中国は人工衛星を打ち上げ、高速鉄道を走らせている。しかし、その技術、殆どが外国から取り入れたもので、自国で開発したものは皆無である。基礎研究、応用研究など先端技術の開発研究では殆ど進んでいない。要は、研究開発の基盤が出来ていないという事になる。工場としての中国は世界のトップに立っていたかもしれないが、それは飽く迄も「造る」という事に過ぎない。
造るものの基本は研究開発である。単に材料を集めて、他国が製造技術を研究開発したものを使うだけでは進歩しない。現在使っている技術の先を研究開発しなければならないのだ。最初は物真似でいいかもしれないが、その先に進まなければ何時までも物真似をしなければならない。芸においても物真似から始まって自分としての芸を覚える。そして新しいものを習得していく。
今の中国は物真似そのものである。他人の技術を自分の技術だと公言しているようでは先端技術の開発は出来ない。人工衛星も高速鉄道も確かに少しは進歩したかもしれないが、次が見えない。やはり中国国内では研究開発は軍事優先なのだろうか。軍事技術は相当に進んでいるように見える。しかし、その軍事技術でも戦闘機のエンジンを自国で造れない、という悩みを抱えている。
そもそも、自動車のエンジンさえ自国で生産できない現状なのだ。もっと細かいことを言えば、ボールペンのペン先さえ自国で生産できない現実がある。この国が抱えている悩みは、新しい技術、という事ではなく、細かい技術が基本的に未だできていない。旋盤技術が先進国に追い付いていないのかもしれない。旋盤は物と細かく刻む技術である。細かい、と言っても1ミリの千分の1ミリである。この単位の旋盤が出来なければ細かいものを造ることは出来ない。
問題は、細かい物を削ることが出来てもそれをさらに加工する技術が必要になる。要は、技術というのは積み重ねなのである。一つの技術が出来ればすべてが出来るわけではない。基礎技術が基本になり、それを積み重ねて加工し、更にそれを組み立てる技術が必要になる。全てが整って初めて技術が生かされるのだ。物真似から始まって自分たちの技術を手にすることが出来るまでには時間と労力と研究する忍耐力が求められる。中国が先進諸国に追いつくには未だ時間が必要だろう。何時かは追いつくかもしれないが、その時には先進国はその先を進んでいるかもしれない。
中国が追いつくチャンスがないわけではなく、忍耐力と探究心と持続力があり研究開発を行なえば追いつけるはずだ。