朝鮮半島は南北に分断されたままである。それに対して東西ドイツは東ドイツが崩壊し西ドイツに併合された。東ドイツと西ドイツではその経済規模が余りにも違い過ぎた。政治形態は共産主義と資本主義という違いはあったが、経済規模の違いは歴然としていた。従って、西ドイツが債務が大きかった東ドイツを併合するに当たり、大変な持ち出しとなっていた。現在でも当時の西ドイツ国民は併合に当たって負担した負債を特別税という形で徴収されているはずだ。
一方、朝鮮半島は南北統合という夢（？）は一向に実行される気配はない。北朝鮮が幾ら経済的に弱くても中国が大きく加担しているからだ。若しも、中国が北朝鮮の経済を支えなければ明日にでも崩壊してしまうのではないか。北朝鮮の共産党一党独裁は中国と少し異なる。所謂、金一家が神格化され、この一家以外には政権を取ることが難しい、という事だ。クーデターにでもなれば別だが、通常の状態での政権交代は有り得ない。
となると、韓国が盛んに南北統合を叫んだとしても現時点では不可能となる。北朝鮮が韓国を吸収する、という事は考えられないからだ。経済規模は恐らく韓国は北朝鮮の10倍くらい或いはそれ以上になるのではないか。小が大を飲み込むことは考えられない。となると、韓国が北朝鮮を併合する、ということは有り得るのだろうか。もっと簡単な方法は対等合併である。
南北の経済力の差から対等合併は有り得ない。第一に韓国が納得しないだろう。いや、北朝鮮も納得しないはずだ。要は、太平洋戦争後にお互いに進んだ道が全く異なってしまい、歩み寄りが出来ないほどになってしまったのだ。このような状態で若しも、何らかの圧力で合体したとしても大きな悲劇が生まれてしまうだろう。今のままが最も好ましい姿かもしれない。お互いの国が合体をすることを夢見ているのかもしれないが、それは夢のままにしておいた方が幸せだと思う。
今、地球上で同じ民族が別れ別れになっている状態にある国は一体幾つあるのだろうか。国の名前が異なっていたら実際に分裂していることが殆ど認識されないだろう。そのいい例がクルド族である。この民族は近代、アメリカ、イギリス、フランスなどの国によって、幾つかの国に民族が分裂状態になってしまった。悲劇という言葉しか出てこない。クルド族が国を作ればよかったのだが、それがかなわなかった。それに引き換えユダヤ民族は国を造ることが出来た。この違いは一体何だったのだろうか。
