酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

土を作る

2006年01月29日 | 無農薬野菜作り
実に久し振りの畑作業となった

収穫物は 寒さにも耐えてくれている白菜と大根だけだ

そこで 毎年この時期に行うのが 畑の土作り

近くの『山』へ行って落ち葉掃きをする



野菜作りは土作り

土の管理が いい野菜のための生命線だ



栄養豊富な椚の落ち葉

これを熊手でかき集め 袋に入れる



頑張って18袋を車に積み込んだ



持ち寄った落ち葉を 牛糞・馬糞・大豆などと攪拌する

管理機を使って 畑一面に敷き詰める

こうして出来た土壌は強い


白菜 大根 そして春を待つキャベツたちが 居心地のいい「家」で安住していた





野菜作りは 人作りとよく似ている

種は そもそも生きていく力をもっている

土 肥料 水 太陽といった環境次第で 良くも悪くもなるものだ

人間も同じだ

家庭 学校 近隣関係 職場などによって人格形成まで変わってくる


誠に イヤな環境・時代になったものだ

nanさんのブログで知ったことだが 息子さんが あわや振り込め詐欺に騙され

そうになったという

私の畑には カッコウの悪い野菜はいても 詐欺師はいない

環境と適切な指導 そして愛情のおかげと自負している


*nanさんのブログには”振り込め用紙”の実物が掲載されています
 nanさんのご了解を得ての投稿になりました みなさま ご注意ください*











素晴らしい仲間たち

2006年01月28日 | コミュニケーション
25日~27日は2泊3日の宿泊研修がありました

場所は秩父市の奥

閑静なセミナー・ハウスです

参加者は男女40名

いずれもS県気鋭の職員さん方でした


今回の 研修で感激したことがあります

長く講師を続けていますが 初めての体験をしました

みなさまにも 聞いていただきたいと思います


受講者のひとり 男性で30代のSさん

耳と口が不自由なのです

手話協会から派遣された「手話通訳」の方が 2名付き添っています


実習が始まりました まず自己紹介でした

なんと その実習をSさんがトップバッターを希望したのです

健常者の方でも 最初は躊躇しがちな”先頭打者”です

私も内心ハッとしました


30秒の持ち時間 私の危惧は一瞬で消え去りました

手話だけではありません

全身を駆使して 一所懸命の自己表現に取り組むSさんでした

特に 顔の表情がよかった

参加者39名の全員にアイコンタクト

笑みさえ浮かべながらの 自己紹介でした


3日間の各カリキュラム 実に多くの実習メニューが用意されています

Sさんは どの実習テーマにも決して臆することなく 挑戦してくれました

言葉はなくても 笑顔と懸命な”全身の表現”でした

全身が「言葉」になったのです

*手話通訳の方の「通訳」も 素晴らしかった*

言葉は話のごく一部 豊かな表現こそコミュニケーションの大事な要素である

私を含めて 参加者全員が認識を新たにしたことでしょうね


2日目の夜は楽しい懇親会でした



手話通訳の おふたりは帰りました

Sさんとは 最小限の筆談です

それでも 充分な意思疎通をはかることのできた 仲間たちでした


Sさん そして素敵な参加者の面々



いま ひとりひとりの顔を思い浮かべながら ボードを叩いているオヤジです





















「都電」のような青年たち

2006年01月23日 | 都電 荒川線を誉める
美浜さんのブログで知りました。

素晴らしい 青年たちを紹介いたします

今年の箱根駅伝に 見事(?)予選落ちした大学生たちです 

わずかな差でした 

埼玉県加須(かぞう)市 平成国際大学の8人のランナーです

駅伝の出場に 涙をのんだ若き魂です

しかし このままでは終わりませんでした


彼ら8人は3月6日に 新たなスタートをきります 

8人で「駅伝」の再開です

その距離2851キロ  

出発点は 北海道の宗谷岬

終着点は 鹿児島の佐多岬です

「駅伝に賭けた 学生時代の情熱を形に残そう」

「箱根駅伝を超える駅伝を みんなでやらないか」

8人で駆け抜けよう 誰言うとなく出た「情熱」でした 

一人が3時間走ります

8人が 一日中走り続けます


箱根駅伝では 予選落ちのこの面々

私には 大好きな「都電」を連想してしまいます 


この世の中”勝ち組””負け組み”とやらで かってなことを言ってるようです

「負け組み」と称されたかも知れない 平成国際大学です

とんでもない! 

