酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

禁煙車

2005年07月26日 | コミュニケーション
今月3回目のI県職員研修だった 遅刻なし よかった 

定刻発車の「スーパーひたち」いわき行きの指定席に座った

最近 事務所の担当者が 禁煙席を取るようになった

私の健康を考えてくれているらしい 1時間ちょっとのガマンだ


その「禁煙車」でふと思い出したことがある

数年前 同じI県の研修に同行してくれた Sさんのエピソードだ

ふたり並んだ席で 会話がはずんだ

30分もたったころだろうか

Sさんが 上着のポケットから タバコとライターを取り出した

私も彼も ”禁煙”を完全に失念していた


Sさんは 当時M市の現役市会議員を勤めていた

もちろん 禁煙車のルールを無視するような 粗野な人間ではない

ほんとうのウッカリだった

話に夢中になりすぎた

周りの乗客からの お咎めもまるでなし

気づかないままの なんともメデタイ二人の会話が ますます佳境に入ったとき

「もしもし」 穏やかな男性の声がした

同時に首を向ける二人の前に 通路に立ち ニコニコ顔の老紳士がいた

俳優の 益田喜頓に どこか似通った温厚そうな風貌だった

「はい なにか」 まだマヌケさの抜けない私たち

「楽しいお話の最中に 誠に恐縮です お気づきでないことと存じますが

この車両は おタバコの吸えない車両です おそれいりますが、、、」

あっと声を出し 口をあけた二人だった

「どうも失礼しました ごめんなさい」 タバコをもみ消すSさん

「いいえ 余計なことを申し上げました」

紳士は静かに去っていった 大勢の中で叱られた 恥をかかされた

そういう不快感は 全く残らない見事な説得だった


相手の自尊心を守り いやな思いを抱かせない老紳士の対応

すがすがしい気分すら湧いてきた

その証拠に 好漢Sさん

少し離れた席の紳士に”よくぞ ご注意してくださいました”

改めて挨拶に出向き 自分の名刺を渡してきたという


昨日 横浜の私鉄改札口で事件があった

利用者同士の 些細なケンカ 一方が相手の刃物で刺され 重体という

口から生じたコトバは 時に 凶器となり 相手の人格を破壊する

きわめてコワイ伝達の「道具」だ 


老紳士も なかなかの人物だった そして友人のSさんも見事だった

その後のSさん 議員を退任した

そして 地域の活動に熱意 誠意を発揮した結果が評価されたのだろう

「インターネット コミュニティーコンテスト」に優勝

先月 アメリカで表彰式があった NHKでも放映された

人の気持ちを大切にする Sさんの快挙だった


研修は無事終了 神宮のカープ・ヤクルトは台風のため 中止

真っ直ぐ自宅に帰ってきました