ウォーレン・バフェット、ピーター・リンチと並んで20世紀の生んだ偉大な3大投資家といわれるビル・ミラーが苦闘している。
投資銀行レッグメイソンの運用部門の最高責任者で、自らも「バリュー・トラスト」を運用している。2006年までの15年間にわたって、毎年、連続してS&P500の成果を上回ってきた記録をもつ。現在のポートフォリオ理論では「株価はあらゆる情報を織り込んで形成される」とされ、投資で市場平均を凌駕するのは不可能というのが学者の一致した見方である。
ビル・ミラーが今月初め第2四半期末の運用報告書を株主に送った。過去1年間の成果は-34%で、不振であった。
理由はエネルギー関連には全く投資をしなかったことと、これまで組み入れてきた金融株が大幅な下落をしたことである。
彼はケインズの投資理論の“勝利と安全と成功は常に少数者のものであり、決して多数の人たちものではない。他人の多くがあなたと同じ見方なら、判断を変えるべきだ”を引用して、現在、運用戦略の再構築を行っていることを報告している。
特に注目しているのが金融株で1987年のクラッシュ、1990年1991年の金融株の下落時と同じような状況にあるとしている。
昨日のウォール街では米バロンズ誌の住宅公社2社の悲観的な記事で、金融株が暴落した。
ミラーの目には“チャンス到来”と映ったのではないか。