AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

リリイ・シュシュ

2006年12月08日 | まったり邦楽
リリイ・シュシュは1980年12月8日に生まれた。
この日付はジョン・レノンがマーク・デビッド・チャップマンに殺された日時と一字一句符号する。
でも僕にとってこの偶然の一致に意味はない。
僕にとって重要なのは、その日、その時刻にリリイ・シュシュが誕生したということだけだ。
彼女の名前、“リリイ・シュシュ”。
天才。というより、宇宙。
エーテルの具現者。


これは岩井俊二監督映画『リリイ・シュシュのすべて』の冒頭で、沖縄の方言で歌われたリリイ・シュシュの“アラベスク”がバックで流れる中、チャットに投稿者フィリアが書き込んだ文章である。

ということで、今日はリリイ・シュシュの誕生日だそうだ。
もちろんリリイは物語上の人物で、歌っているのはSalyuという、今では厚生年金会館でライヴをやるほどの売れっ子女性アーティスト。

映画のオープニングで交わされるファンサイトのチャットの会話の中で、「(リリイ・シュシュ以外で)エーテルを音楽にした人って他にいる?」という問いに対して、「Bjork」とか、「UA」といった名前が挙げられている。
私も最初アルバム『呼吸』の1曲目の“アラベスク”を聴いた時は、真っ先にビョークの名前が頭の中に思い浮かんだ。
まぁ歌声はUAをもっと霞ませたような憂いのこもった感じで、空間を漂うような歌い方はビョークに相通じるものがあった。
おもしろいのが、この問いに「私は間違いなく椎名林檎。」と書いた投稿者に対して、「椎名りんごにエーテル?その感性、よくわからない。」とチャチャを入れる所がある。
これはメンヘラー的“痛み”を表現する音楽に対して、なんでも林檎と結びつけたがる人へのあてつけだろうか?
私がCoccoと林檎を同列に並べられるのを好ましく思わない感覚に似ていて、この監督の趣味がなんとなしに窺える。


作曲・編曲を手掛けた超有名プロデューサー小林武史のサウンドアレンジも素晴らしく、岩井俊二が作詞したリリイの“エーテル”という言葉で透過された詩世界(彼はこのアルバムではクリムゾンのピート・シンフィールドのような立場にある)を音によって見事に具現化している。
特に、“エロティック”“共鳴(空虚な石)”のギターアレンジなどは、『原子心母』~『おせっかい』期のピンク・フロイドっぽい音宇宙を彷彿とさせている。




まぁ小林氏のミスチルやMLLでの仕事ぶりには全く興味がないし、彼が全面的にプロデュースを手掛けたSalyuとしてのデビュー作『Landmark』にしても、あの大衆向けで少し無理を感じるSalyuの高音ヴォイスはなんだかピンとこないし、岩井俊二の他の監督作品もたいして面白くなかった。

思うに、映画『リリイ・シュシュのすべて』、そしてリリイの唯一のアルバム『呼吸』は、岩井俊二の創造した世界観(彼がリリイそのものなのだ)、それにインスパイアされた小林武史の卓越した音楽的才能が見事に結実し、Salyuという声のフィルターを通して(とにかくこの時の彼女の歌声はまるで映画の中のリリイが憑依したかのようである)共鳴し合い、この三位一体が見事な形で音像化した、正に奇跡の傑作コラボレーション作品だったんじゃないかなぁ。

またこの3人で2ndアルバム作って、リリイ・シュシュとして全国ツアーしてくれたらなぁ~と、叶わぬ空虚な願いをこの冬の寒空に漂わせるのであった。








今日の1曲:『アラベスク』/ Lily Chou-Chou

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2 コメント

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解国 (リリィシュシュ)
2010-04-29 20:08:40
エデンとりんごについて
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>リリィシュシュさん (あましん)
2010-05-06 00:19:08
本人登場?!
コメントありがとうございます。
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