ドルの反騰はどこまで続くか?
今週の米連銀FOMCでは、バーナンキ議長が景気の鈍化リスクに配慮して声明文では金融政策のトーンを変更しなかった。
一方、先週の記者会見でヨーロッパ中央銀行のトリシェ総裁も景気の鈍化に言及して、これまでのインフレ・リスクに重点を置く政策への変更を示唆したと、一部のエコノミストは受け止めた。
現在の政策金利は米国2.0%、ユーロ4.25%と、その開きは大きい。それにもかかわらずドルの反転が始まったのは、石油をはじめ、商品相場の下落トレンドである。
ヘッジファンドの一部には、2ヵ月前から「ユーロの反転」を予想する向きもあったが、その見方がようやく始まった。
これまでのドル安→原油高→ドル安という循環が逆回転しはじめたのは、金融市場の危機に直面する米国にとっては大きな追い風になる。
ドル相場は向こう1年間にユーロに対して10~20%上昇を予想するアナリストも出てきた。
この動きは日本経済にとっても、大きな景気対策になる。
これまで新興諸国に積み上げられた過剰流動性は、どこへ行けばよいか迷走していたが、ウォール街に流れるだろう。
われわれも投資の視点を内需関連から輸出関連に移す時期が近づいている。