酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

方言

2005年07月11日 | コミュニケーション
研修に伺うと その地方の方言を気にする受講者がいる

これは誤りだ 気にすることは全くない

私は いわゆる東京弁 標準語ではない

朝日新聞を あさしひんぶん 潮干狩りを ひおしがりなどと 平気で発音してしまう

関西出身の 娘の亭主がこれを聞いて 大層喜んでくれている


方言は 時に 人に感動すら与える

数年前 いまのような梅雨の時期だった

池袋の結婚式場H角で 後輩の娘さんが式を挙げた

私のテーブルの近くで 先ほどから 気になる男性がいた

蒸し暑い季節にもかかわらず 紋付 はかまの正装だ 歳は70をはるかに越えている

披露宴の開始直後から 彼に近寄り 酒やビールを勧める 新郎側の親戚の面々

紋付正装の彼のお役目は 親戚代表の謝辞を述べることだった

「おじさん ま 一杯どうぞ 酒で度胸をつけて」

「ウィスキー飲んで 口がまわるように」

いろいろな親戚が ひっきりなしに 注ぎにきた

私もお酒は 決して嫌いなほうではない しかし この場面ではちょっと心配になった

飲みすぎだ あとのスピーチは大丈夫か


案の定 大丈夫ではなかった

司会者の指名で よろよろ立ち上がる正装おじさんに 駆け寄り身体を支えようとする若者

その親戚の若者を振り払い 紋付のそでのあたりを モソモソしはじめた

スピーチのアンチョコ原稿でも探しているのか

見ている我々のほうがハラハラ ドキドキだ

がんばれ!紋付!


やがて 原稿さがし(?)をあきらめた親戚代表

背筋がピンと伸びた 顔を新郎に真っ直ぐ向けた 

「○○!おじさんはほんとに 嬉しい!幸せになれよ!」

大きな声 会場に響き渡った 愛情に満ち溢れていた

お国言葉の 方言丸出しだった

その日 一番の大きな拍手が沸き起こった

新郎 新婦が目頭を押さえていたのが いまでも忘れられない


話し方は面白い

雄弁 立て板に水 標準語が 人を感激させるとは限らない

方言 横板にとりもちでも 話し手の感情 愛情がこもっていれば

人は感動し 時には涙するものだろう


梅雨の時期になると 紋付はかまの 例のおじさんを なつかしく思い出す

アンチョコなしで ほんとによかった よかった です