『紺碧のダナウェイ~祈命の剣~』
(このお話はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません)
それは雲間をきらきらと光りながら降下してきた
アメリカの爆撃機だ。
それまでは低空をやってくる雷撃機ばかりだったので、零戦は高度を下げていた。対空砲もほぼ水平を向いており、頭上は全くの死角だった。
「敵機!」という見張りの声に、誰もが一瞬、「え? どこ?」と思ったんじゃないだろうか。
零戦が高空に舞い上がろうとし、対空砲も角度を上げようとしたが、間に合わなかった。
1発、2発…と爆弾が赤城に命中する。
普通なら、これくらいで空母はびくともしないらしい(どんだけ頑丈にできてるんだ)。
だが、この時は状況が違っていた。爆弾を魚雷につけかえた攻撃機や、給油を終えたFW零戦が今にも発艦しようというところで、足元にははずしたばかりの爆弾がごろごろしていた。
もしかして、煙草一本吸ってもまずいんじゃないかというような 火気厳禁状態のところへ爆弾が落ちたのだから大変だ
次々と誘爆が起きて、赤城はあっという間に炎に包まれた。
近くにいた加賀と蒼竜も同じ憂き目にあった。空母をひとまとめにしておいた布陣が裏目にでたのだ。
これが「運命の5分間」といわれる出来事だ。どこがどう「運命の5分間」なのかというと、爆撃機がやってくるのがあと5分遅かったら、日本の攻撃機は全機発艦を終えて、敵空母をやっつけていただろうというのである。
そうかなあ…
「て、何時間もかけて魚雷と爆弾とっかえひかえして、向こうの空母から攻撃機が来てるのに、友永隊の収容を先にしたんだろう? 今さら5分遅かったらもないと思うぜ。ここまで引っ張っただけでもたいしたもんだと思うけど」
敦は言った。おれも同感だ。
あれよという間に主力空母3隻を失って、南雲はすっかり燃えつきている。
画像も、白い紙に目鼻のようだ(^^;; それを両側から抱えるようにして、部下が赤城から待避させる。
空母飛龍だけは離れたところにいたので無事だった。艦長はあの炎の闘将山口だ
「敵は今攻撃力を出し切ったところで、二次攻撃の余力はないはずだ。敵との間合いを詰め、間を置かず一次、二次攻撃をかければ勝機はある」
と、飛龍を最大戦速で進ませた。
「我飛龍を率い、敵機動部隊を撃滅せんとす。我に続かれたし」
と、先頭を切って突っ走る飛龍を、艦隊が追いかける形になった。何だか、織田信長の若い頃みたいだ
「こいつ、メンタル強いな~」と、敦は感心を通り越して呆れたような声音だ。
おれたちは、たとえるなら、この間のワールドカップでドイツと対戦したブラジルチームの心境だ。いきなりハットトリックを決められて、ピッチにしゃがみこみたい気分である
山口だってショックだろうが、そんなそぶりはみじんも見せず、ここから勝つ気で突進している。
敵空母は2隻いるはずだが、山口の考えは無茶苦茶ではない。この時点では、航空機の性能もパイロットの伎倆も日本の方が上だった。ミッドウェー島攻撃でも、数に勝る敵に待ち伏せされながら、敵戦闘機を多数撃破し、爆撃を敢行したのだ。
1対2ではたしかに厳しいが、勝てる可能性は十分ある。
メインキャラクターの南雲が燃えつきてしまったので、飛龍の反撃はイベントになる。
敦はもちろん参加するをクリックした。機種は悩んだ末に雷撃機を選択した。零戦の方がカッコイイのだが、零戦の機銃では敵空母を沈められない。それより、必殺の魚雷を敵空母にぶちこんでやりたいのだろう。
「『サポートプレイヤーを参加させますか?』っていってるけど、おまえ、やる?」
どうも、護衛の零戦役をやれるようだ。当然、おれも参加だ。
二人で敵空母を沈め、赤城、加賀、蒼竜の敵を討つのだ。
おれたちは、小林隊長に率いられて飛龍を発艦した。
勇んで飛び立ったおれたちだが、敵機動部隊の上空に達した途端、血の気が引いた
「やべ、これ、負けイベントじゃねえ」
敦が叫ぶ。
イベントは、必ずしもプレイヤーにポイントを与えるものばかりではない。
それまでに貯めたポイントを全て吐き出させ、あまつさえ、そこでゲームオーバーになってしまうものさえある。
それが負けイベントだ。
おれたちが、飛龍反撃イベントは負けイベントではないかと思った理由は…
敵空母は2隻ではなく、3隻いたのだ (つづく)
(このお話はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません)