3月20日のゴールを目指して 頑張って欲しい!

汗をかくことの大切さを 若者たちに示して欲しい

「都電」のごとく マイナーなチームが示す「心までは 金で買えない」

私たちが 昨今 忘れようとしていることを 思い出させてくれました



この気迫 期待しています 


*美浜さんをご訪問ください*




コミュニケーション 10則 (その3)

2006年01月22日 | コミュニケーション 10則
<10則 その3>

*肯定的な表現*

「ダメじゃないか」 「なにをやってんだ」 「キミはいつもそうなんだから」

よく口にでる言葉ですね 否定的な表現・言い方

この否定的な言い方は 相手のやる気 意欲を削いでしまう言葉の”悪玉”です


後輩の研修講師Tさんのエピソードです

盛夏の奈良での出来事でした

舞台は有名な寺院の「薬師寺」です

彼は 拝観料を払って境内に入ろうとしました

ふと見やると 清涼飲料水の自販機がある

あまりの暑さに 1缶買い求めたTさんでした

そのまま手に持って 散策をはじめます

そして 歩きながら ほとんど無意識のうちに飲みほしました


さて 困りました

周りをキョロキョロ見回します

ないのです

屑かごが・・・ 空き缶はどこへ・・


そして なんという幸運か 

あったのです 大きな石が

しかも 石と地面の間に隙間があるのです

彼は 付近を見回しました

誰もいません

Tさんの決意は 電光石火  空き缶を石の下に押し込めました

最後は 靴の爪先でコンコンと奥へ・・

涼しい顔で立ち去るTさん 


そのときです 穏やかな声を掛けられたのは・・

「もし もし・・」

ギョット振り向くTさん

まさに 死角でした

いたのです 坊さんが・・

なおも都合の悪いことに 竹箒を手にしています

そうです 掃除をしていたのです 


後日 彼は私に語っています

”なにか言われたら 言い返してやろうと思ってましたよ 拝観料を取ってんだか

ら 屑かごくらい用意をしてほしい”


そのときの坊さんは 実にいい顔をしていたそうです

ニコニコ微笑みながら 近づいてきます

「こんにちわ 暑いですね」

「・・・こんにちわ」少し口ごもるTさん

「今年の暑さは格別ですね ところで・・・」

きたか!身構えるTさん

「もう 三重塔はご覧になられましたか」



「いや まだですが」

「そうでしたか ところで・・・」

今度か!

「塔の木造部分の細工は素晴らしいものです ご覧になったみなさまが

口を揃えて 感嘆されますよ」

「はぁ・・」(心の声・見つからなかったかナ 缶捨て)

「宮大工さんは いい仕事をしていますね」

「はぁ・・・」 同じはぁでもTさんは 落ち着きを取り戻してきました

「ところで お客さん」

”ところで攻撃”にもロケットが飛ばなくなったTさんでした

「あの三重塔の先端 てっぺん ここから一番遠いところに見えるもの

避雷針のような尖がっているものはご存知ですか」

「なんでしょうか」

「はい 名称は『相輪』(そうりん)と申します」

「そうりん?」

「はい 相輪です  ところで その相輪ですが面白いことがあるんですよ」

「はぁ なんでしょうか」 スッカリ落ち着いたTさんです

「相輪はこんなに遠くから見上げると なんだか不細工に見えますね

それがね 何年かに1回 補修のため下に降ろすことがあるんですよ」

「はぁ・・」

「その時です 驚くのは・・」

「なんです・・」

「相輪を間近で見ますとね・・」

「ふむ・・」

「素晴らしい 彫刻が施されているのです」

「彫刻が・・」

「はい 彫刻です これがあなた 近くで見ることのできる 木造の部分の彫刻

よりも精密な彫りなのですよ」

「・・・」

「昔の人は素晴らしいですなぁ」

「・・・・」

「人が 気が付かないと思われるところにまで 気を配る 実にすばら・・」

”ところで坊さん”に全部まで言わせなかったTさんでした


後日のTさんの話しです

”ここまで言われたら 参った!ですよ 人が見ていないからといって気を緩め

るな 空き缶を捨ててはいけない 諭してくれました いい坊さんでしたよ”

