事態となると、12月に予定されている韓国大統領選挙にも影響しますが、結局“アメリカが人質交換を認めないので犠牲者が増えた”ということで、ただでさえ反米意識が強まっている韓国内における反米感情が更に激高する危険もはらんでいるように思えます。
そうなると、“風が吹けば、桶屋が・・・”みたいな話にもなりますが、隣国日本を含んだ東アジア地域全体への影響もあるかも。

米英の主張もわかりますが、「じゃ、アメリカ人23人が人質にされていても同じ対応をとるの?」という疑念を禁じえない部分があります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする