AMASHINと戦慄

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ゲゲゲのくとぅるう

2014年10月05日 | ルルイエ異本
読書の秋ということで、連続してマンガの紹介。
久々にクトゥルー神話に関する興味深い資料的文献をブックオフで入手したので。

まぁ、近年のクトゥルーぷちブームに便乗してPHPから刊行された陳腐極まりないクトゥルフ神話シリーズコミックは別にして、昨今日本の漫画家がクトゥルー神話をベースにマンガを描くってのは珍しくなく、当ブログでも紹介した諸星大二郎、、夜魔峰央・・・中でも室山まゆみ先生がかつて『あさりちゃん』の中でクトゥルー神話を盛り込んだエピソードを描いていたという記事には、かなりの反響があった。
でも、やっぱり日本を代表するような巨匠クラスの作家になると、なかなかそういった作品にはめぐりあえない。

ところが!妖怪描かせたら右に出る者はいない、あの巨匠水木しげる大先生が、過去にクトゥルー神話をベースにどころか、ラヴクラフトの小説をまんまリメイクした作品を描いてらっしゃるというのを皆さんはご存知であったか!!
(って、大声張り上げちゃったけど、クトゥルー神話関連のガイドブックにけっこう紹介されているので知ってますよね)



初期の頃、水木しげるが貸本時代に描いた短編名作選『魍魎』の中に収録されてある「地底の足音」(1963年)は、まぎれもなく「ダンウィッチの怪」の日本を舞台にした翻案ものである。
これは私のいつものコジツケやホラ話でもなんでもない!マジな話である。
これはおそらく、日本マンガ史上最古のクトゥルーマンガであろう。

まぁ私自身、水木しげる関連のアイテムや妖怪図鑑的なものは幼少の頃から数点所持はしているものの、コミックスとなると『ゲゲゲの鬼太郎』すら購入したことがない。
水木作品はあまりおもしろいと思ったことがないのだ。妖怪画は天才的で魅力的なんであるが、物語運びがテンポ悪いというか、画風がどうも苦手。
だから今回の短編集が私の初購入水木しげるコミックスとなったわけだ。

『妖怪大図鑑』なんかは、今見てもワクワクするね。



さて、この『地底の足音』は、ラヴクラフトの原作をほぼ忠実にマンガ化したものであるといっていいが、ちょっとしたジャパネスクな土着風味のアレンジも施されている。
まず、舞台が水木先生の生まれ故郷の鳥取県であり、八つ目村という寒村で怪事は起こる。鳥取大学は、アーカムのミスカトニック大学にあたる。
この大学の民俗学研究室の金庫には、ペルシャの狂人アトバラナ(あるいはガラパゴロス)が書いた『死霊回帰』のポルトガル語版が所蔵されているが、これはおそらくアルハザードのおそるべき『ネクロノミコン』の写しであろう。
八つ目村には、ウィルバー・ウェイトリーにあたる怪童蛇助が祖父の足立文造とともに住んでいる。
この蛇助、けっこうカワイイ顔をしているのだが、ウィルバー・ウェイトリー顔負けの凶暴さで、質問に答えないとその人間を殺しかねない気性の荒さを持っていて、その容姿と気性のギャップがかえって得体の知れない邪悪さを醸しだしている。



そして、蛇助の父である邪神<ヨグ=ソトース>であるが、これがなんとここでは「ヨーグルト(ソース?)」になってるという、水木流?の安直なノンセンスユーモアが含まれている。
このヨーグルト退治に際して、鳥取大学の白井博士が「ポークショ」やら「KOTOSOTOKO」なる呪文を唱えているのも、水木先生の我流アレンジか?

ちなみに、姿が見えない巨大な怪物が村中を破壊して歩き回るという原作のオリジナル設定は、『ゲゲゲの鬼太郎』の「朝鮮魔法」に登場するぬっぺふほふの話にリライトされているとのこと。
ぬっぺふほふの4兄弟のうち、一体だけ巨大で姿が見えない特異体質の持ち主で、村人から“アリランさま”と恐れられているのだとか。
妖怪大図鑑では、単に「古寺付近をただ歩き回るだけの妖怪」って解説だっんだけど、ひょっとしたらこの妖怪、ヨグ=ソトースの血を引いているのでは・・・・・?


ぬっぺふほふ。ウィンクしたりと見た目はかわいらしい。

効能 / 痩せているひとも太れる。ハァ?


しかし、生きていらっしゃるうちに、水木しげる先生の筆による『クトゥルー邪神大図鑑』の作製がなんとか実現しないものだろうか・・・・・




今日の1曲:『ダンウィッチの怪』/ 人間椅子

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-09-06 07:52:12
昔の記事にコメントしてすいません
魔夜峰央先生の名前が夜魔峰央になってます
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