Tさんは 坊さんに最敬礼したそうです

またしても ニッコリ微笑む坊さん

石の下の空き缶 靴の先で閉じ込めたので かなりの汗をかいたTさんでした


このエピソードは 彼と一杯やると いまでも話題になることがあります

説得の秘訣は このへんにありそうです

相手の意見・行為は否定しても 相手のプライド・人格は否定しない

人間の存在そのものは肯定することこそ コミュニケーションの要諦でしょうか

「肯定的表現」がそのコツのようです


難しいことではありますが・・・


今日は 講義調になっちゃいましたね 

じゃんじゃん 








 





































下町のエース

2006年01月21日 | 都電 荒川線を誉める
予報どおり雪になった下町

久しぶりに長靴を履いての街巡りだ


カテゴリーにはあるが 最近 出番のなかった都電の「荒川線」



何事も無かったかのごとく 平然と走っている

思えば いまを去る昭和40年代に 東京地方を襲った大豪雪

全ての交通機関が麻痺した

唯一 最後まで都民の足を確保したのが 41系統もあった都電一族だった



立派に先祖の血筋を受け継いだ7000型改良車だ

雪煙を撒き散らしての快走 その雄姿!

カメラ小僧 カメラオジさんも負けてはいない

寒さをものともせずに 頑張っていた



撮影場所の背後は 公立の「自然公園」

せっかくだからと 中に入ってみる


久しぶりであったが 期待に反さなかった

例年のように白鳥がいた




雪国の方には日常の光景

下町オヤジには 数十年振りの景色となった


雪道の散策を続ける

土曜日なので 幼児の少ない保育園

子どもたちより 保育士さんが嬌声をあげていた



道路わきで雪を楽しむ マンション住まいの子どもたち

ゲーム機から離れて いい顔をしている

孫たちも 遊んでいるだろうか

あとで 電話をしてみよう



30分後 再び都電と再会した

寅さん 京成電鉄との交差付近



京成線ホームからの風景



京成 上野ゆきが入ってきた



上野までの往復をしながら考えた

都電も 京成も実にマイナーな電車たちだ

新幹線 山手線 中央線なんぞとは比較の仕様もない

しかし数十年前 そして いまのこの強さはどうだろうか

今度の雪でも 最後まで走り続けるのは このふたりのうちのどれかだろう

エリートにない 強靭な力を秘めた荒川線だ

これぞ 下町のエースと呼ぶに 誰が疑問を挟むだろうか



歩道橋を渡りながら 都電への愛惜の思いが ヒシヒシのオヤジでございました

雪国の方々の ご苦労お察ししております





















やさしい役所

2006年01月20日 | コミュニケーション
ななみちゃんを救う会が 目標額を達成
しました
朝から いいニュースを聞くことができましたね
みなさまの善意の賜物です 



さて 昨日は近県M町の管理職研修の1日だった

庁舎前に展示されていた 蒸気機関車の出迎えを受けた



沿線のT鉄道が電化される前まで 活躍していた古豪のSL

良い子たちの遊び場としての余生を送っていた


M町庁舎は 昨年新庁舎に移転した

全国でもめずらしい 木造の2階建てだ

県の木「杉」を主体とした 落ち着いた雰囲気を漂わせている





全国の自治体から いまもって視察が絶えないという

木造建築物の良さが見直されてきたのだろうか

確かに なにかホッとする気分になる

自然の懐に抱かれたような 安心感とでもいうのだろう

住民にとっても”やさしい役所”になった


新庁舎に移っても 以前と変わらなかったものがある

議会が開催される議場だ

驚いたことに 議場は他の自治体のように「常設」されていない

議会が開催される時だけ「議場」になる

閉会中は 一般市民の会合 サークル活動などに開放している

住民本位のこのシステム  これはM町だけの大きなセールスポイントに違いない

ここにも”やさしい役所”の姿勢をみることができた

そして 議員方もエライ!


