ZENZAIMU(全財務公式ブログ)

本ブログは全財務労働組合中央本部及び地区本部役員が持ち回りで掲載しています※PC版表示にすると背景がおしゃれになります

釈然としない決着

2012-02-20 23:13:13 | 日記

先週末、国家公務員の給与の取扱いに関して、“難航”が伝えられていた民主・自民・公明の3党協議が、急転直下、合意に至ってしまいました。2011年度人事院勧告を実施したうえで、俸給に応じて5%、8%、10%の削減を実施するという内容となっています。しかも、人事院勧告を踏まえた給与引下げを昨年4月に遡って実施することまで含まれています。昨年5月の「苦渋の決断」を無視し、交渉当事者である公務労協・公務員連絡会にも事前に何ら相談もなく、与野党協議が調ったことは極めて遺憾と言わざるを得ません。

確かに、三権分立の下では行政府と立法府がチェック・アンド・バランスの関係にあります。また、憲法上、国会は国権の最高機関と位置づけられています。しかし、議院内閣制の下で、内閣が-それも、現内閣が-閣議決定をもって「2011年度人事院勧告は実施しない」としたのに対し、それを与党自らが覆すというのでは、与党の体をなしていないと言えるのではないでしょうか。

1998年のいわゆる「金融国会」においては、当時の小渕恵三内閣の下で金融再生法案の「民主党案の丸のみ」という事態が生じたという事例はありますが、給与臨時特例法案に関しては、労使の合意を踏まえて国会に提出されたという経緯があり、事情が異なります。そして、その合意は、菅直人内閣自らが「自律的労使関係制度を先取る(=人事院勧告制度を廃止する。)」ことを表明したうえで、交渉を申し入れてきた結果の産物です。したがって、人事院勧告実施への方針転換は交渉の前提が崩れることを意味し、交渉当事者としての立場から、内閣としては釈明すべき道義的責任があるのではないでしょうか。「自公案丸のみ」に近い形で決着しているにも関わらず、仮に「立法府の判断」の一言で片づけられたとしたら、それこそ納得はできません。組合員に対する何らかのステートメントがあって、しかるべきです。

他方、国家公務員制度改革関連4法案の処理に関しては、「3党合意」によれば、「審議入りと合意形成に向けての環境整備を図る」とされています。給与の取扱いと異なり、未だ「環境整備」の段階です。同法案が廃案ともなれば、昨年の「合意」が文字どおり反故にされることとなります。公務労協は、同法案の成立に向けて「何としても達成しなければならない至上命題として持てる力のすべてを注ぐ」と表明しました。今国会の会期末まで残り4か月。いよいよ正念場です。

【ふく福】