それは雲間をきらきらと光りながら降下してきた
アメリカの爆撃機だ。
それまでは低空をやってくる雷撃機ばかりだったので、零戦は高度を下げていた。対空砲もほぼ水平を向いており、頭上は全くの死角だった。
「敵機!」という見張りの声に、誰もが一瞬、「え? どこ?」と思ったんじゃないだろうか。
零戦が高空に舞い上がろうとし、対空砲も角度を上げようとしたが、間に合わなかった。
1発、2発…と爆弾が赤城に命中する。
普通なら、これくらいで空母はびくともしないらしい(どんだけ頑丈にできてるんだ)。
だが、この時は状況が違っていた。爆弾を魚雷につけかえた攻撃機や、給油を終えたFW零戦が今にも発艦しようというところで、足元にははずしたばかりの爆弾がごろごろしていた。
もしかして、煙草一本吸ってもまずいんじゃないかというような 火気厳禁状態のところへ爆弾が落ちたのだから大変だ
次々と誘爆が起きて、赤城はあっという間に炎に包まれた。
近くにいた加賀と蒼竜も同じ憂き目にあった。空母をひとまとめにしておいた布陣が裏目にでたのだ。
これが「運命の5分間」といわれる出来事だ。どこがどう「運命の5分間」なのかというと、爆撃機がやってくるのがあと5分遅かったら、日本の攻撃機は全機発艦を終えて、敵空母をやっつけていただろうというのである。
そうかなあ…
「て、何時間もかけて魚雷と爆弾とっかえひかえして、向こうの空母から攻撃機が来てるのに、友永隊の収容を先にしたんだろう? 今さら5分遅かったらもないと思うぜ。ここまで引っ張っただけでもたいしたもんだと思うけど」
敦は言った。おれも同感だ。
あれよという間に主力空母3隻を失って、南雲はすっかり燃えつきている。
画像も、白い紙に目鼻のようだ(^^;; それを両側から抱えるようにして、部下が赤城から待避させる。
空母飛龍だけは離れたところにいたので無事だった。艦長はあの炎の闘将山口だ
「敵は今攻撃力を出し切ったところで、二次攻撃の余力はないはずだ。敵との間合いを詰め、間を置かず一次、二次攻撃をかければ勝機はある」
と、飛龍を最大戦速で進ませた。
「我飛龍を率い、敵機動部隊を撃滅せんとす。我に続かれたし」
と、先頭を切って突っ走る飛龍を、艦隊が追いかける形になった。何だか、織田信長の若い頃みたいだ
「こいつ、メンタル強いな~」と、敦は感心を通り越して呆れたような声音だ。
おれたちは、たとえるなら、この間のワールドカップでドイツと対戦したブラジルチームの心境だ。いきなりハットトリックを決められて、ピッチにしゃがみこみたい気分である
山口だってショックだろうが、そんなそぶりはみじんも見せず、ここから勝つ気で突進している。
敵空母は2隻いるはずだが、山口の考えは無茶苦茶ではない。この時点では、航空機の性能もパイロットの伎倆も日本の方が上だった。ミッドウェー島攻撃でも、数に勝る敵に待ち伏せされながら、敵戦闘機を多数撃破し、爆撃を敢行したのだ。
1対2ではたしかに厳しいが、勝てる可能性は十分ある。
メインキャラクターの南雲が燃えつきてしまったので、飛龍の反撃はイベントになる。
敦はもちろん参加するをクリックした。機種は悩んだ末に雷撃機を選択した。零戦の方がカッコイイのだが、零戦の機銃では敵空母を沈められない。それより、必殺の魚雷を敵空母にぶちこんでやりたいのだろう。
「『サポートプレイヤーを参加させますか?』っていってるけど、おまえ、やる?」
どうも、護衛の零戦役をやれるようだ。当然、おれも参加だ。
二人で敵空母を沈め、赤城、加賀、蒼竜の敵を討つのだ。
おれたちは、小林隊長に率いられて飛龍を発艦した。
勇んで飛び立ったおれたちだが、敵機動部隊の上空に達した途端、血の気が引いた
「やべ、これ、負けイベントじゃねえ」
敦が叫ぶ。
イベントは、必ずしもプレイヤーにポイントを与えるものばかりではない。
それまでに貯めたポイントを全て吐き出させ、あまつさえ、そこでゲームオーバーになってしまうものさえある。
それが負けイベントだ。
おれたちが、飛龍反撃イベントは負けイベントではないかと思った理由は…
敵空母は2隻ではなく、3隻いたのだ (つづく)
何か、するかなぁ・・・って思っていました
イベント、そうそう
バッドイベントってあったりするのですよね
必ずしも、イベントでボーナスステージとは限らない
最近はゲーム機すら触っていないし・・・
パソコンでもスマホでもゲームをしていないので、その辺りは若干出遅れている感がありますが
いつも読んで下さってありがとうございますm(__)m