研修会場に充てられた図書館だ





蔵書が約3万冊

利用者数は 近県図書館の中でも1~2位を占める

幼児から高齢者まで ゆったり半日を過ごす住民が多いという

見学してみて充分納得できた


人口は 約3万4千人

対して 職員数は220人強だ

組織改正に工夫を施し 職員定数を見直してきた

財政難 住民サービスのさらなる向上 そして住民対応の円滑化

自治体に求める住民の要望は ますます複雑化・多様化・多量化してくるだろう

住民にとって さらに”やさしい役所”の実現に向けての監督者研修だった



野菜つくりが好きな参加者が多く 休憩時間も盛り上がった

そのムードが そのまんま研修に持ち込まれ 厳しい中にも 楽しい研修でした 
















本所 防災館

2006年01月17日 | オヤジのつぶやき
今日17日は 阪神淡路大震災から11年目にあたる

6000人以上の方々が亡くなった忘れられない日だ

今朝のラジオ放送で「本所防災館」の催しを知る

壊れたラジオの無料修理 古い電池の交換をしてくれるという

そんなに 遠い場所ではない

出かけてみることにした



専門家による ラジオの修理

持ち込んだラジオの電池を交換してもらう



みなさんは 携帯ラジオをいくつお持ちだろうか

私は 孫からのプレゼント「充電式」を含めて携帯ラジオは4つある

大事が起きたとき なにより欲しい食料と正確な情報

家のあちこちに分散して置いている


そして 非常食品コーナー

ここは混みあっていた



きなこ餅・いそべ餅・あんこ餅 各400円
山菜おこわ 380円  五目ごはん 340円

その他 赤飯・わかめごはん・チューブ入りチョコ・カップつき味噌汁
そのままごはん・パンの缶詰・カンパン等々

餅やごはんは お湯でなくても 水を注ぐだけでOK スグレものだ



家具の転倒防止に役立つ その名も「マグニチュード7」 4500円
簡易トイレ3枚 750円



定時になると体験できる「地震体験室」



「災害クイズ」に挑戦する女性がふたり

幼児を連れての見学だった


人命救助の実施訓練




この後 私も参加させていただいた




ここ本所は過去に2回の大災害を経験している

大正12年9月1日の 関東大震災という天災

そして 昭和20年3月10日の東京大空襲という人災だ

どちらも多くの人命を奪った

決して忘れてならない”歴史”のはずだが 実際の体験者が次第に減少してきた

そのためか 伝える者がいなくなり 過去の”歴史”になりつつある


そういえば 阪神淡路大震災の犠牲者の8割が 建物の倒壊によるものだった

それを忘れたかのような 最近の憂うべき出来事だ

家に帰り テレビを見る

O氏の証人喚問の場面が飛び込んできた



購入した 非常食品を取り出し テレビを見続けた

? ? ?


今日のマダムは友人3人と お泊りのお出掛けだ

夕食はひとりになる

面倒なので 山菜おこわ と思ったが 今日の栃東のように踏みとどまった

一杯飲んで お留守番の オヤジな私でした
















二つ目昇進

2006年01月16日 | コミュニケーション


磊落な落語家で知られる 春風亭柳朝師匠

師匠の孫弟子にあたる 春風亭朝也さんが めでたく二つ目に昇進した

今夜は 贔屓だけのお披露目会だった


場所は いつもの寿司屋の2階だ

26人が集った 内々だけの楽しい会だった

直接の師匠 春風亭一朝さん(左) 兄弟子のやはり二つ目の一之輔さん

一朝さんの音頭で まずは三三七拍子だ

二つ目になって はじめて許される羽織の着用

終始ニコニコ顔の 朝也さんだった


そして 寿司屋寄席 第14回目の幕が開いた

前座の春風亭一佐さん



おじさんの家の新築祝いに出かけ 滑稽なやりとりを交わす 与太郎

最後のオチ 牛のお尻に紙を貼って「への用心」分かっていても やはりおかしい

若いながら 熱心さが受けて 大きな拍手が湧いていた


次は 二つ目の先輩一之輔さんだ



恋の邪魔した講釈師への仕返しで 胡椒を燃やし くしゃみを連発させる

講釈師を降参させる 愉快な話だ

くしゃみ13連発の演技がミソになるが 見事にこなしていた


今夜の主役は 新二つ目の朝也さんだ

「粗忽の使者」の侍の ”じぶた じぶえもん”

職人のクマさんとの掛け合いが面白かった

使者の用件を忘れた侍の尻を やっとこでつねる場面が圧巻だ

前座時代とは明らかに違う 自信に満ちていた


そして 今夜のトリは 一朝師匠



泥棒に入って その家の女性の手練手管にハメられ 逆にお金を巻き上げられる

マヌケな話しだった

流石は 真打

腹をかかえて笑ってしまった


落語が終われば 会場は宴会場に大変身する  師匠たちも変身スタイルだ



女性ファンに お酒をついでもらう一朝師匠

うらやましがる(?)主役の朝也さん

安心しなさい やさしいファンは見過ごさない

師匠よりもてた朝也さんだった



こちらは 一之輔さんだ

なにやら むずかしい顔をしているが 別に腹痛ではない

女性ファンの質問に真剣に答えていた

「30分も座っていて しびれがきれませんの?」

「実は 話しながら 少しずつでも動いているんですよ だからしびれません」

親戚の法事の時の正座は5分と持ちませんよ・・ これは可笑しかった

そういうものなのだろう


落語界の現状は厳しい

東京だけでも 落語家は300人いるという

真打は200人 後は二つ目と前座だ

演ずる席亭は5ヶ所だけだ

生活が楽でない

アルバイトなしでは生きていけない

それでも 落語が好きでたまらないという

いい青年たちだ



前座の一佐さんを励ますYさん


そして この夜 急遽決まったことがあった

2月に 朝也さんの激励 お祝い会をやろうという



師匠のVサインもいただいた

酔った勢いで 今後の落語界をしょって立つ気になった26人です

さぁ 「異質」な方々との楽しいコミュニケーションの始まりです

そして こじんまりした寿司屋で落語 寄席の原点でしょうね










コミュニケーション 10則 (その2)

2006年01月14日 | コミュニケーション 10則
コミュニケーション10則

第1回は”自ら近づく”ことを提案しました

今回は この近づいてきた人への対応です


<10則 その2>

*進んで応ずる*

自分に対して物理的に また心理的に近づいて来た人に対しての 応対の仕方です

「おはよう」には「おはよう」

「寒くなりましたね~」「そうですねぇ~」

これだけでいいんでしょうね

ところが これが出来ない時がある

相手に対して なにかわだかまりがある時 なかなか素直に言葉がついていかない

「おはようございます」

「早くもないがね・・」

「寒くなりましたね」

「キミだけだろ」

これでは まるで落語です  ケンカを売っているようなものですね 

折角近づいてきてくれた人を拒絶しています

無視しています


N市の研修で こんな話を聞きました

4月の定期異動で 市民の苦情受付の責任者に任命されたK室長の例です

Kさんの前職場は公民館の館長さんでした 温厚な人柄です

内心 苦情処理の仕事には向かないのではないかと危惧していたKさんでした

前任者からの 引継ぎ事項も気になります

常連の「特別な市民」が”挨拶”に来るというのです

”今度の室長はどんなヤツか” いわゆる”実力拝見”の様子見です

「それがかなりの連中でね Kさん最初から舐められたらダメだよ つけ上がる」

最初が肝心 まともに相手にしない 話すこともない 前任室長のアドバイスです


4月も中旬になったある日のこと

Kさんより年長の部下の係長が 知らせに来ました

「室長 来ましたよ 来ましたよ 例の連中です 応接室に通しておきました

お茶も用意しました 室長に挨拶したいと言ってます」

”私は本庁に用事がありますので失礼します”

