酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

言い方の工夫

2005年07月22日 | コミュニケーション
昨日のお施餓鬼法要終了後のことだった

住職が 受付の3人を慰労してくれた  別室のテーブルにビールと料理が 並んでいた

先ずはカンパイ ビールを飲み干し 料理をつまむ

3人は なにかと落ち着かない  理由は料理皿のそばに置いてある 書類だ すぐ目についた

結構分厚い冊子だ 「見積書」と書いてある

一瞬でピン!ときた我々3人だった  寺の改築だ  費用がかかる

住職親子を目の前にして 3人 顔を見合わせることはなかったが ハシの動きが止まった

25年前にも大改築をしている 檀家の負担だった 役員は相応の寄付をした

これはまいった こちらは他の2人と違う リタイヤ組だ 家内の顔が目の前でチラチラした


こっちの気持ちを知ってか知らずか 住職が説明をはじめた

ヤケにビールが進みだした3人組 後で聞けば2人も 半ばヤケッパチだったという

寝耳に水 せめてビールでも飲んでやれ 

やはり 話の中身は改築だった 

工務店の見積書をたんたんと説明する住職

屋根の改修1100万円 (う!) 外壁塗装900万円(う!う!)

本堂の冷房化200万円(次第に安くなるが ふ!)

さきほどのありがたい法話はどこいった

現実はきびしい

しかし そこは役員の3人 私を除いてツワモノ揃い 内心の動揺はおくびにも出さない

笑顔すら交えながら ときには 賛成の意を呈しながら 最後まで聞いた

工事は2ヶ月 10月のお十夜までには 完成したいと言う


タイミングを見て 隣に座っていた我が親戚の長老 J氏が落ち着いた声で質問した

「住職 よくわかりました ところでその経費はどうするおつもりですか」

部屋に静寂 殺気(?)が漂う一瞬だった

「はい ここ20年 コツコツためてきました 寺の負担です 皆様にはご了解をいただきたい」


この声が御仏の声に聞こえた 法話よりよっぽどありがたい”お経”だ

現金にも ほっとしてハシと口が活動を始める


ご住職 言い方を工夫してほしい なぜそれを先に言わない

心臓によくなかった となりのTさん(やはり親戚の中老)なんぞ ビールを飲む手が震えてた

この手の話は 結論を先にいってほしい 経費はお寺持ちです これならまず聞き手が安心する

とんだスリルを味わったものだ おかげで汗はひっこんだ

ホントの懇談は その後の時間だった 実にうまいビール 料理だった


帰ってからの 我が細君のひと言

「お坊さんの 作戦。全て承知の話の運びよ」

う~ん そうかもしれない 最後はありがたい言葉で締めた

やはり ご住職は人生の達人でした