係長は なぜか嬉しそうな表情で去って行きました


前任者からの指導を反芻しながら 応接室に向かいました

3人の男たちがソファーに並んでいました

ふんぞり返った3人

真ん中がオヤ玉のようです

大柄 顔がデカイ 黒いサングラスで派手なチェックの背広

一瞬で往年の悪役スターの 上田吉二郎を思い浮かべたKさんでした

ジロリと見上げる吉二郎 

”目を合わせない 顔を見ない 声を出さない 無視 無視!”

呪文のように唱えるKさんです

3人の前に腰をおろしました

おろした瞬間 自分でもびっくりしました

声が出ていたのです  

「いらっしゃいませ」 



しばしの静寂・・

オズオズと面をあげるK室長でした


3人の様子に変化がありました

吉二郎が サングラスをはずしました

意外や ドングリまなこの可愛い目をしています 

”ドングリ”が両隣の”舎弟”を見やりました

「なぁおい 初めてだよなぁ」

「は? なにがでしょうか」と室長

「イヤなにね 室長さんが代わると”挨拶”に来るんだがね いらっしゃいませ

なんて言われたのは 初めてだよ なぁみんな」

頷く舎弟の二人

「気に入ったねぇ室長さん 今日はこのまま帰るよ・・言いたいこともあったがね

そうだ いつもは役所のまずい茶など飲んだこともないが 今日は室長さんに免じ

て ゴチになるかね これも税金のうちだ・・」

税金を払っているかどうかは別にして 3人揃ってお茶を飲みます

そして 軽く会釈までして帰っていったというのです 


N市の研修の休憩時間

ここまで Kさんのエピソードを伺った私は質問しました

「よく いらっしゃいませがでましたね」

「いいえ たいしたことではありませんよ 癖ですよ」

「癖?」

「ええ 公会堂の館長時代 来場のお客様が入場されるときは みなさんのおひと

り おひとりに”いらっしゃいませ”  お帰りのときは ”ありがとうございま

した”習慣になってしまいましたよ」

K室長のこの習慣が功を奏したのでしょうか

その後 吉二郎たちは姿を見せなくなりました

噂では 同類の仲間たちに話しているそうです

「今度の室長さんを困らせたら オレが承知しないぞ」

どこにもいそうな いちゃもんクレーマー

いらっしゃいませのひと言で ドングリ吉二郎の心を掴んだのでしょうか

Kさんは 自慢するでもなく淡々と語ってくれました


「進んで応ずる」

電車のシルバーシート 若い人に譲られたら「失敬な! まだ若い!」

なんぞと気張らずに 素直に礼を言って座りはじめたオヤジな私です 




 













 

 

 













妻の趣味  その7

2006年01月13日 | オヤジのつぶやき


とにかく じっとしていられない人なのだろう

先日来 またなにか夢中になって作っていた

出来たのが これ

一見「亀の子 たわし入れ」「小型湯たんぽ」のようだが 実は「宝石入れ」だという

我が家に宝石?

どこにある 責任者出て来い!

言いたくなるが 特に他意はないらしい (と思われる)


材料は 使用済みのテレフォンカード

その上に 着物の切れ端を巻きつけた

両端を親指と中指で内側に押すと 上部の口が開く仕組みになっている


しかし どうも怪しい雰囲気は感じられる

一番奥に写っている ふたつの生地は亡き母の着物からのものだ (これが怪しい)


それに彼女の誕生日の春が まもなくやってくる (プレゼント

心してかからねばならない

とりあえず ひと言誉めておいた


これがますます窮地(?)に追い込まれることに・・・

なんと夕食を奢ってくれるという



好物の トンカツだった



食費代の出どころは同じでも 奢りは奢り

さて どうしよう

ま「尾花」のうなぎあたりで 手を打ってもらいましょうか

3月末が誕生日のマダムです